葛野葉美樹の思慮
「ふう……」
葛野葉美樹はため息をつく。
美樹は桐人から逃げたあと、廃工場の中を歩いていた。
「どうした、美樹?」
頭の中の悪魔が囁く。
「いえ、あの桐人っていう奴……一体、何を企んでいるんでしょうねえ?」
手を顎に当て、美樹は思慮に耽る。
「私もわからない。『この世界』を興じるようになってから、あんなに掴めない奴とは初めて会った。『アビスの住民』でさえも把握できない『存在』。私も久しぶりに恐怖を感じたよ」
「初めて会った時も、今回も、『まるで本気を出していなかった』よ。まるで、私を泳がしているような……本当に不気味」
「案外、ミカエル以上に『私達の目的』の障害になるかも知れん」
「何にせよ、アビスの住民しか知りえない『世界の創造』が出来ることを知っている時点であの男はインカネーターの中でも何かワケありの存在みたいね」
「私達のようにな」
ははは、アスモデウスは高笑いする。
だが、美樹が相槌を打つ暇は無かった。
「椎橋桐人。奴は太古の時代に七十二柱の悪魔を使役していたソロモン王の生まれ変わりであり、アダムの『極秘機密人物』。だが、それも奴の一片であり、その本当の正体はアダムでも位の高いごく一部の人間しか知られていない」
突如、物陰から鋭く、鋭利な声が響く。
その声色に、美樹は思い当たり、表情を硬直させる。
「浅羽様」
工場内の製造したものを運搬するベルトコンベアの陰から、一人の男が姿を現す。
美樹は『いつも通り』の屈託ない笑顔でその男の名を口にする。
「ご苦労、美樹。ウリエルから聞いたよ。大変だったみたいだな」
その浅羽と呼ばれた男は黒ずくめのスーツを着て、黒と白のメッシュを施された髪はオールバック、さらにサングラスをかけていた。
手には鮮血の様な赤いグローブを装着している。
その風貌、そして冷徹な雰囲気を醸し出すその男は、世間一般でいうヤクザの形を成していた。
「すみませんでした。まさか、インカネーターや天使も感知できない私を見つける人物がいたなんて──」
「ああ、謝らなくても良いぞ。あの『桐人』なんだ、しょうがない。それに『この組織』が動き出してから、奴らアダムの連中が動き出すのは時間の問題だったしな」
ははは、と声高々に笑い、浅羽は美樹を宥める。
「ところで、何故アウトサイダーの『リーダー』である浅羽様がこのようなところに? しばらくは海外のコネクション先へ向かうと仰っていたはずでは?」
「実は、面白い情報を聞いてね。急遽、日本へ戻ってきたんだ」
浅羽はさも興味深そうに口を吊り上げ、微笑する。
「何でも、そのアダムが日本である計画を実行しようとしているらしい。その名も『フォールダウン・エンジェル』計画。内容は実にシンプルなものだ。約千年ぶりに姿を現した『ガブリエル』の化身をエサに、ミカエルを『この世界』に現界させ、一斉に叩きのめす計画だ」
美樹はその言葉に反応し、目を細める。
「ガブリエル……?」
浅羽は美樹の反応に、にやりと更に口を吊り上げる。
「ああ、そうだ。君の大のお気に入りである京馬くんを囮にして、ミカエルを誘き出す作戦だ。つまり、奴らは京馬くんを『利用』しているのさ。京馬くんがその事実を知っているかどうかはわからんがね」
「京ちゃんを囮に……? やっぱり、アダムは気に入らないね」
美樹は視線を逸らし、口を歪ませていた。
その美樹の『素』の表情の変化を、さも愉快そうに見つめ、浅羽は言う。
「全くだ。自分達だけ情報を独占しておいて、あげくにこの『計画』だ。何が世界平和だ。やれやれ、本当に信頼できない組織だ」
(信頼出来ないのは、あなたも同じだけど……)
(ふはは、全く、その通りだ)
