人物紹介※ネタばれ多数

坂口さかぐち 京馬きょうま(主人公)

 血液型 O型 身長 172 cm 右利き

 宿す化身:ガブリエル

 固有能力:『想い』を力に変える

 捕縛結界:晴天の荒野

 固有武器:『壊れた世界の反逆者ブロークワールド・リベリオンズ


 天橋高校バスケ部所属。特殊な力や特別な過去というものなんて一切ない、ごく普通の高校生。少し大人しめだが、社交的であり友達も割と多い方である。

 容姿はややイケメン。実は同じクラスの葛野葉美樹が好きであり、お互い意識し合っていた。


 しかし、美樹は悪魔の化身に精神を乗っ取られてしまい、京馬は美樹と対峙することになる。


 京馬はある日、夢に見た荒野の中で光と光が衝突した時に落ちてきた羽を拾うことにより、インカネーターの力に目覚める。

 通常はインカネーターになるためには化身が宿り、精神を強く蝕むような試練を経てインカネーターとなる。

 そのため、京馬は非常に特殊なインカネーターの力の覚醒をしている。


 京馬はインカネーターになった時に椎橋桐人に監禁されて、ミカエルをおびき出すための人質になりそうだったが予知夢によって回避し、ミカエルを打倒すべくアダムへ配属することを自ら望んだ。


 インカネーターの固有能力は、想いをのせ威力や性質を変える矢である。

 主人公にしてはなかなか不安定な能力であるが、強い想いを込めた一撃は絶大であり、感情をコントロールできれば非常に頼もしい能力である。

 京馬は様々な経験を経てこの能力を極限まで高めることになる。




 ・椎橋しいばし 桐人きりと

 血液型 AB型 身長179 cm 左利き

 宿す化身:『嵐王』オリエンスetc...

 固有能力:大気属性魔法の強化(最大三倍)etc...

 捕縛結界:高山に浮遊する遺跡etc...

 固有武器:シルフィード・ライン(科学とアビスの力の混合兵器)etc...


 秘密組織『アダム』の幹部の一人。

 インカネーターとなった京馬をアダム日本支部に勧誘した人物。


 容姿はかなりイケメン。現在は某有名大学T大の学生である。

 知的でクールな面持ちであるが、実はかなりお茶目好きである。

 やや掴みどころのないその雰囲気とそのルックスが相まってかなりモテる。


 桐人は非常に特殊なインカネーターである。通常は四界王の一人、『嵐王』オリエンスを化身としているが、指に嵌めた『ソロモンの指輪』によってその他七十二柱の悪魔の化身を扱える。一見、便利な能力であるが、精神力の消費は通常より割高なため、使い勝手が良くないらしい。しかし、その指輪の力を全力で行使した力は驚異的である。


