最終話 艦長、そっちは……味方です。

「よっと……ん、キズが治ってる、これもイクスアレイの力、か」

「か、かかか、艦長!? どこから……ま、まさか幽霊!?」

「違うわ! まったく、変わらないわねここは……」


 変わらないからこそ安心するカグヤは、艦長席に座ろうとするが、そこに先客がいることに気がついた。


「ああ艦長、帰ってきちゃったんですね」

「帰ってきちゃったわよ。早く元の席に戻りなさい、命」

「あーい」


 から返事を返し、ゆっくりと椅子から立ち上がる命は、フラフラと副艦長席へと戻る。


「……命」

「はい?」

「何度アタックしても、私は気にしないから、これからも好きにしなさい」

「……なんの話ですか?」

「別に、独り言よ」

「呼び止めたくせに……まったく、だったらお言葉に甘えて好きにさせてもらいますよー、だ」


 いなかったクセに何でも知っているような事を口にするカグヤに、命は勝ち目がないとわかりつつも、強がった事を机に向かって言葉にする。


「……なんの話ですかね?」

「さあ?」


 話についていけない光と焔の二人は、カグヤ達の様子を伺いながら、自分達の仕事を進める。



 ……



「フフ、まさか正面から堂々と現れるとはな」

「こそこそ背中撃つのは趣味じゃねぇんだよ」

「たいした心がけだ……だが、後悔するのは貴様だ!」


 黒いイクスディスは怪しさを放ちながら、イクスアレイへと接近する。


 その機動性もスピードも、アマツを超越するイクスアレイと同等の速さを誇っており、たとえ消滅以外の武器がないイクスディスでも驚異であった。


「近寄ってこないと消滅できないなら!」


 両腕、両肩にガトリング砲、両手にはイクスライフルを持ち、背部や脚部にまで銃器を取り付け、一斉発射する。


「無駄無駄無駄無駄ァッ!! 何でも消滅させられんだよ! コイツはぁ!!」

「チッ、インチキ能力も大概にしやがれ!!」

「貴様に言われたくはないわ!!」


バズーカ、実弾を絶え間なく繰り出すイクスアレイだが、それを全てたえらげるように、イクスディスは消し去った。


「リーヴェス、一斉攻撃!」

「チッ、羽虫がッ!!」


 振り払うように手を動かすと、それに合わせてリーヴェスも消滅させられる。


「そこだッ!」

「後ろか!」


 背後から迫るリーヴェスだったが、高性能のExGはそれを察知し、ディオスへと伝える。


 振り返ったイクスディスは、背中を刺そうとするリーヴェスを消滅させると、再びイクスアレイへと向き直る。


「どうした、もう終わりか?」

「命、こっちに来る味方を全部下がらせろ」

「え? 結構近くまで来てるんですけど。ここは応援に駆けつけてラスボスを倒すまでがテンプレのお約束じゃないんですか?」

「ちょっと一暴れする、巻き込まれたくなかったら来させるなよ!」


 転移により距離を少し離すと、一息ついた飛鳥はこれからの攻撃を想像する。


「なにをするつもりかは知らんが、無駄なことを……」

「無駄がどうかは試してみなきゃわかんねぇだろ? 来い、イクスミサイル!!」

「ハッ、なにかと思えばミサイルだと? そんなものがなんだと……」


 イクスディスのモニター映し出された機影アラート、その数はゆうに百を超えており、もちろん全ての威力が桁違いの代物である。


「アトミック改めイクスミサイル、全弾進めッ!!」

「ちぃッ、小賢しい真似を! 高威力のミサイルだろうが、起爆する前に消してしまえば問題などない!!」

「だったら起爆させてやるよ」


 ミサイルを一つ一つ消し去るイクスディスに向けて、ライフルを発砲する飛鳥。もちろん狙いはイクスディスではなく、彼に向かうミサイル群である。


「くっ!!」

「まだまだぁッ!!」


 次々に誘爆し、強烈な光を放つ爆心地に、使える限りの力を使い、イクスディスの力に対し物量で畳み掛ける。


 数十、数百の銃器が、数千、数万の弾丸を叩き出す。

 もはや一人で後方に控える艦隊の力を扱っているに等しかった。


「はぁっ、はぁっ……やったぜ、カグヤ」

「やれてねぇんだよバァァァーカ!!」


 イクスディスを中心に広範囲が消し飛ぶ攻撃を仕掛けたはずだったが、イクスディスは多少の焦げ付きはあるものの、そこに健在していた。


「ハーッハッハーッ、このイクスディス凄いよ、さすがExGのお兄さん!」

「チッ、やったか? って言わなきゃなんとかなると思ったんだけどな……」

「ハン! 無駄だったな神野飛鳥、貴様はそこでエーテリオンが沈むところを見学しているんだな!」

「くっ、エネルギーが──ぐあぁぁぁーっ!!」


 激しいエネルギー消費による行動不能中に、イクスディスの最高速からの蹴りをまともに受けたイクスアレイは、ディオスの言葉に反応せずに力尽きたように宇宙空間にへと漂う。


「……」

「ふん、衝撃で気絶したか……まあいい、イクスアレイは貴重な力だ、後で回収する必要があるからな。さて、待っていろよカグヤァァァ、こうなったら楽にしてやるからさァァァーッ!」

