第7工程 「うわぁ……、容赦ねぇ」
カプセルから出てきたのは、可愛い美少女さんではないですか!!
……あの美少女を作ったのは、部長さんですかね?
「そうだよ。よく分かったね! 戦う美少女って華があっていいと思わない」
楓原君は、美少女アニメが大好きで、その愛を存分にクレポンに込めるそうです。
すると、あら不思議。可愛い戦う魔法美少女の完成なのです。
ピンク色のツインテールを揺らしながら、少女は襲来者にステッキを構え、不敵に笑います。
「やっぱり、魔法少女といったらツインテール! しかも、ピンク色って現実にはまず無い髪の配色が重要だよね。あと衣装。華美すぎず、且つ、動く時に可愛さを強調するように、計算されたこのふわふわのスカートの形式美! 素敵だと思いませんか!」
楓原君は目を輝かせて語ります。
あー……。もしかして、この人、三琴君と同類ですかね。
「同類とは失礼な。俺は、美少女になんて興味ないぞ。俺が好きなのはパンダだ」
それは分かっていますとも。いや、好きなモノに対するベクトルが変な方向へ向いている同志じゃないかと思いまして。
三琴君が納得していない表情の中、モニターでは残り4つのカプセルが割れました。
1つは、ロボットアニメに出てきそうな、重厚そうなロボット。もう3つは、ひょろっと縦に長い棒人間のような物体。
ロボットの方は、山菊先輩の力作ですね。
「そうなの! 私の愛を込めて作った
おー、名前もなんだかカッコイイですね。必殺技も凄そうです。
で、この棒人間の方は、もしかせずとも、宮前兄の作品ですかね。
「そうだよー。シンプルに重点を置いてみたよ」
うん、シンプルなのはとてもデザイン的には重要かもしれませんが、限度というものがあると思いますよ。あの棒人間、頭が重すぎてフラフラしてるじゃないですか!
「大丈夫だよー。そこも計算に入っているし」
宮前兄の後ろから宮前妹がひょっこりと顔を出します。
そういうことなら、動向を見守るしかなさそうですね。
「さぁて、アタシたちの力を奴らに見せてやろうじゃないか。攻撃開始!」
先生の攻撃開始の合図で、三人は、ゲームのコントローラーに似たクレポンの操作リモコンでコマンドを入力し、クレポン達に攻撃を命令していきます。
「いっけぇ! 流星マジック少女ユサリーン。君の星のパワーでクラップス星人なんてメロメロにしちゃえ!」
楓原部長は興奮気味でコマンド入力すると、少女型のクレポンはクラップス星人に向けてステッキを構えて不敵な笑みを浮かべます。
「メテオラブリークライシスだー!」
部長さんが叫ぶと、少女はステッキを思いっきりスイングして、クラップス星人を吹っ飛ばしたーーーーーー!
攻撃名のわりに、物理攻撃なんですね、コレ。
「ユサリーンのスカートの揺らし具合を最大限に活かした必殺技だよ。嗚呼、可愛いよユサリーン!」
血走った目で楓原部長がそう力説するのですが、これは、引きますねぇ。
「GUNSEI-SCの最強奥義、分裂パーンチ!」
おっと、山菊先輩も何やら必殺技を繰り出すようですね。
「というか、ここのメンバーは必殺技を口頭で言わないといけないルールでもあるのか?」
必殺技は口に出してナンボなんですよ、三琴君。
山菊先輩の言葉一つでなんと、GUNSEI-SCの手足が切り離されて、それらが数人のクラップス星人をタコ殴りします。
「うわぁ……、容赦ねぇ」
「はははー! 正義は勝つのだ!」
山菊先輩はそう、悪どく笑います。コレでは、どっちが正義で悪か分かりませんねぇ。
「こっちも負けていられないねぇー」
宮前兄はニヤリと笑いながら、まさにゲームをするかのように、リモコンを押していきます。
すると、フラフラと首が据わっていない棒人間がよろけながら、クラップス星人にラリアットを食らわせます。
すると、
『スパッ』
と、聞こえるかのように、クラップス星人が真っ二つに……。
えっ、真っ二つ!?
「腕と足の片側を刃みたいに鋭くしてみたんだー。当たるとスパスパ切れるよ」
と宮前兄は楽しそうに説明してきます。
一番えげつないのは、もしかして、この兄妹なのかもしれません。
「キャーーーーー!」」
僕と三琴君が宮前兄妹のえげつなさを実感している最中、いきなりモニターの方から悲鳴が。
「一体なんだ!?」
先生が急いで、メインモニターへ違う画面を切り替えると、そこにはクラップス星人に取り囲まれた一人の少女が見えます。
「避難警報が出ていたはずだぞ。なんでまだ生徒が校舎にいるんだ」
「あれは……、
モニターに映し出される少女に見覚えがあるらしく、食い入るようにモニターを見ます。
菜音、
そんな彼女が今、クラップス星人の魔の手に脅かされているようです。
「なんで菜音があんなところにいるんだ」
「生徒の救出が優先だ。第二部隊を出動させるぞ」
先生の指揮で出動させようとしますが、
「ダメです。カプセルの発射台への装填がまだです」
「くっそ。一刻を争うっていうのに」
爪を噛む先生を横に、三琴君は何やら考え事をしている様子。
「モニターに映っている場所、此処から近いですよね?」
「あぁ、そうだが?」
先生の答えに、三琴君は一つ深呼吸をし、
「俺が今からクレポン兵器を作って、菜音を助けに行きます」
三琴君はそう言って、クレポンを掴みました。
【次回予告!】
三琴君の幼馴染の菜音さんに迫り来る脅威。
彼女を助けるべく、三琴君はついにクレポンを手に取った。
彼が作り出す造形とは!
また、彼女を救うことは出来るのか!
次回、もでりんぐ!!第8工程をチェケラ!
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