わざとらしい嘆息して、浅羽は呟く。
その呟きに、美樹とアスモデウスは心情でそう思う。
明らかに大っぴらな浅羽の表情を、美樹は知り得ていた。
『胡散臭い』。
それは、あの桐人と同義である。
だからこそ、美樹は目の前の『浅羽』という人物があまり好きにはなれなかった。
だが、その『立場』上、美樹は従うしかない。
だからこそ美樹は、この男の前ではポーカーフェイスを決め込んでいた。
「それで、浅羽様はどうしてその計画を知って日本へ戻られたのですか?」
そんな心情を只管に隠し、美樹は微笑しながら浅羽に問う。
「ちょっとばかしその計画を邪魔しようと思っていてね。やりようによってはミカエルの天使勢も、アダムのインカネーター共も、一網打尽できる」
愉快そうな表情で、浅羽は右手を回す。
回転の最中、手品の様に一丁の銃が手のひらに収まっていた。
「俺も、この七つの大罪、『傲慢』を司る『ベリアル』の力で存分に暴れまわる。楽しいパーティになることだろうな」
浅羽は、その赤銅色の拳銃を眺め、告げる。
「その計画の邪魔の仕方とは?」
「悪いが、それはまだ教えられない。組織に加入してまだ日の浅い君にそこまで教えるのは、組織内の体裁として良くないことだからな」
「……」
沈黙とした美樹は、不機嫌な表情を露わにしていた。
『普通』の事ならば、美樹がその様な表情の変化をする事は無いであろう。
しかし、今回は『京ちゃん』――美樹の想い人に関与する事だ。
浅羽は、知っている。
今目の前にいる『悪魔』は、その一点のみには『素』を露わにする事を。
「最先端の情報を知り得たいのならば、それ相応の地位まで登りつめることだ。まあ、レアな存在である『七つの大罪』の悪魔を化身に宿したもの同士、仲良くしようではないか」
だが、浅羽はその変化について、そこまで言及する事は無い。
する必要も無い。
その様な些細な『駒』程度に、そこまで気に掛ける訳も無い。
「さて、丁度良く俺はその地位が昇格できるかどうかの頼みごとを君にお願いしようと思うのだが……良いかね?」
「はい。何なりと」
こくりと、美樹は答える。
「例の件で、恐らくアダムの幹部どもがこのアウトサイダー横浜支部に攻め入るだろう。そこで、君には支部の守護とともになるだけの情報収集をやってもらいたい」
「承知しました。しかし、情報収集とは?」
「君のお気に入りの京馬くんについてだ。どのような能力か、どのような人格か、どのような思考か──とにかく何でも良い。後は敵の戦力分析か。先ほど守護と言ったが、それは形上だ。どうせ、アダムの幹部どもが攻め入ったらこの支部の戦力では持ち堪えない」
「京ちゃんについては私が良く知っていますが?」
「君が知っているのは、あくまでインカネーターではない京馬君だ。インカネーターとは不思議なものでな。なる前となった後では思考や人格が徐々に変わってゆく。微々たるものだが、その進行具合でどこまで化身と『馴染んで』いるのかわかるんだ」
美樹は首を傾ける。
『内容』は分かった。
だが、『意図』がさっぱり分からない。
「その化身との馴染み具合を知って、どうするのですか?」
「いつ、ミカエルが現界するかを確認するんだ」
更に分からないという美樹の疑問の表情を見て、浅羽は言葉を付け足す。
「ミカエルはインカネーターの中のガブリエルの存在が色濃くなった時に現界する。これはある理由によるものでね」
「ある理由?」
「天使の化身は色々と他とは異なるインカネーターでね。ミカエルはその化身を通して本神である『アビスの住民』をそのままこの世界に現界することができるんだ。その条件がある一定の状態まで化身と本体を『馴染ませる』ことでね。ミカエルはそのタイミングを狙って現界する」
