壊れた世界の反逆者

こっちみんなLv20(最大Lv100)

第一部 断罪の天使編

設定資料集

世界観設定

1.世界観設定



 ・高次元超級エネルギー空間世界『アビス』


 現在の人類のいる世界の他に複数の世界が存在し、人が言う神や悪魔、天使はその中でも最もエネルギーが内包された世界に存在している。


 その世界の名をアビスと呼び、アビスはその超膨大なエネルギーにより、混沌としていて非常に不安定な世界である。


 また、アビスは複数の世界が不規則に散りばめられているような構造となっており、辛うじて連なっている世界は高次元の層構造で成り立っている。


 アビスの世界には、神話にあるような『ヴァルハラ』や『エデンの園』、『コキュートス』や『パンデモニウム』などの幻想の土地が実在している。というより、アビスに迷い込んだ(もしくは誘われた)人間がその場所を後世に伝えた。


 前述したように、アビスへは人類のいる世界から侵入することが可能である。しかし、一般の人間がアビスの世界へ入れる確率は非常に稀で、入れたとしても短い周期でしか滞在できない。


 条件としては、アビス内で極端にエネルギーが減退し、力場が弱まっている状態で、かつ現実世界でも力場が弱まっている状態。さらに、入り込む対象の状態がアストラス(精神のみ)状態であること。以上の三点が最低条件である。


 後は、入り込む対象のアストラルと力場の弱まっているアビスの場所が上手く同調すれば、(要するに運次第)一般人でもアビスに現界することが出来る。

 しかし、後述する『インカネーター』となれば、その条件が緩和され、アビスへと侵入しやすくなる。



 ・アビスの住民


 アビスに住む生命体。またの名を『本神』という。それは、アストラル体で構成され、有機体である人類よりもある程度融通の効く体となっている。人が言う神や悪魔、天使、そして妖怪等の異形の怪物たちもアビスの住民である。


 アビスの住民には階級があり、ある一定の上位に位置する階級のアビスの住民は、他世界にも干渉できる。干渉の仕方は、そのアストラルの一部を『化身』として他世界の生物のアストラルに宿し、精神を支配するという方法で行う。そうして支配した生物を操作、あるいは監視することで自身の愉悦を満たすのがアビスの住民達の娯楽となっている。


 また、稀にアビスの住民は自身の化身を宿した生物に対して敬意を払い、精神を支配せず、その力だけを譲渡することがある。そのような状態となったアビスの住民の化身を宿した生物を『インカネーター』と呼ぶ。逆に、アビスの住民に精神を完全に奪われ、完璧にアストラルを同調したものを『エロージョンド』と呼ぶ。


 さらに稀な例として、アビスの住民の中で階級のかなり高い存在は、その体自身を他世界に現界し、直接干渉を行うこともある。その行為をアビスの住民が行う時は、よほど興味のある対象物がその世界にある時である。


 さらに稀、と言ったが、その他世界によく干渉を行う者は頻繁に現界している。例えば、その他世界を『創造した』アビスの住民またはそれに連なる下位のアビスの住民などである。



 ・人間の世界


 人間のいる世界は、アビスの住民達に管理された状態にある。

 今は科学によって世界の法則が成り立つように管理されているが、以前は錬金術師パラケルススが唱えた四元素説の法則によって世界は成り立っていた。


 四元素説とは、世界の源の構成元素として、火、水、空気、大地の四つがあり、その元素によって世界が構成されているという説である。


 しかし、その後の度重なる研究および調査の結果、実際は光と闇も存在し、万能の源である『マナ』も加えた七つの元素で世界は構成されていると判明した。

 各構成元素は火、水、空気、大地は四界王、光は熾天使長、闇は魔王、マナは『人間のいる世界』を創造した神が各々管理していた。


 四界王とは、各構成元素の源とも言える存在で、火は『炎帝』ペイモン、水は『大海皇』アリトン、空気は『嵐王』オリエンス、大地は『伏魔殿君主』マモンと言ったアビスの住民が管理している。さらに、光は熾天使長のミカエル、闇は魔王(その存在の名は謎とされ、一部のものしか知らない)、マナは『人間の世界を創造した神』ヤハウエが管理している。