 桐人はソロモン王の転生した存在であり、過去に幾度も転生を繰り返してきた。しかし、本人にその記憶はあまりなく、薄ぼんやりとしているらしい。

 さらに、桐人はアダム上層部以外には知られてはいけない秘密があり、組織内で『極秘重要人物』として扱われている。

 桐人の以前の転生先はアダム・アメリカ支部にいた『英雄』リチャードだっ

た。


 その強さから『最強』の称号を得ていたが、ある任務中に行方不明となり、同行していた仲間もエレンの祖母とサイモン以外は皆、殺されていた。


 その謎の事件から数十年間、アダムはリチャードの転生先である人間を必死に探索していた。そして今から四年前に、アダムは桐人の存在を突き止める。

 そして桐人は勧誘され、アダムへ加入することになった。




 ・葛野葉くずのは 美樹みき

 血液型 B型 身長 163 cm 右利き

 宿す化身:アスモデウス

 固有能力:自身と交わった人間を操る。

 捕縛結界:紫と赤の肉壁

 固有武器:『黒炎の轟きダーク・プロミネンス』、『変幻自在の触手メタモルフォーゼ・テンタクル


 可愛らしさの上に、妖艶な美しさを持った美少女。

 美樹はその容姿と雰囲気から、男子生徒に異常なほどモテる。


 現在では、『葛野葉美樹ファンクラブ』というものも結成されるほど。

 さらには、資産家の父の下、非常に大きな家に住むお嬢様でもある。


 美樹は京馬とは同級生であり、幼馴染である。

 しかし、中学では女子校に通っていたため、京馬とは高校で久しぶりの再会をする。

 京馬には小学生の頃から想いを寄せていたが、自身から告げられないでいた。

 しかし、その想いは頑なであり、数多の告白してきた男子を振りまくる。

 その結果、『難攻不落の鉄壁美人』というあだ名をつけられる。

 しかし、美樹自身はその告白もまんざらではなく、幾つかの気に入った男子には良からぬ妄想をしている。


 美樹はそのモテっぷりから、同性には妬まれ、よく嫌われる。おまけに少しズれた思想であるためか、さらにその動きに拍車がかかる。

 さらに、最近では父親の不倫など、家庭の環境も悪くなっていた。

 それらの苦悩の中、美樹は『七つの大罪』の一つ、『色欲』の悪魔アスモデウスの化身を宿すことになる。


 美樹はその悪魔の精神の蝕みに自身への危機を感じ、焦りと安堵を求めて京馬に接近した。

 だが、その想いは虚しく、美樹の精神は最終的にアスモデウスと完全に同化し、アスモデウスそのものとなってしまう。


 そして、京馬との対峙の末、敗れた時にアスモデウスに認められ、美樹は特殊なインカネーターとなる。


 その後、美樹はある目的のため、アダムと対峙する新興組織『アウトサイダ

ー』へと加入する。

 美樹は自身と交わった人間を操る事が出来る。数に制限はなく、場合によっては強力な力を得られるのは驚異である。さらにその『色欲』を味わえば味わうほど精神力は強くなっていく。

 しかし、戦闘用の固有能力ではないため、実戦では扱えない。

 そのためなのか、美樹は固有武器を二つ所持している。黒い炎で相手の精神を焼き尽くす『黒炎の轟きダーク・プロミネンス』と、攻撃や防御など幅広く使える『変幻自在の触手メタモルフォーゼ・テンタクル』だ。




 ・エレン・パーソンズ

 血液型 B型 身長 171 cm 左利き

 宿す化身:ケツアクウァトル

 固有能力:電気の流れを操る

 捕縛結界:雷鳴轟く暗雲の荒野

 固有武器:『マッシヴ・エレクトロニック』(科学とアビスの力の混合兵器)


 究極とも言える端正な顔立ちを持ち、さらには出るとこは出て、締まるとこは締まる、それまた究極のボディーラインを持つ美女。

 おまけに面倒見も良く、異性からは絶大にモテる。


 そのためか、以前のエレンは高飛車で欲しいものは何でも手に入ると思っていた。

 しかし、それも祖母の死が皮切りとなった恐ろしい事件によって一変する。

 その事件はエレンの家族を援助していたサイモン・カーターでさえも戦慄するほどだった。

 家族を全て亡くしたエレンは逃げに逃げ続け、そして、ケツアクウァトルの化身を宿すことになる。


 それからのエレンの日常は過酷だった。

 制御できない力、謎の追手。

 が、次第にエレンはその日常に順応し、遂にアダム屈指の実力者となる。


 そして、アダムから自身の伯父に当たる『最強』のインカネーター、リチャードの転生先の人物が日本にいることを知らされる。

 エレンは迷うことなく、日本へ行くことを志願した。

 ──自身の最後の家族へ会うために。


 そして、エレンはリチャードの転生先である桐人と出会い、恋に落ちる。

 現在は日本に滞在し、桐人とともに目的のために奮闘している。


 エレンはアダムが開発した科学とアダムの力の混合兵器、その中でも最高傑作とされる『マッシヴ・エレクトロニック』を所持している。その威力はこの人間の世界にいるどんなものの攻撃よりも強く、実質最強の破壊力を持つ。