「なるほど」
合点した美樹の表情に、浅羽は頷く。
「内のナンバーツーであるウリエルは、それで現界した『アビスの住民』の一人だ。しかし奴は結局、ミカエルを裏切ってしまったがな」
ははは、と浅羽はさも可笑しそうに痛快に笑い上げる。
「しかし、アダムの者が侵攻してくるとして、京ちゃんが来る可能性は絶対ではないと思うのですが?」
「それは、ある者によって確証を得ることが出来た。非常に強力な助っ人でね。彼に頼めば何でもお見通しさ。しかし、金では動いてくれるが仲間にはなりたくないらしい。何度もラブコールを送っているのにね」
嘆息し、珍しくとても残念そうに告げる浅羽を見て、美樹は片眉を下げる。
「そのある者というのは──?」
美樹の疑問に対し、声を遮るように浅羽は人差し指を自分の口元に当てる。
「それも、教えられない」
不敵に口を吊り上げて浅羽は告げる。
「伝えるだけのことは伝えた。では、健闘を祈るよ」
告げた浅羽は美樹へと背を向け、片腕を振り上げる。
極秘とする情報の多さに美樹は腹を立て、その浅羽の背を睨み付けていた。
だが刹那、突如として浅羽の足先から炎が巻き上がり、美樹を驚愕の表情へと一変させる。
「これでも、今の君の地位に関わらず、かなりの情報を提供しているつもりなのだがね。そう、目くじら立てるなよ。では、さらばだ」
(……!?)
浅羽は美樹の表情を見透かすように言って、灰のように霧散して消えていった。
「ふう……やはりあの男も食えないね。さすが、一組織のトップといったところかしら」
「まあ、あの桐人ほどではないがな」
美樹の所属するアウトサイダーのリーダーにして、ほとんどの構成員が知らない『その男の正体』。
以前は暴走族あがりの暴力団に所属し、非道の限りを尽くしていただとか、極秘裏にアダムの重要なポストの座に着いていた等、眉唾ではあるが、組織内でも色々な情報が飛び交っている。
『アダムから追われたもの。または反旗するもの。そして世界を変えたいと思うもの』。
それが、アウトサイダーの求める思想を持つ人物であり、そしてまた『リーダー』の思想でもある。
――何にせよ、その『リーダー』は得体の知れない気味の悪さがある。
美樹は気を引き締めて、工場の中を進む。
美樹は歩を進め、稼働中の工場の待合室に着く。
「やあ、『色欲』の愉悦は楽しめたか?美樹」
戸を開け、美樹に話しかけたのは、すこし痩せ細った体格の男だった。
作業着を身につけ、顔はやや老けている。
「志藤の方こそどうなの? 良いものは盗めた?」
その痩せ細った志藤と呼ばれた男は首を横に振る。
「途中で天使の邪魔が入ってね。まあ、葬っておいたから追跡はないが」
そう言って、志藤は美樹とは向かいの椅子に座る。
そして、手に持っている金のネックレスや拳銃、白金の腕輪などを机に置いた。
「十分、盗めているじゃない」
美樹の言葉に嘆息して志藤は言う。
「残念ながら、俺の目当てのものは手に入らなかったのさ」
「……娘さんを殺した犯人の証拠?」
志藤は頷く。
「警察署内に上手く忍び込んだは良いが、その後に奴らに襲われてね。結局はこんなちっぽけな拳銃をついでに盗めただけだった」
志藤は窓越しから見える無機質な風景に目を向けていた。
だが、その目は風景とは別のものを眺めている様であった。
そんな志藤を見て、美樹はため息をつく。
「あなたも変わったインカネーターね。復讐のためにアダムではなくアウトサイダーに所属するなんて」
はは、と志藤は乾いた笑い声をあげる。
