第6話
外界に歩み出たハッセルバインクは、時速百キロを超えるスピードで駆けていた。もともとがミニチュアダックスフンドであるため、巨体になったとはいえ足は短くアンバランスだ。その短足が高速回転している様子は滑稽そのものだが、その姿を認識した人々は次の瞬間、鋭い爪で切り裂かれ、そのときの痛みが最後の記憶となる。
ハッセルバインクは渋谷で首都高に乗ると、たびたび中央分離帯を飛び越え、反対車線を逆走しながら、首都高速十一号台場線経由でお台場方面に向かった。途中、いくつもの自動車を巨大な体躯で吹き飛ばし、道を遮るトレーラーを両の手で抱え上げ、階下に放り投げた。ただし、マグニチュード9.5の地震の影響もあり、人々は既にパニックになっており、最大限膨らんだ混乱がさらに増幅されることはなく、割とスムーズに目的地に足を運ぶことができていた。
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