 元々は、ヤハウエに従う、それらの管理者によって世界は統治され、人間の世界はアビスに関連の深い世界だった。

 しかし、その世界のシステムもしばらくすると一変することになる。

 人間の世界はそのアビスとの関連の深さから、生み出される生物がアビスの住民に匹敵するほどの力を持つ可能性があった。

 熾天使長ミカエルは、その生物の中で『悪魔の子』である人間を激しく忌み嫌っていた。

 そのため、その可能性に危惧し、世界の成り立ちを歪めようと企んだ。

 ミカエルは各々の四界王達を次々に低級の悪魔へと堕天させ、その力を弱めた。


 その行為に伴い、世界の法則は揺らぎ始める。

 さらに、ミカエルはその揺らぎに乗じて、新たな世界の法則を一部の悪魔の協力の下、定めた。

 それは、科学という全ての事象を捻じ曲げた複雑かつ難解な法則だった。

 それは、人間の世界に楔を打つように深々と浸透する。

 そして、人間はその法則に縛られ、神を超越することができない生物と化した。

 その世界の成り立ちを知る一部の人間は、その事実から己の世界を『壊れた世界』と表現している。


 一方で、闇を管理する魔王はその事件の際に姿を消し、その後アビスの『コキュートス』で封印されていることが判明した。

 それがミカエルの仕業なのか、どのような経緯でそのような状態になっているのかは未だ謎のままである。

 また、ミカエルはヤハウエを崇め、自分はその下で世界の管理人(人間を中心とした)を全うすることが存在理由と考えている。


 しかし、そのやり方は容赦がなく、人間が害をなす存在と判断した後、ノアの洪水のような一度人間をリセットするようなことも容赦なく実行する。

 この事から、この世界の運命はミカエルの意向によって左右されると思うだろうが、実は人間の世界に直接介入していないだけでミカエルに匹敵する様々なアビスの住民がいる。

 それらの存在と後述する秘密組織『アダム』が、ミカエルの行動を制限することで今日でも人間は生き続けることができると言われている。



 ・秘密組織『アダム』


 アダムとは、ミカエルの企みによって世界が変容したことに気付き、その『壊れた世界』を元に戻すことを目的とした『インカネーター』を中心とした組織である。


 その歴史は非常に古く、紀元前から存在していたとされる。しかし、アダムは内乱や分裂を繰り返し、そのためその歴史を知るものはほとんどいない。そのアダムの成り立ちや歴史を記した書が存在するらしいが、現存する魔道書で最大の価値を持つ『ネクロノミコン』と同等の価値を持ち、アダム上層部で厳重に管理されている。


 アダムは積極的にインカネーターを察知し、仲間に引き入れようとする。そして、そのインカネーターを鍛え、力の使い方を教育する。さらには、インカネーターではなくとも優秀な能力を持つ一般人を仲間に引き入れ、裏方で様々なサポート役に徹しさせる。


 アダムはアビスの力に対する研究に非常に熱心であり、そのおかげであってかミカエルによる科学の法則とアビスの法則を融合させた兵器や装置の開発に成功した。

 アダムはインカネーターの脅威的な力と古くからの宗教や国への関わりによって、世界を支配している。だが、後述するアビスの力に対する『世界の拒絶』によって、その事実を知るものはほぼいない。


 アダムの主な活動は、ミカエルの天使勢や『エロージョンド』、現界した『アダムの住民』、そして『インカネーター』の力を犯罪に使う者などを殺すことである。


 しかし、アダムでも手に余るほどの実力者も多数存在し、その実力者達は世界に巨大な爪痕を残している。世界の大事件や大災害は、その実力者達の起こした災厄を『世界が拒絶』し、置換された結果の果てである。


 アダムは人間の社会に害なす存在を駆逐することでアビスからの人間の世界への脅威を無くすのが日課となっているが、あくまで本来の目的は世界を在るべき姿に戻すことである。

 そのため、その活動の水面下ではどうやってミカエルを打倒し、『壊れた世界』を戻すのか、日々調査し、討論されている。



 ・天使の勢力


 熾天使長ミカエルが擁する人間の世界を管理する組織。

 その組織はアビス内に存在し、まず人間の身では侵入することは出来ない。


 組織は天使、またはその化身を宿したインカネーターで構成されている。

 天使のインカネーターは一部を除いてミカエルの精神波によって操られ、その仕事を全うしている。


 そして、ある程度自身の内の天使と馴染んだインカネーターは、ミカエルの手によってその精神を天使と完全に同化させられる。さらにその状態となった後、その存在が触媒となって『本神』である天使が直接、人間の世界に現界する。