「イクスディス、来ます!」


 その兆候をいち早く察知した命は、奴を止める方法を頭の中で考え続けるカグヤへと伝える。


 しかし、イクスディスの消滅の力に策など思いつくはずもなく、必死の抵抗を焔に向かって命令する。


「くっ、主砲を前面に──弾幕を張りなさい!」

「ハッハーッ! 無駄無駄ァッ!! そんな攻撃効かないんだよねーッ!!」


 戦艦の──それも、攻撃に特化された改造をされたAエーテリオンの主砲も、消滅の力の前には何の気休めにもならなかった。


「イクスディス、尚も接近!」

「──っ! どうすれば……」


 万事休す。せめて他のクルーを逃がす時間でも稼ごうかと作戦を考えるカグヤへ、一つの通信が入ってきた。


「……オン……エーテリオン……聞こえてるか? エーテリオン」

「あ、飛鳥!? アンタ無事なの!?」

「ああ、今イクスアレイ本来の力で機体を再生してる。完治したらそっちに迎う」

「そう、よかった……」


 飛鳥の生存に心から安堵するカグヤ。


 そして飛鳥は、そんな彼女に対して一つの案──作戦を送ろうとしていた。


「……カグヤ、俺の指示に従ってくれないか? 奴を倒す方法が一つだけある」

「アンタが私に指示……? なによ、聞くだけ聞いてあげるわ」

「難しい話じゃねえよ──アイツにエーテリオンブラスターを撃て」

「エーテリオンブラスターって……どうせ消滅させられるわよ」

「いや、それならアイツを倒せる──俺に任せろ」


 一体どんな策で、あの化け物を止めようというのか……? どうせこの男の事だ、凡策ではなく奇策。確実な安全策ではなく、一か八かの危険策に決まっている。


 いままでの飛鳥の行動をよく知るカグヤはそう思った。


 しかし、この男がそんな一か八かを過去から今にかけて全て成し遂げてきたのも事実である。


 ──ならば、今回も……。


「…………わかったわよ、かなり癪だけどアンタの策に乗ってあげる」

「……助かる、それじゃあ頼むぞ!」

「まったく、いつも自分勝手なんだから──命、Aエーテリオンをブラスターモードに移行! 焔も準備!」

「了解、艦をブラスターモードに移行、左右カタパルト回転開始──回転完了、バスター砲との結合、外部及びアールテーミス、エーテリオン両艦エーテル回路に異常なし」

「ブラスターカタパルト展開、全エーテルフィン回転開始。ブラスター対ショック用ブースターフルオープン、全機能オールグリーン!」


 回転した両カタパルトの砲身が展開し、両カタパルト、二列に並んだ小さなフィンが一斉に高速回転を始める。


 そして、二艦の全ブースターユニットがブラスターの衝撃に備えて大きく開く。

 その姿はまるで翼を広げた様であった。


「各部スラスターユニット調整、宙域に姿勢固定完了! 姿勢制御異常なし!!」

「ほぅ……最期の足掻きというやつか……だが、強化されたと言っても所詮は戦艦のバスター砲! このイクスディスの敵ではない!!」

「イクスディス、接近! 発射まで間に合いません!!」

「貴様達の負けだッ!」

「負けは──お前の方だァァァーッ!!」


 イクスディスの上方から、ステルス機能を解き姿を現したイクスアレイ。


 その手に持つ二本のイクスブレードで、イクスディスの両腕をバッサリと斬り捨てた。


「何っ──!? イクスディスの腕が!」

「飛鳥ッ!」