 ・サイモン・カーター

 血液型 O型 身長 169 cm 右利き

 宿す化身:シヴァ

 固有能力:あらゆるものを破壊する。

 捕縛結界:砂漠に浮かぶ褐色の神殿

 固有武器:『破壊神の錫杖エンディング・スタッフ


 現在のアダム日本支部の最高責任者。

 そして、前アダム・アメリカ支部の最高責任者であった。


 サイモンはアダムの支部内のトップという役職であるが、本部にいる最も階級の高い『総帥』よりも強く、実質アダムの中で最強の力を持つ。

 一度、サイモンがアダムの総帥になるという話があったが、それは本人が頑なに断り、白紙となった。


 何故、サイモンは総帥になる話を断ったのか。

 それは本人も語らず、憶測ばかりが飛び交っている。

 サイモンは子供の頃からアダムに関わりを持ち、『英雄』リチャードによく面倒を見てもらっていた。

 そのため、リチャードとは非常に仲が良く、兄弟の様な関係であった。

 サイモンはリチャードを尊敬──否、それは崇拝と言ってもいいほどの憧れを抱いていた。

 全ての悪をやっつける、正義のスーパースター。サイモンの描いたそれは、アメコミや映画のヒーローなんかとは比べ物にならないものとなっていた。

 そして、サイモンは自分もいつかあんなヒーローになりたいと願うようになる。


 月日が経ち、サイモンの想いも絶頂に達していた。

 願望は次第に目標へと変わる。サイモンは自身もインカネーターになるために、強制的にインカネーターとなる方法を探し続けた。

 その情熱と努力の甲斐あってか、偶然にもサイモンはその方法を見つけることになる。


 しかし、その方法は禁術に等しいものであった。

 だが、サイモンの内は恐怖に勝る力への渇望があった。

 そうして、サイモンはその禁術に手を出した。

 その結果、サイモンは目が見えなくなり、髪は白髪。さらに、その精神は発狂し、しばらくは精神病院に入院することになる。


 退院後のサイモンは禁術を行う前とはまるで別人のようになっていた。時々、うわ言を繰り返し、毎夜悪夢にうなされるようになる。

 それでも、サイモンが平静を保っていられたのは、リチャードとその恋人サラのおかげであった。


 そして、サイモンの精神は徐々に回復し、得られた強力なインカネーターの力で組織でも屈指の実力者となる。

 それは、自身の思い描いたヒーロー像と重なり、サイモンの至福の瞬間だった。

 悦に浸り、充実した毎日を送るサイモン。

 しかし、それもリチャード一行とともに参加したある任務によって崩壊することになる。


 同行していた仲間がほとんど死に、リチャードは行方不明。残ったのは、自分とリチャードの恋人であり、自身の恩人であるサラ。

 サイモンを絶望と虚無感が包む。

 しかし、彼は寝室で眠るサラを見て、思った。

 せめて、この人だけは幸せにしようと。

 それが、自分の罪滅ぼしとなるならば。

 それから、サイモンはパーソンズ家の援助をするようになる。

 それと同時に、サイモンは自身の死に場所を探すように戦場を駆けた。

 その勇猛さはさらに組織の一目に置かれることになり、さらにその戦い方から、『天使の虐殺者』という称号まで得た。


 サイモンの固有能力はあらゆるものを破壊する。

 壊せるものならば、何でも壊してしまうその能力は、空間も、時間でさえも壊してしまう。

 過去にシヴァのインカネーターを宿したもの達も、そこまでシヴァの破壊の力を使いこなすことは出来なった。それ故、サイモンは過去最高のシヴァの化身の使い手として、さらにその名を轟かせている。




 ・間島まじま 剛毅ごうき

 血液型 A型 身長 182 cm 右利き

 宿す化身:『炎帝』ペイモン

 固有能力:火属性の魔法強化(最大三倍)

 捕縛結界:燃え盛る王宮

 固有武器:『炎帝の双剣フランベルジェ・オブ・ペイモン


 アダム日本支部の幹部の一人。

 『炎帝の魔術師』の称号を持つインカネーター。


 剛毅は組織内で面倒見が良く、兄貴的な存在である。

 基本は外の顔を大事にするアダムの幹部の中では、比較的に組織に浸かっている方である。


 剛毅は、その格闘選手のような見た目とは裏腹に、どちらかというと魔法によるサポートや遠距離攻撃の能力に長けている。

 さらに、その精神力の高さと、知略に富んだ戦いから前述の称号を得られた。

 剛毅がインカネーターになる前は、不良上がりの暴力団やマフィアと関わりがあったらしい。

 そこで、剛毅は慕っていた仲間や恋人、母親を殺され、インカネーターとなり、今に至るという。

 そのためか、剛毅はその手の人間に激しい嫌悪と怨恨がある。

 しかし、それを決して表に出さず、冷静でいられることから、如何に剛毅の精神力が凄まじいかがわかる。


 剛毅はサイモンから実力のお墨付きをもらっていて、時期アダム日本支部の最高責任者候補に数えられている。


 それほどまでに認めてもらっているのにも関わらず、アダムのランクが低いのは、剛毅が他の者に手柄を譲っているためだと言われているが、本人は否定している。


 剛毅の宿すペイモンは、桐人同様、元『四界王』の強力な化身であり、火属性の魔法を存分に扱うことが出来る。

 その属性強化能力で変幻自在の魔法を生み出す剛毅はまさに魔術師の姿にふさわしいだろう。




 ・桂馬かつらま 咲月さつき

 血液型 AB型 身長 160 cm 右利き

 宿す化身:イシュタル?