「確かにそうだな。俺みたいな窃盗犯を迎え入れてくれて、復讐に手を貸してくれる組織はここにしかないからな……ふう」
志藤は憂鬱にため息を吐く。
「そんな前科持ちだからこその『ヴァレフォール』の化身なんだろうなあ。因果だねえ」
ガチャッ
と、開錠音と共にまた一人、室内に人が増える。
二人は戸を開けたものを見つめる。
「おや、早いじゃないか。二人とも」
そこには温和な顔をした男が立っていた。
しかし、その笑顔にはどこか自然でない薄気味悪さがある。
その男の顔を見て、美樹と志藤の表情は険しくなる。
「どうしたんだい? 二人ともそんな怖い顔して?」
にっこりと微笑みながら、その男は話しかける。
「……まさか、最終防衛ラインの人選、最後の一人がお前だったとはな。氷室」
志藤は氷室を睨んで言う。
明らかな『憎悪』の瞳に串刺しにされ、だが氷室は苦笑するのみであった。
「あー、この支部の人はまだ『仲間殺し』の件を根に持ってるの? あれはしょうがなかったんだよー二人とも殺しておかないと、あの天使を葬ることができなかったんだし」
ポリポリと頭を掻きながら、氷室は言う。
そのふざけた様な態度は、余計に二人の感情を逆撫でしていた。
「私たちも背後には気をつけないとね。いきなり首をバッサリなんてごめんだもの」
目を閉じ、はあ、とため息を吐きながら美樹が言う。
対し、志藤は拳をギリ、と握り締め、只管に氷室へと射殺す視線を送っていた。
「勝利には犠牲は付き物だよ。ね?」
そんな二人の雰囲気など意に介さず、氷室はにっこりと微笑み、足を組んで座りながら話す。
「どのみち、お前みたいな殺人を愉悦にしている奴が俺は嫌いだ。この殺人鬼め!」
志藤が氷室に人差し指を向けたかと思えば、一本のナイフが出現し、氷室の眼前へと向けられていた。
だが、氷室はその殺意をまるで気にしない様に、お茶目に首を傾げる。
「何言ってるんですか、志藤さん? 僕達が相手にしている天使どもも元は人間だっていうのに?」
「それこそ、勝利の犠牲だ。俺もそれは弁えている。だが、お前はどうだ? どさくさに紛れて、一般人を殺したのは何件あった?」
氷室へと向けられたナイフは、志藤の親指の動きと共に、二本、三本と数を増やしてゆく。
それは、まるで怒りのボルテージの増幅を表しているかの様に。
「やだなあ。わざとじゃないって言ってるじゃないですか。僕の能力故に、でしょう?」
へへへ、と氷室は笑う。
まるで、自身に悪意が無いとした態度は、逆に志藤から呆れのため息を漏らさせる。
「……ち、話にならん」
志藤は苛立ちをナイフに込め、机に突き刺す。
そして、美樹は我関せずと窓を見つめていた。
重々しく険悪な雰囲気の中、戸を開けるものがまた一人。
「やはりな。まあ、予想はしてたさ」
周りを見渡し、その雰囲気を察した男は、嘆息して言う。
「『支部長』っ! これはどういうことですか!?」
志藤は机を叩き、その男に対して叫ぶ。
「まあ、殺人鬼に娘を殺された君がその男を嫌う気持ちはわかる。しかし、これは浅羽様からの命令なのだ。わかってくれ」
くっ、と悔しそうに志藤は呻き声を挙げ、目を下に向ける。
対して、氷室は表情を変えず、ニタリと笑っていた。
「佐久間支部長。浅羽様からはこの編成を何と?」
美樹はそんな二人を無視して『支部長』佐久間に聞く。
「単純さ、実力で厳選したと言っていた」
首を捻りながらため息を吐いて、佐久間は告げる。
その佐久間の様子から、佐久間自身もこの編成に不満が込められているというのが誰が見ても明らかであった。
その深いため息の後、佐久間は美樹へと視線を向ける。
「あと、君に浅羽様から通達だ。『期待している』だそうだ」