 腕を失ったイクスディスを逃がさないように、飛鳥はイクスアレイの両腕をイクスディスの残った肩に巻き、ガッチリと押さえ付ける。


「くっ、身動きが……このっ、離せ、神野飛鳥ッ!!」

「ハッ! その言い方、その慌てよう……やっぱり、その腕だけが消滅の力を持ってるようだな……ま、でなけりゃ一々手を攻撃方向にかざしたり、ミサイルを爆破前に消したりなんてしないで、堂々と立ってるだけでいいはずだからな!」

「貴様、あの攻撃でイクスディスの弱点を!?」

「ああそうだよ! 今時の主人公は頭だって使うんだよ。ザマー見ろ!!」

「ナイスよ飛鳥、さあ、そのままそいつにトドメを刺しなさい!」


 カグヤは飛鳥に対して命令するが、イクスアレイは一向にイクスディスを離そうとはせず、調子づいてディオスを罵倒していた飛鳥も急に黙り続けた。


「……どうしたのよ、飛鳥」

「…………ハハ、そうしたいのは山々なんだけどさ。さっきのラッシュと機体の修復、近づくために作ったステルス機能のせいで、こっちもエネルギー切れってやつでさ…………だから──」


 悲観そうな顔でもなく、ただいつも通りの笑顔をモニターに向けて、飛鳥は言葉を続けた。


「……俺からの指示は変わらない、カグヤ。このまま撃て」

「──ッ! 何バカなこと言ってんのよ、だったらさっきの攻撃で倒せばよかったじゃない!」

「おいおい、ラスボスを不意討ちなんて主人公らしくないだろ……? だから、コイツの腕が治る前に俺ごと撃て」


 なにが主人公だ。自分の命よりもそんなに主人公であることが大事なのか? 普通ならそう怒鳴り散らしているだろう。


 だが、これがこの救いの無いバカで、最後まで自分勝手な男、神野飛鳥なのだ。


 カグヤはそんな彼を責めることもなく、ただただ状況の打開策を模索した。


「……焔、主砲は」

「無理だ、ブラスターモードに移行してるから他の火器は使えないし、モードを解除してから主砲を撃つまでには十五分かかる!」

「……命、他の味方機は」

「先程の飛鳥さんの攻撃を回避するため全機後退させたので、近い機体でも五分以上はかかります。そもそも、拘束していないあのExGを艦砲射撃で捉えるのは無理ですし、あの状態であれば結局……」


 火器はない。予備のEGは? 旧型全て格納庫の奥、出す時間はない。近くに味方機は──やはりいない。アモールを作れば間に合うだろうか? いや0から精製しても間に合わない。どうすれば、どうすれば、どうすれば──……。


「…………」

「──大丈夫だカグヤ、俺を信じろ」

「………………命、発射準備」


 もう成す術がない。そう悟ったカグヤは、彼の言葉に背中を押され、命にそう伝えた。


「……できません、艦長」


 しかし、彼女はそれを拒否した。

 たとえ付き合うことが出来ないとしても、彼女にとっても、彼は大事な人だから。


「私には、飛鳥さんは撃てません!」

「……じゃあ誰がアイツの事を信じるの?」

「……」

「信じろって言ったあのバカの事、誰が信じるの! 仲間である私達以外に、誰が信じて味方アイツに撃てるのよ!! アイツはね大丈夫だって、言ったのよ。何度も困難を乗り越えて、無理だと思うことも、無謀だと思うことも全部何とかして、主人公らしくもないのに主人公みたいなことをやってのける主人公アイツが言ってんのよ。それなら──大丈夫なんじゃないの……命?」