 固有能力:あらゆるものを生み出す

 捕縛結界:宇宙に漂う黄銅色の神殿

 固有武器:ガメちゃん、『六茫星の杖ヘキサグラム・ロッド


 アニメ『魔道少女メイガスももこ』をこよなく愛す、魔法少女ヲタクっ子。

 ちなみに、魔法少女ではなく『魔道』少女であることに大変なこだわりがあるらしい。


 咲月の宿すイシュタルは大変珍しい化身で、咲月以外に誰も宿したことのない化身である。

 それ故、その存在が大変貴重であるとして、咲月はアダム日本支部でも大変優遇されている。


 そして、そのイシュタルの固有能力は、化身と物質との交配による『あらゆるものの創造』。咲月が望めば何でも創りだすことが出来るその固有能力は、桁外れに応用力が高く、咲月の精神力が成長すれば間違いなくアダムでも屈指の強さのランク『SSランク』レベルの強さを得ることが出来ると言われている。

 しかし、現状の咲月の精神力は低く、その強さはアダムの中堅以下となっている。

 本人はそれが少しコンプレックスとなっているようだ。


 さらに咲月は三年前、アダムとミカエルの率いる天使勢との大きな戦いがあった時、天使『ケルビエム』を宿すインカネーターを殺さずに逃がしたことで、そこから『羽化』したケルビエムの本神を現界させてしまう。

 その結果、咲月は多くの同胞達を死なせてしまったことへの後悔と罪に捕らわれ続けている。


 咲月はインカネーターになる前、化身に精神を一度同化させられ、エロージョンドになりかけていた。その時、桐人の助けで咲月は化身に自身の存在を認めさせ、インカネーターとなった。

 その出来事がきっかけで咲月は桐人に恋をしていたが、エレンと桐人が結ばれることによって、その恋は叶わずに終わりを告げる。


 咲月はそのような色々な辛い過去を持っているが、持ち前の明るさと気丈さからそんな過去があることを、自身の悲哀を隠している。

 また、咲月の化身にはアダムの上層部でも知らないような秘密が隠されている。

 それが希望をもたらすものなのか、悲劇をもたらすものなのか、それはその秘密を知っているものでもわからない。




真田さなだ 和樹かずき

血液型 A型 身長 178 cm 左利き

宿す化身:グラシャラボラス

固有能力:鎖に触れるあらゆるものを減衰させる

捕縛結界:骸の地面と逆十字の平原

固有武器:『屠殺者の牙と尾グラシャラボラス・トゥース&テイル


 真田は元警官である。インカネーターになる以前は正義感が強い若手の警官であった。


 しかし、ゾロアスター教の悪魔『アエーシェマ』を宿すインカネーターが引き起こした『連続民家侵入殺人事件』の調査に参加することによって、かつてない憎悪と殺意に目覚める。

次々と殺されてゆく仲間、さらに、『アエーシェマ』を宿したインカネーターの『自身の力をトレースした相手を操る』という固有能力によって、最も仲の良かった親友とも呼べる同期を自らの手で殺してしまう。


 桐人の助けによって、なんとか命を取り留めた真田は、同時にグラシャラボラスの化身を認めさせ、インカネーターとなる。仲間殺しの罪で刑務所の牢屋にぶち込まれるも、アダムの力により解放され、桐人の勧誘でアダムへと加入する。

 真田は、一度にショッキングな出来事をたくさん経験したためか、若干精神が冒されている。そのせいなのか、夏場でも寒いと感じているらしく、厚手のコートを常に着用している。


 さらに、惨殺死体への嗜虐性に目覚めている。そのため、趣味として惨殺死体の動画を漁っていたりする。

 しかし、真田は敵となるもの以外には、決してその嗜虐性の充足を要求しない。

 それは、過去の自身の経歴、経験、そして大事なものを失う辛さや絶望を知り得ているからである。

 が、敵には徹底的にその嗜虐性を見せつけ、必要以上に惨たらしく殺す。


 真田の固有能力は空間に無数の鎖を生やし、その鎖が触れているあらゆるものを減衰させるという能力である。しかし、その力は未だ限定的で、時間などの概念の減衰はできない。


