誘惑の奴隷
一定のリズムで刻む機械の駆動音が鳴り響く工場内。
その無機質で不格好な工場内の廊下を一人の美少女が歩く。
妖艶な色香を放つ少女とその風景は不整合であり、一層とその少女の美しさを強調させる。
「なんだ用件というのは。緊急を要する時に」
廊下の壁に寄り添ってアウトサイダー横浜支部長、佐久間が美樹に言う。
その顔は不満に満ちていた。
だが、その表情をまるで気にせず、美樹は屈託ない笑顔で口を開く。
「ごめんなさい。とりあえず、手前のロッカールームでお話ししましょうか?」
言って、美樹は手を扉へ翳し、佐久間を部屋に案内する。
「で、何だと言うのだ。こんな部屋に案内して、そんなに他の者には知られたくないのか?」
「ええ、とても、『イケない』話なので」
美樹は言葉を発しながら、背後の手を動かし、静かに部屋の鍵をかける。
カチャリ、という音を響かせ、口を吊り上げ、艶美な笑みを浮かばせる。
「佐久間……支部長」
「お、おい……」
『何か』を懇願する様な美樹の上目遣いの表情。
その吐息は荒く、その表情は紅潮し、艶やかな唇を動かす。
その強烈な色香に動揺した佐久間は後退し、背後のロッカーに背をぶつける。
佐久間は、美樹を見る。
そのTシャツを膨れ上がらせる豊満な胸の谷間が焦点に合い、思わずその顔を背ける。
「要件は単純よ。私を、『抱いて』」
その佐久間の耳下で、美樹はいやらしい声色で囁く。
「な、何を馬鹿なことを……し、知っているぞ! お前は交わった男を操り、さらにその力さえも糧とすることが出来る! 俺は騙されないっ!」
「ふふ、あなたがそれを知っているのはわかってる」
『色欲』から逃れようとする佐久間の眼は泳いでいた。
そんな佐久間の様子を子供を見る様にクスリと笑い、美樹は佐久間に抱きつく。
自身の胸へと佐久間の手を当てさせ、首筋を舐める。
その短パンから生やす生足を佐久間の足へと絡ませ、秘部を刺激する様に、股目を這わせる。
「ああ、この逞しい体、がっしりとした腕……いい。それに、こんなに大変な時に冷静に物事を考えられるなんて、惚れちゃう」
「くっ! やめろっ!」
誘惑の甘い声に、理性を吹き飛ばされそうになった佐久間は、それを振り切る様に、美樹を払い除ける。
「やんっ!」
払われた美樹は、地べたに倒れ伏せる。
「ひどい……女がこんなに頑張って誘っているのに、恥をかかせるなんて」
「黙れ! 魔女め!」
『魔女』。そう告げた佐久間は呼吸を乱していた。
この場にいるだけで、性的な『興奮』に、脳髄が徐々に浸食されそうな、美樹が放つ『強烈なフェロモン』。
それに、自身が冒されている。
そう、佐久間が認識した時には遅かった。
地へとへたり込む、生足、尻、胸――全ての先程の『色欲』を刺激する感触が再び、佐久間に襲い掛かる。
涎を垂らし、いきり立つものを無様に晒してしまった佐久間は、しかし、その羞恥すら感じ取る事が出来なくなっていた。
「ふふ、体は正直なのね。ああ、そうそう私『も』、この支部が長く持たないことは知ってるよ。あなたと同じように、ね」
佐久間の様子に、美樹は自身の『能力』に彼が囚われた事を悟る。
美樹は立ち上がり、再び、佐久間へと歩む。
しかし、その美樹を佐久間が逆に羽交い締めに押し倒す。
「そんなあなたの冷静さは素敵。これは本当だよ。だから、きて。一杯、私を愛してよ……」
「はあ、はあ、美樹、美樹っ!」
「ああん、もう……焦らしも、何も無いの?」
完全に『発情』した雄と化した佐久間は、無理矢理に美樹の短パンを脱がし、Tシャツを捲りあげる。
だが、吐息を荒げる佐久間は、首を振りながら『色欲』に抵抗しようとする。
「この私の体、滅茶苦茶にしたいでしょ? 貪りたいでしょ? 良いんだよ、あなたの愛を感じさせて」
しかし、美樹は艶美な口元の歪みと共に、佐久間の手をとって、豊満な自身の胸へと移動させる。
そこで、佐久間は再び、理性の消失が加速する。
倒れ伏せる美樹の胸を揉みし抱き、脚を舌舐めずる。
「美樹……!」
「うん、それで良い……お互い、楽しもう?」
微笑して美樹は誘惑の言葉を佐久間へと注ぐ。
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