最強吸血鬼の主人公による爽快バトル！……というより、主人公のシエリールの成長や交流を描いた作品です。
孤高の存在であるが故に強く、そしてどこか脆い。アイアンパワー・ガラスハートな吸血鬼モノの王道を突き進んでいると感じました。
そんな心情や他者との交流を、確立された文章力で重厚に描ききっています。

しかし丁寧であるために、展開の盛り上がりや爽快感にはやや欠けます。もう少し読者を惹きつけて離さない要素があったなら、より名作に足を並べていたと思います。

個人的には吸血鬼を題材にした作品の中ではかなり好きな部類です。世界観を共有した他作品もあるみたいなので、そちらもチェックしてみたいです。