 真田は魔法は一種類を除いて全く使用しない。代わりに、大剣と鉄球の固有武器が持つ爆発的な攻撃力と鎖の減衰で周りを蹴散らす、前衛タイプである。

 その自身の能力を振るい、真田は自身の復讐の相手である『アエーシェマ』の化身を宿したインカネーターを探し続けている。




志藤しどう 秋人あきと

血液型 A型 身長 172 cm 右利き

宿す化身:ヴァレフォール

固有能力:相手のものを盗み、自身のものとする

捕縛結界:雨が降る深緑の森林

固有武器:『窃盗者の花ヴァレフォール・フラワー


 アウトサイダー横浜支部のナンバーツー。志藤は支部の幹部の一人であるが、その総合的な力量はアウトサイダー本部の幹部とも引けを取らない実力を持つ。

 それは、単純な精神力や固有能力の強さだけでなく、冷酷すぎると形容しても良いほどの冷静さのためである。


 志藤は、家族や女性に対しては殺すことに多少躊躇するが、必要とあらば一般人を殺すことも厭わないほどの残酷さを持つ。

 対して、その言動はとても倫理的である。

 それは、志藤の歪みであり、ヴァレフォールの化身のお気に入りでもある。


 その歪みは、志藤の妻と子供への偏愛によるものである。

 志藤は真田と同様、『連続民家侵入殺人事件』の被害者である。

 その事件によって、窃盗者としての前科持ちであり、しがない工場の現場で働く志藤の心の拠り所となっていた家族が殺される。

 発狂しかける志藤。その時にヴァレフォールの化身が宿る。

 志藤はしかし、妻の実家でその母親と父親から、妻の遺言を聞く。

 それは、自身への愛、そして罪、そして希望。

 志藤は涙をひたすら流し、そして決意する。

 自身の家族を殺した殺人鬼をこの手で必ず仕留めると。

 そして、強い意志と偏愛に満ちた志藤はヴァレフォールに認められ、インカネーターとなる。


 その後、アダムへの勧誘を受けるが、志藤は自身の復讐へ否定的であったアダムへの加入を拒否し、逃走。

 危険人物と判断された志藤はアダムの幹部に命を狙われる。

が、天使の乱入、そしてアウトサイダーの勧誘があり、そちらへの加入を決意する。


 志藤は未だその固有能力を完璧に扱えない。触れた相手の固有能力を盗む、固有武器を盗むなど、限定的である。

 しかし、極端に俊敏さを追求した強化魔法、固有武器による圧倒的な手数の多さと持ち前の冷静な判断力で、戦闘を分析し、相手を的確に追い詰める戦い方は相手に恐怖を与える。




・アルバート・テイラー

血液型 B型 身長 167 cm 右利き

宿す化身:『伏魔殿君主』マモン

固有能力:大地属性の魔法強化(最大三倍)+un known

捕縛結界:パンデモニウム(自立型自由可変自己修復型捕縛結界)

固有武器:『黄金の強化装甲ゴールデン・グリード


 アダムはその世界への影響力よって、様々な組織や団体から、その活動資金を得ている。

 その中で最もその活動資金の援助で貢献しているのが、アルバートが社長を務める『ゴールドラッシュ・ロックス』である。


 アルバートは社長という重役とともに、もう一つ、『アダム・アメリカ支部』の最高責任者という別の顔をもつ。

そして、アルバートは自身の分身とも言える影武者を有し、その影武者に自身の思考を投影させることで、社長と最高責任者という二つの重役を器用にこなしている。


 アダム日本支部の最高責任者であるサイモンとは子供の頃からの面識があり、友人のような、もしくは親とも言えるような関係である。

 そのため、互いの事は良く認識しており、その企みも大体把握している。

 だからこそ、アルバートが最も危険視しているのがサイモンであり、その親しみある会話でも慎重さを崩さない。


 アルバートはアダムの目的とは別の目的のために行動している。

 それは、決して他の幹部には知られてはいけない『禁句(タブー)』である。

 アルバートの宿すマモンは、大地の四界王であり、また七つの大罪『強欲』を司る強力な悪魔である。


 その固有能力は、四界王おなじみの対応属性の大幅強化のみならず、もう一つの固有能力を持つ。

 また、捕縛結界においても、他のインカネーターとは異なる特殊な結界を持っており、さらに、全身を包み込む『強化装甲型パワードスーツ』の強力無比な固有武器を所持している。