 天使の勢力の主な活動は、悪魔や神の化身を宿した生物の殺害である。

 だが、その探知能力は低く、表立ったアビスの力の発現さえなければ天使に発見されることはあまりない。


 天使の勢力は大きな目的はなく、本当に世界の管理のみ行っている。

 しかし、熾天使長のミカエルが一度、世界の破壊を宣言すれば躊躇うことなくその命を実行することだろう。



 ・新興組織『アウトサイダー』


 ごく最近になって発足されたインカネーターとエロージョンドを擁する新興組織。

 その真の目的は謎に包まれている。


 現状でわかっていることは、アダムを敵視し、その壊滅を目論んでいるということ。


 組織内の思想はとても危険であり、目的とあらば一般人を殺すことも厭わない。

 マフィアやヤクザなどの世界の『裏側』の組織と関わりがあるらしいが、そのコネクションの数は不明である。

 現状における組織の活動はアダムのインカネーターの殲滅、さらに新興組織らしく資金及び人員調達である。

 だが、水面下ではで大きな計画を企て、行動しているらしい。



 ・アビスの力に対する『世界の拒絶』


 アビスの力に対して、人間の世界は拒絶反応を示す。

 それは、本来とは次元もベクトルも異なる力であるアビスの力を、無理矢理に人間の世界に引っ張り出したために起こる反応である。

 アビスの力は人間の世界には在ってはならない力であり、人間の世界はアビスの力で起きた現象を必死に起きなかった若しくは起きていないと定義づけしようとする。


 そのため、『アビスの力』を使用しても一般人は全く認識できない。

 稀に世界の力場が不安定な時、一般人でも力を認識できるが、大抵は幽霊やらSFなんかで片付けられてしまうという。




2.インカネーター


 インカネーターとは、人が言う神や悪魔、天使など(アビスの住民)の化身を宿し、その力を自在に使いこなす人間のことである。


 化身が人間に宿る時は決まって、精神的に追い詰められた時である。

 インカネーターになるためには、一度宿した化身との精神の奪い取り合いに打ち勝ち、その化身に認められなければならない。それは非常に辛く、厳しい試練であり、大抵の人間は敗北し、『エロージョンド』という化身に精神を完全に同化した化け物となってしまう。


 しかし、その試練を乗り越え、インカネーターとなったものは人類を遥かに超越した力を得ることが出来る。


 まず、身体能力はアビスの大質量の力を発している時において急激に向上にする。

 さらには、そのアビスの力によって自身に対する人間の世界の物理現象が曖昧になる。


 例えば、弾丸よりも早く動こうとも、その衝撃で体が摩擦熱を起こすこともなく、皮膚がひしゃげることもない。

 その力を利用して、不老となったり、長命となっているインカネーターもいるという。


 また、インカネーターとなると人間の世界では空想と片付けてしまうような不可思議な力を扱えるようになる。

 以下にその力の概要を示す。



 ・魔法


 インカネーターとなったものは自身の化身の属性に対応する魔法を使用することが出来る。


 魔法とは、高次元超級エネルギー空間世界『アビス』にあるエネルギーの形の一つである、『精霊』を用いて放つ力である。


 後述するインカネーターの様々な力はこの魔法がベースとなっているため、広義的に言えば、それらを含めて『魔法』と呼ぶ。


 魔法は火、水、大気、大地、光、闇、マナの七属性あり、大抵の化身はどれか一つの属性に対応し、その化身に対応した属性の魔法をインカネーターは扱える。

 魔法の発現は至ってシンプルであり、まずは属性に対応した色の魔法陣を展開し、アビスと人間の世界を繋ぐゲートを作る。そこからアビスの力を無理矢理人間の世界に引っ張り出して使用する。後はその術者のイメージを投影して魔法は発現される。


 魔法でまず重要なのはイメージ投影の具現化であり、魔法発現の最初の壁である。上手くイメージを投影出来なければ魔法は発現できず、さらに無駄に精神力を消費するだけである。

 しかし、下手にイメージしなくとも、インカネーターとなったものは初期からイメージが容易い下級魔法を扱える。


 下級魔法名をアダムは以下のように命名した。火は『フレイム』、水は『アクア』、大気は『エアリアル』、大地は『ロック』、光は『レイ』、闇は『ダーク』となっている。


 また、魔法は『魔法名』を付けることによって、よりイメージが定着化し、強力になる。魔法は複数の名を持つとその分印象が強くなり、強力になる。


 しかし、基本的に一つの魔法に二つの名をつけるのがインカネーターのセオリーである。その理由は、それ以上の名をつけると逆にイメージを崩し、魔法の威力を落としてしまうからである。大抵のインカネーターは母国語と英語のような別の公用語を使用していたりする。



