第3話 赤い少年編 その3

『私は・・・母親なのに、何をしているのだ!!』


懐に抱きしめたレッド君を見つめながら

ラインさんは、悩んでいた

“家族としての愛”と“男女で営む恋”と天秤が激しく揺れる


しかし、二人には実際の血の繋がりはありません


“義理の母親”と“過去の記憶の恋人”とで

死活問題へと発展するジレンマ


『今更だと思いますよ、抑制するために現状維持なんですよね??』


ではお前との関係は、あくまでもだ』


基本的に隊長という立場であるから

誰に対しても堂々と凛としていて

みんなの憧れの女性なのですが


好きな相手にだけは、恥じらう乙女とで言いますか

一途に想う、少女と言いますか


気丈に振る舞うつもりでも

どうしても無理が出てしまう


『二人だけの時は、僕は別にいいのですけど・・・』


『レッド・・・そんな事言われたら私もその気になってしまうだろ』


普段見せないくらいに恥じらい頬を赤らめているラインさん

30歳と14歳の母と息子とは思えない会話が続く

別に義理だからということでもなく

ラインさんが少年を好むタイプだからということでもありません


『間柄と容姿でも抑制できていない時点で無理だと思いますよ』


『・・・そうなのだが、私にも立場はあるんだぞ』


言葉に説得力がない

ラインさんはレッド君をお姫様抱っこ状態で


『自由恋愛でしたら、僕にもその権利はあるんですよね』


傍から見れば禁断の関係なように思える

義理と知らない人もいるし

知っていても、家族内での恋愛を

しかも、母親と息子の恋愛となれば


『メンバーには周知だが・・・私はジレンマの渦中だぞ』


自室にて語らう恋人のような二人

自分で縛っていた心を解放してしまった形で

欲望のままにレッド君を拉致して

自分の部屋へ戻ってくる


『ラビリアさんがすぐに察知して、全員がここへ押し掛けますよ』


『お前は、何で私を誘惑するんだ・・・なぁ、どうしたい??』


困惑するラインさん

終始、穏やかにそんな彼女を見つめるレッド君

見た目の少年の容姿が偽りであると思わせる


『僕を好きにしていいんですよ・・・母親でも息子を溺愛しすぎて一線を超えても、いいのではないでしょうか』


『一線って・・・おい!! 理性を破壊させる気か、私だって必死に耐えているんだぞ・・・レッドも私を抑えるように努力してくれたじゃないか』


『そうでしたね・・・でも、頃合かと思いまして準備も完了していますし』


幼き笑顔ではなく

不敵な笑みを浮かべるレッド君


『準備は完了しているのだと、なぁ・・・私は任せてもいいのか??』


『身を委ねて、覚醒を促して、これからの戦いに備えましょう』


見つめ合う二人

突然訪れる沈黙の時間

急展開な流れが甘い空間を構築していく

しかし、そんな時間も刹那的に強制中断に追い込まれる


『聖域展開しても無駄ですよ、私には通用しませんから!!』


突如、二人の前に空間を切り裂きラビリアさんが現れる


普通に扉から入ればと思いますが

わざわざスキルを使って空間移動をしているには

ラインさんが施した聖域が

通常移動を拒んでいる


物理的にラインさんは他の侵入を阻止していた

それを把握していたので

有無を言わさずの空間を裂く行動をしたのでしょう


『僕が空間を掌握しておけばよかったですね、すいません』


『お前の責任ではない、もう・・・私も本気でやらせてもらう』


このラインさんの言葉に

少し、後悔するラビリアさん

ある程度の流れは、把握していた

更に、展開もそれなりに理解もしていた


だからこそ、本腰を入れる前にどうにかするべきだったと


『ラビリアさん、今回はバトル展開みたいですね・・・僕は然るべき行動を取るのみです』


然るべき行動・・・

レッド君は、そう言うとラインさんとラビリアさんにキスをする


『選択はまだしてません、頑張って下さいね』


不意打ちにラインさんもラビリアさんも硬直している

好きな相手からの口づけ

至福なひと時ではあるが

同時に・・・平等であるという意味でもあった


『レッド・・・お前、私が一番じゃなかったのか~!!』


『・・・とりあえず、私にもまだチャンスがあるようですね』


焦りを見せるラインさん

それに対して、安堵するラビリアさん


詳しい事象の流れに関しては

実際の別の時間軸を参照下さい


今は、あくまでも

これから始まっていく

必死な争奪戦をお楽しみいただければと思います


『流石はラビリア殿・・・予想がほぼ的中しておりましたね』


六花りっか様~♡』


恋人繋ぎでゆっくりと入口から六花りっかさんとトールちゃんが登場

その後ろにエリアさんも同行していた

どうやら、ラビリアさんがラインさんの行動を察知したようで

システムでリンクしているとは言っても

深層心理までは、完全に把握はできません

そこだけは、お互いのプライバシーだから

でも、長い付き合いにもなると

何となくな感じである程度の事は把握できて

クレバーなラビリアさんだったら

ラインさんがどのように思考しているかも

レッド君に対しての行動も


『今回は~出来レースではないのね~わたくし達にもチャンスがあるってことよね・・・六花りっかちゃんとトールちゃんは、どうしますの~??』


無音でレッド君に接近してくる

女性的な魅力では、一番な感じではあるエリアさん

母性が溢れているくらいに


『あ・・・公平にしないといけませんね』


同じかそれ以上に無音というか

むしろ、見せつける感じで

瞬間的な移動を繰り返し

エリアさん、六花りっかさん、トールちゃんと順番にキスをした


こちらには、受け入れる準備があるとの

意思表示とでもいうのだろうか

部隊の全員に対しての行為


『レッド殿・・・♡♪』


『あら、レッド君・・・大胆ですね~うふふ♪』


百合展開にも思える二人だが

六花りっかさんもトールちゃんも

本命はあくまでもレッド君だったりする


最近、トールちゃんが女性に対しての気持ちに目覚めて

若干の方向転換をしつつある


そして、それに対しての六花りっかさんも

流れが変わり始めていた


が、そんな二人でもレッド君に対しての部分では

別問題なようで


『二人共~まだ、気持ちは残っているみたいですわね!!』


見透かすかのようなエリアさんの発言ではあったが

促す意味もあるようにも思える

ライバルとなる相手を抑える事も重要な気もします


『エリア殿は、相変わらずお人好しですね・・・知り合いだとしても敵と同等でもおかしくない状況ですよ、それとも余裕の表れですか!!』


睨むまではいかないが

ある程度の牽制も兼ねた形で六花りっかさんは

エリアさんを直視している


『こんな状況でを相手に戦えるのか??』


『こんな状況だからこそですよ、僕は全力で戦いたいですから』


いまいち、把握しきれていないラインさん

妙な笑顔で見つめるレッド君

容赦ない氷機の侵攻は着実に再開しようとしていた・・・

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