 それらの力と自身が練り上げた精神力によって、アルバートは世界でも数えるほどしかいない『Sクラス』のインカネーターとなった。




浅羽あさば みかど

血液型 O型 身長 181 cm 両利き

宿す化身:べリアル

固有能力:un known

捕縛結界:ソドムとゴモラ

固有武器:『傲慢と繁栄プライド&グローリー


 浅羽は新興組織アウトサイダーの創立者であり、最高責任者である。アウトサイダーは新興勢力であるため、その人員も少なく、アダムの様な総帥と呼べるものも存在しない。

 よって、浅羽が現状のアウトサイダーのトップということになる。


 浅羽は同時に暴力団の幹部の一人として暗躍しており、そのコネクションから様々な情報と人員、物資を入手している。


 浅羽は過去に、不良上がりの暴力団の一構成員の経歴を持ち、数々の犯罪に手を染めてきた。

 そのためであってか、人を殺すことなど躊躇せず、鬼畜と称されることも平気でやってのける。

 しかし、そこに至るまでには想像を絶するような地獄があり、それは浅羽の脅威とも呼べる精神力からも伺える。


 浅羽がアウトサイダーを発足した経緯は謎に包まれている。

 そして、アダムは浅羽が表に出るまではその存在すら感知することはできなかった。


 そこには何かしらの思惑を感じる。

 浅羽は七つの大罪の一つ『傲慢』を司るベリアルを化身としている。

 その力は、自身の精神力も相まって、真の姿を現した桐人との戦闘においても無事でいられる程に強力である。




・ウリエル

血液型 ? 身長 210 cm 両利き

固有能力:『神の炎ヤハウエ・フレイム』(概念構築力場製造能力)

捕縛結界:エデンの園

固有武器:『混沌の炎剣カオティック・ブレイド


 天使のインカネーターを介し、京馬達の世界に現界した、天使の『アビスの住民』。


 元々はミカエルと同じ、ヤハウエの下に従う『四大天使』、その一人であった。

 しかしウリエルは、自身を『今のような存在』に定義づけた『この世界』を嫌悪し、ミカエルと離反、そして現在は浅羽の創設した新興組織アウトサイダーに所属する。ウリエルは、その圧倒的な力によってアウトサイダーのナンバーツーの地位となった。


 ウリエルは『京馬達の世界』を創りあげた神──ヤハウエを非常に嫌悪しており、その神を殺すことを目的としている。


 『神殺し』、それも自身を創りあげた『創造神』を殺すという大罪を犯そうとするウリエルだが、しかしその存在は堕天することはなく、『天使』の体を成している。

 それは、この『世界のシステム』を熟知しているウリエルだからこそできる所業であろう。


 また、ウリエルは今から三年前に起こったアダムと天使勢の大きな戦いで、桐人と因縁を持ち、事あるごとに桐人に戦いを求める。その執着心は尋常ではなく、まるで桐人自身を目標としているようだ。


 前述したようにウリエルは人ではなく『アビスの住民』であるため、異常な再生力と生命力を持っている。それは、例え体全体が消滅しても頭部があれば三日もかからず完治してしまうほどだ。

 そんな強大で人を何倍も超越した存在のウリエルだが、今はアダムとアウトサイダーの『休戦協定』の下、京馬の監視と天使からの護衛のため、京馬達の学校に教師として潜入している。