その言葉に、美樹はふふ、と微笑する。
それは、『嬉しさ』とは程遠い、呆れの笑い声であった。
恐らく浅羽は美樹を試しているのだろう。
でなかったら、こんな危ない編成にするはずがない。
志藤に、氷室――相性最悪な組み合わせだ。
それに、数々の『仲間殺し』を犯した氷室は、アウトサイダーでも屈指の厄介者だ。
今回の作戦が成功したら恨み節でもぶち込んでやろうか──
そう、思案していると頭の中の悪魔が囁く。
「随分とイラついているな。大丈夫か?」
「ええ、心配しなくても大丈夫だよ。これは別の方向へぶつけるから」
「ははは、派手に楽しめそうだな」
美樹は頭の中で悪魔と会話する。
当然、他の三人は気付いていない。
「一人、予防のために『手駒』にした方が良さそうね」
美樹は苛立ちを抑え、三人を冷静に、品定めをする様に見渡す。
「氷室は『最中』に殺されそうだから除外して、やはり支部長の佐久間を狙ってみようかな」
「俺もあいつの力が欲しい。決まりだな」
悪魔との会話で美樹は『ある』目標を決める。
「話は変わるが、実は今この横浜支部が大変な事態になっている」
そんな美樹の『
大変、と言う割には平然とした表情の佐久間に美樹は疑問を醸し出す。
「実はさっきまで、この横浜支部はある一人の天使に襲撃を受けていた。その力は強大で、『御前の七天使』を凌ぐのではないかと連絡で告げられたよ」
「その天使の名は?」
ピリピリとした志藤と氷室を脇に、美樹は訝しげに尋ねる。
先ほどまで桐人と対峙していた美樹だが、そんな強大な力の感知はまるでしていなかったのだ。
ウリエル……は、味方なのでその線も無い筈だ。
「それが一瞬のうちに護衛が倒されてしまい、姿の確認さえできない。残るインカネーターも私を含め、六人ほどしかいなくなった」
その情報に驚愕し、皆が佐久間に注目する。
先ほどまでの険悪な雰囲気を一掃してしまうぐらい、三人に衝撃が走る。
「嘘だろ……? 二十人はいたインカネーターが一瞬のうちに半数以下だと!?」
驚愕の事実に志藤は戦慄する。
「『ウリエル』はどうしたんだい? 彼も前線を守護していたはずだろう?」
氷室は足を組むのを止めて、眉間に皺を寄せる。
「ウリエルは、直前に『噂の桐人』にやられたらしい。まったく恐ろしい奴だ。『アビスの住民』に人の身で勝てるとは」
目を閉じて、嘆息した佐久間は言う。
「だが、今は何故かその天使は姿を消し、残りのメンバーで立て直しを計っている。さらに東京本部からの救援をお願いしている最中だ。しかし、救援はかなり遅れるらしい。要するにだ」
佐久間は三人へと指を突き立て、続ける。
「お前達がどんなに仲が悪かろうと、救援が来るまでなんとしてもこの最終防衛ラインは死守しろ。それが、今しがた浅羽様から受けた俺達の任務だ」
ふう、と一息つき、佐久間は目を伏せる。
相当、心労しているのか、疲弊が顔に滲んでいた。
(本部からの救援……? さっきの浅羽の口ぶりからして、そんなの送ってくるわけない。まったく、浅羽はエグイね。こうやって、切り離すものは簡単に切り離してしまう男なんだから)
(合理的ってやつなのかね。裏世界で長い事ひっそりと地位を確立してきた奴だ。こういう事は手慣れているものなのだろう)
美樹は佐久間からの情報に、僅かに嘲笑する。
その美樹の呟きに、アスモデウスも気に食わなさそうな声色で呟く。
(でも、私は負けない。登りつめてあげるよ。待ってなさい、浅羽)
机下に潜める拳を握り締め、美樹は決意を新たに、その先を見据える。
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