「くっ………………了解……しました。アルテーミス及びエーテリオン艦内の全エーテルバイパス解放、砲身へ送信。トリガーロック解除……艦長、エーテルアクティベーション準備──完了です!!」


 頭を伏せるように下げながら、バスター砲の準備を済ませる命。その机には彼女から流れ落ちた涙があった。


「ありがと、命……エーテル──アクティベーション!!」


 ゆっくりと立ち上がり、机に現れたトリガーを握りしめると、それを一気に引き抜き、その見えない銃口を仲間へと向ける。


「くっ、腕の修復が間に合わない! 離せ、離せ離せ離せ!! 私はこんなところで終われないんだ、新生ディオス帝国の帝王になる私の望みは、こんなところで終われないんだあぁぁぁぁぁーッ!!」

「終わりなんだよ、お前の野望は! カグヤを、カグヤの国を、俺達の故郷を巻き込んだテメエの夢なんて、俺が──俺達がぶっ壊す!!」

「ふざけるなぁっ! 貴様も死ぬんだぞ、わかっているのか!?」

「へっ、この身と引き換えに世界を守る。なんだよそれ、超主人公じゃねぇかよ! 最高だね!!」

「ば、バカだ──お前は大バカだあァァァーッ!!」

「ハッ……よく言われたよ、アイツらに」


 この戦いの最期に、飛鳥はエーテリオンでの日常を振り返った。


 ロボットに乗って戦ったり、

 カグヤによく撃たれたり、

 相馬にも撃たれたり、

 カグヤの裸を風呂で目にしたり、

 エーテリオンで製造基地ぶっ壊したり、

 カグヤの水着姿にちょっと興奮したり、

 三蔵がシャロを連れてきては一騒動あったり、

 世界中を納得させるために学園祭を開こうとしたり、

 カグヤが音痴だったり、

 世界中を歌で洗脳したり、

 ジャンナ相手に全滅仕掛けたり、

 ジャンナに無人島で酷い目会ったり、

 カグヤ助けたり、

 カグヤと協力して敵倒したり、

 カグヤの事打ち明けられたり、

 カグヤに打ち明けたり、

 カグヤに告白したり、

 カグヤと宇宙行ったり、

 相馬キレたり、

 カグヤ連れ去られたり、

 命に冗談告白されたり、

 総力戦になったり、

 アマツボロボロにされたり、

 カグヤ助けたり、

 カグヤとキスしたり……たりたりたりたり。


「ったく……最高に充実しすぎだろ、俺の青春──ホントに主人公かっての……」


 イクスディスを挟んで見えるエーテリオン。そこでの思い出が、いかに自分にとって大事な日々だったかを再確認させられた。


 こんな場面、あと言いたいことはたった一つだ……。


「全エーテル活性完了、最終安全装置解除……いけるぞ、カグヤ」

「……飛鳥、撃つわよ」


 笑顔もなく、涙もなく、怒りもなく、複雑で空っぽな表情で、飛鳥に最終確認をするカグヤ。


「……カグヤ」

「何……?」

「──やっぱり大好きだ」

「…………私もよ」


 カグヤの声は、その時確かに震えていた。


「…………撃てぇぇぇぇぇーッ! カグヤァァァァァーッ!!」

「──ッ! エーテリオン──ブラスタアァァァァァーッ!!」


 こらえていた涙が、全ての気持ちを込めた叫びと共に流れ出す。

 エーテリオンから放たれたフルチャージのバスター砲は、黒い宇宙に白線を引き、そのままイクスディスへと向かっていった。


「まぁぁぁぁぁてえええぇぇぇぇぇーッ!!」


 ディオス最期の絶叫と共に光は二機を包み込み、光が消えたそこに、イクスアレイの姿はなかった。


「イクスアレイ、イクスディス、両機の反応……消失」

「…………」


 構えていた腕をダランと落とし、握っていた手からトリガーが床に落ちる。


 戦いは終わった……だが、代わりに大切な仲間を失ったカグヤの顔が晴れることはなかった。


 ──そんな時である。


「…………! 二機のいた宙域から反応、こちらに近づいてきます!」

「──! モニター映して!!」

「あれは──戦闘機……?」

「飛鳥! 飛鳥なんでしょ!?」


 一体あの戦闘機がなんなのかはわからない。