・キザイア・メイスン

血液型 un known 身長 163 cm 両利き

固有能力:un known

捕縛結界:un known

固有武器:なし


 蒼白の仮面を被り、黒づくめのローブで正体を隠している謎の人物。


 一応、浅羽の創立したアウトサイダーに所属している形となっているが、あくまで利害が一致しているための協力体制であるようだ。

 そのため、キザイアは自身の目的を最優先し、行動している。しかし、その目的は謎に包まれている。


 キザイアは『神の実から生まれ出でるもの』を宿している咲月に大変興味があるらしく、アウトサイダーへの協力も、浅羽が交渉材料として咲月の情報を提示したからである。


 また、キザイアは自身の組織を持ち、その組織の人物達も全て黒づくめのローブと蒼白の仮面をつけ、正体を隠している。

 キザイアの力は未知数であり、謎である。

 しかし、アダムのナンバーファイブ以内に入るエレンに重傷を負わせるほどの実力を持ち、その力はアダムのランクで言えば最高ランクのSSクラスに相当すると考察される。




夜和泉よいずみ 静子しずこ

血液型 A型 身長 168 cm 左利き

固有能力:un known

捕縛結界:un known

固有武器:un known


 京馬達のピンチに突如として現れた謎の和服を着た美女。


 街中を歩けば、誰もが振り返るであろう神秘的な美しさを秘め、思わず見とれてしまうような白く透き通った肌を持つ。

 その目的は不明。

 それどころか、どこから来たのか、どこに住んでいるのか、どうやって生活しているのか、何から何まで謎に包まれている。

 しかも、数十年前に行方不明となったアダムの『英雄』リチャードと面識があり、見た目の若さとその事実は全く符合しない。


 ただ言えることは、彼女がアビスの力を使うことが出来て、そしてその力は常軌を逸するものだということ。

 その圧倒的な力は、Aクラスのインカネーターを一瞬で葬り去るほどだ。




・ケルビエム

血液型 ? 身長 171 cm(人間時) 右利き

固有能力:『神性創造・智天使セラフィム・クリエイション・モード・ケルビム』(天使創造能力)、『神の憤怒ヤハウエ・レイジ』(概念構築力場製造能力)

捕縛結界: 浮上する大炎剣

固有武器:『懲罰の炎雷剣パニッシュメント・ブリリアント


 天使の階級『智天使』の天使長。三年前、咲月がケルビエムの化身を宿したインカネーターを逃したことで、『羽化』し、本神が京馬達のいる世界に現界した。


 天使の中でも、その『職務』に非常に真面目に取り組む姿勢を持つ。それ故か、熾天使長であるミカエルの大のお気に入りとされている。


 ケルビエムは、本神として京馬達の世界に現界した後、自身を宿していたインカネーターの体を使って人の世に紛れている。そして、ミカエルの構築した世界の害となるものを刈り取り、自身の体内で浄化させ、新たな『智天使』として生み出す。


 また、ケルビエムや他の階級の『天使長』はその天使製造能力の他に別の固有能力を持つ。ケルビエムの場合は、自身の周囲に無制限の炎や雷を生み出す『神の憤怒(ヤハウエ・レイジ)』である。これは自身の精神力を消費せずに、まさに無尽蔵に創り出される為、非常に厄介な能力とアダムで指摘されている。


 ケルビエムはアダム日本支部の最高責任者であるサイモンに強い恨みを持っている。が、サイモンの脅威的な力を前に、成す術の無い自身の力の無さを悔んでいる。




・ミシュリーヌ

血液型 O型 身長167 cm 右利き

宿す化身:サブノック

固有能力:あらゆる『城』に関与しているものを召喚する

捕縛結界:穢れの無い牙城

固有武器:『聳え立つ牙城へ頂く槍タワー・オブ・ジャベリン


 アウトサイダー内で、最も美樹と気の合う友達。

 性格は穏やかで、とても融通の効く柔軟な考えを持っている。

 そんな彼女が危険な思想を持つアウトサイダーに所属しているのには何か目的があるようだ。


 過去に男性と色々とあったらしく、男嫌いである。

 そして、その経験からか同性しか興味がなくなった。いわゆるレズである。


 美樹とはアウトサイダーで同じ班になる前から交流があったらしく、組織内で最も親しい友人である。

 さらに、美樹と交わったことがあるらしく、美樹の『誘惑の奴隷テンプテーション・スレイヴ』の支配下に置かれている。

 が、本人はその事実を知った上で美樹と交流している。

 そこには、美樹との確かな信頼があるからあろう。


 ミシュリーヌは宿した化身の能力であらゆる『城』に関連したものを召喚する事が出来る。

 ミシュリーヌが主に使用する、鎧のみの兵士を多数召喚する『絶対忠義の兵士パトリオット・ソルジャーズ』もその能力の一端であり、大抵の敵とはその兵士の軍団と自身の固有武器である大槍『聳え立つ牙城へ頂く槍タワー・オブ・ジャベリン』を駆使して戦闘を行う。