 ・精神力


 ここで説明される精神力は、広義的な意味合いではなく、アビスの力を行使するためのいわゆる『魔力』のようなものである。


 アビスの力を使用する際、必ずこの精神力が消費される。精神力は意志の力──いわゆる心の強さが反映される。それは、スポーツマンにおけるハングリー精神、勉強に対する集中力、何かに耐える忍耐力、様々なものに起因する。故に必ずしも広義的な精神力とは全く違うと言うことではない。インカネーターの強さは、この精神力の強さに比例していると言っても過言ではない。



 ・固有能力


 インカネーターは、狭義的な魔法とは異なった、その化身に対応した全く別の能力を有している。その能力はそのまま固有能力と呼ばれる。


 固有能力の特徴としては、魔法のようなアビスから解き放つ力ではなく、源はそのアビスの住民そのものであるということ。

 基本的に、固有能力は一人のインカネーターに一つである。


 さらに固有能力は魔法よりも強力な力であることが多く、攻撃型の固有能力を持つものは、魔法を身体能力強化系のみしか使わない場合が多い。

 故に、インカネーターの戦闘スタイルは固有能力に依存しているケースが多い。



 ・捕縛結界


 捕縛結界とは、例えるならばインカネーターにもたらされる小さな箱庭のような世界である。


 大抵のインカネーターは戦闘の際、この捕縛結界を発動して、その中で戦闘を行う。その理由としては二点挙げられる。一つは、捕縛結界内では、自身に有利なルールが働くため、戦いやすくなるということ。もう一つは、捕縛結界内でのアビスの力の発現は近くにいないとほとんど察知できないため、天使の襲撃防止となること。


 アダムの様な世界を守る側としては、周囲に甚大な被害をもたらさないためであるという理由も含んでいる。

 また捕縛結界の内装は、インカネーターに宿る化身の由来と関係していると言われている。



 ・固有武器


 さらにインカネーターは各々で固有の武器を保有している。


 固有武器の利点は発現する際に無挙動で発現できることにある。

 そのため、緊急の際には固有武器で対処するのがベターである。

 インカネーターによっては、この固有武器が強力無比であるため、固有能力がなかったり、その逆も然りであったりもするという。




・インカネーターの『技能』


 インカネーターには魔法や固有能力などの他に、熟練すると使用できる以下のような『技能』がある。



*『過負荷駆動オーヴァー・ドライヴ


 自身の精神力を一時的に急激に上昇させる技能。この技能によって、通常では発動できないような強力な力を解き放つことができる。いわゆる格闘ゲームで言う、『超必殺技』のような技能である。しかし、一定時間が過ぎるかその力を無効化されると、精神力はどん底まで落ち、戦闘不能となるため、使いどころを間違えれば非常に危うい状態となる。



*『瞬間転送トランス・ポーテーション


 空間内を無挙動で、かつ瞬時に移動でき、さらには消費する精神力も少ないという非常に便利な能力である。この技能を使えるようになるには、インカネーターとしてのかなりの熟練が必要である。故に、世界数多に存在するインカネーターでもこの技能を使用できるものは限られている。その移動範囲はさらに熟練することによって拡がることが可能だ。


*『二重結界』


 捕縛結界内にさらに捕縛結界を創りだす技能。この技能を使えば、相手の捕縛結界内において自身が不利な状況となっても、自身の捕縛結界に相手を巻き込み、有利な立場とすることができる。しかし、多少消費する精神力が割高である点や力量が違う相手だと取り込みにくい点などがネックであり、使いどころを見極めないと痛手を見ることになる。


*『限定結界』


 指定した者だけを強制的に自身の捕縛結界に取り込むことが出来る技能。さらに、精神力の消費は非常に少なく、『二重結界』の上位互換のような技能である。さらに『二重結界』では相手の力量によって成功確率が変動するが、この『限定結界』は有無を言わさず全ての者を取り込むことが出来る。しかも、人数に制限はない。非常に便利な技能だが、伝説級のインカネーターでないと習得することが出来ず、『限定結界』を扱えるものは世界でも数えるほどしかいない。

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