 だが、あれが飛鳥であると感じたカグヤは、マイクに向かってその名を叫ぶ。


「ったく、そんなに呼ばなくても聞こえてるっての……ただいま、カグヤ」

「……バカ、何がただいまよ。最後の最後までカッコつけて!」

「でも飛鳥さん、どうやって?」

「ん? ああ、それは……」


 ……一分前


「くっ、私もこれで終わりか……だが、一人では死なん貴様も道連れだ」

「ふぅ……さて、もうそろいいかな」


 感動の別れを体感した飛鳥は、もうここに残る必要もなくなったので、イクスアレイの能力を使用し、次の準備を済ませる。


「なっ!? 貴様、なんだそれは!」

「何って、戦闘機型脱出ポットだよ。ロボ物の鉄板だろ、こういうので戦艦に帰るのは」

「なんだと!? この身と引き換えに世界を守るんじゃなかったのか!?」

「はあ? なに言ってんだ、やっぱり主人公が帰ってこそのハッピーエンドだろ。何が悲しくて、お前と心中して、夕日に向かって敬礼されなきゃならねぇんだよ! そんなバッドエンド、俺はごめんだね」

「待て、僕も連れていけ! おい、一人で行くな、おい、おいってばっ!! 待て、まぁぁぁぁぁてえええぇぇぇぇぇーッ!!」


 ……


「てな感じでな……ああ、あとアイツのコアも脱出前に改造しといたから、多分生きてると思う。完全再生まで時間もかかるだろうけど、念のために早めに回収しといてくれ」

「せっかくの涙も引いて、呆れて笑える内容ね、まったく……」

「……悪い。でも、やっぱり主人公ってたら、戦闘機型のポットで帰るもんだろ? ま、コアさえ残ってれば──」


 イクスアレイのコアである戦闘機が二つ折りに変形すると、なにもない空間から上半身と下半身が現れ、ドッキングを果す。


 そこには無傷のイクスアレイが存在していた。


「イクスアレイも元通り、っと」

「この──バカ主人公!! こっちはホントに心配したんだからね!」

「だから悪かったって!」

「絶っっっ対、許さないわよッ!!」

「はぁ……準備するか、艦長?」


 いつものノリで主砲でも撃つのかと焔が尋ねるが、カグヤは少し考えながら艦長席に座り次の行動を指示した。


「…………もう、いいわよ! とっととみんな回収して!」

「はいはーい、全機帰還お願いしまーす」

「良かったです……無事終わって」

「ま、私達にかかればこんなもんよ」


 月都カグヤ

 茨命

 白雪光

 魚見焔


「ほら隊長、主人公である俺がキッチリ終わらせたんだから、とっとと帰ろうぜ」

「そうか……無事終わったか」

「そのようですね……それではウルカ殿、私はこれで」

「いや、だーかーらー、俺を置いてかないでって!」


 神野飛鳥

 神崎刹那

 神谷大輝


「終わった……の?」

「うん、全部終わったみたいだよ。帰ろっか、零ちゃ──」

「二人とも無事ですかー!」

「無事に決まってンだろうがこのハゲ!!」

「とっとと帰るぞ! 遅れんなよハゲ!!」

「やっぱりこの部隊キツいや……」

「私がいれば問題ないだ──いや、なんでもない」


 一ノ瀬零

 阿久津宗二

 桑島三蔵

 シャーロット・エイプリー


「まったく、やはり騒がしい連中だな」

「でも、それでこそエーテリオンですよ、相馬さん」

「隊長、無事でしたか!?」

「見りゃわかるでしょ、早く帰りましょ隊長、疲れたわ」

「そうだな……では帰ろうか」


 赤城相馬

 葵貴理子

 黄瀬綺羅

 緑川凛


「まさか、あの激戦で誰も死なないとは……」

「味方だけでなく敵であった三帝貴族の皆さんも無事」

「諸悪であるカイセルにディオスまで……」

「まったく、姫様といい神野飛鳥といい、とんでもない連中だな、エーテリオンというのは……」


 ジャンナ・D・ローゼス

 ジル・ド・リリィ

 レイ・ド・リリィ


 全戦闘員欠員無く、無事帰還。

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