 しかし、強敵ともなればその固有能力を全力で解放するだろう。


 また、ミシュリーヌはその容姿から想像はつかないが、友人である美樹とは異なり、前線で豪快に闘う完全なパワータイプである。

 使用する魔法も全て強化魔法であり、アウトサイダーで同じ班の新島と肩を並べ、美樹達の援護を受けながら敵を蹴散らす。




咲島さきじま 夢子ゆめこ

血液型 B型 身長158 cm 左利き

宿す化身:オセ

固有能力:捕縛結界内のあらゆる世界の創造

捕縛結界:メルヘンワールド

固有武器:なし


 アウトサイダーで美樹と同じ班に所属するインカネーター。その能力は、捕縛結界内でのあらゆる世界の創造。固有武器はなく、その捕縛結界内に相手を取り囲めば、相手は成す術も無く夢子の手の平で踊らされ、最後には倒されるだろう。


 絶対無比の固有能力を持つ夢子だが、その捕縛結界に相手を取り込めなければ勝機は無く、そのため如何に相手より早く自身の捕縛結界を発動させるかが勝機となる。そのため、夢子は取得した二重結界の力を使い、無理やりにでも相手を自身の捕縛結界へと招き入れる。


 また捕縛結界は、夢子自身の趣味でメルヘンチックになっている。例えば、オズの魔法使いや不思議の国のアリスのような童話の世界である。捕縛結界は、そのストーリーに沿って進み、相手を嬲り殺すように、最後の締めまで弄ぶ。


 夢子の強さのランクはBクラスであるが、それは能力が限定的であるためであり、相手がその捕縛結界内に嵌れば、そのランク以上の強さを間違いなく発揮するであろう。


 性格はぶっきら棒で、面倒臭がり。しかし、一方で自身の興味あるものには全力で力を入れ込む。さらに夢見心地であり、白馬の王子様のような人物が自分の前に現れるという妄想を日々悶々としている。


 夢子は現実の世界に嫌気が差し、毎日を退屈に過ごしていた。色々な作品の映画を鑑賞し、その余韻に浸る日々。しかし、インカネーターになった後に知った世界の全容によって、彼女の鬱屈に満ちた世界は一変する。

 魔法や天使、悪魔などの未知と神秘を秘めた世界は彼女を虜にする。一方で、その背後にある残虐な世界も体験することになる。だが、それでも夢子は世界に希望を持っていた。それは、その残虐をも霞んでしまう程、未知と神秘が夢子にとって素晴らしいものであったからだ。




新島にいじま 大吾だいご

血液型 AB型 身長205 cm 両利き

宿す化身:ベヘモス

固有能力:あらゆるものを構築した重力に準じさせる

捕縛結界:京馬達の世界のあらゆる地上

固有武器:『巨獣の蹄ヒュージ・アサルト』(新島式極星殺根)


 新島大吾はその家系から、殺人の訓練を物心つく前から教えられてきた。そのため、人殺しというものに一切の躊躇いが無い。また、人として受けるべき教育よりも『殺し』の訓練を重視されてきた為なのか、若干おつむが弱い。


 そんな新島の転機は、浅羽との出会いだった。

 当時、ただの暴走族上がりであった浅羽に新島は初めての敗北を喫した。そして、その後に浅羽に誘われ、黒崎組という暴力団に加入することになる。ある目的の為に──


 そして、目的を果たした後、新たな目的の為に浅羽と共にアウトサイダーという組織を結成する。そのため、新島はアウトサイダーの最古参となるのだが、その頭の悪さでよく他の幹部から馬鹿にされる。しかし、本人は自身のおつむの悪さを自覚している為、実際はそこまで気には留めていないようだ。


 新島は、その見た目からは想像出来ないが、かなりの精神力を持っている。それは、過去の常人では耐え切れないほどの鬼と言える訓練と実験の日々に培ったものである。

 そのため、そのポテンシャルはSクラス並であるが、インカネーターとしての成長は緩慢であり、その実力を充分に発揮出来ないでいる。


 新島の宿す『ベヘモス』の固有能力は、万物を縛り、そして守る、重力である。その力場は未だ自身の周りにしか発現出来ないが、自身の精神力を凝縮させた『重力圧縮グラビティ・コンプレッサー』は、広範囲に渡りその力場を拡散させてあらゆるものを押し潰す。その威力は世界最高峰と謳われるエレンのマッシヴ・エレクトロニックに匹敵する。しかし、新島の固有能力の発現には自身が認識しなければならないという弱点がある。


 また、固有武器として使用している『新島式極星殺根』は、本来のベヘモスの固有武器を融合させたもので、『この世界』の法則とアビスの法則に即している。そのため、アビスの力を持たない一般人にも視認出来る造りになっている。何故そのような構造にしたかというと、新島自身の趣味によるためらしい。

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