第九十七話 魔導の塔とラクスの真の技

「やるじゃないか!!」

燃えるような美少女、サラマンダーはにやりと笑った。


「実際、燃えているのだけれど」

と僕はボソリと口にした。

火の精霊サラマンダーだからだ。


「そこ、うるさいなぁ」

と、サラマンダーに釘を刺された。


「せっかく楽しんでいるんだから、邪魔しないでほしいな!」

「そうね!」

僕に辛辣な態度を取るサラマンダーに、ラクスも同調した。


「しかし、小細工はやめだ!!やっぱり体を動かさないと楽しくない。」

先ほどの遠隔炎攻撃のことだろう。自分の能力を示すためにやっていたと思うが、楽しくなかったらしい。身勝手な感じがなかなか良い。


「うーん」

と、肘を頭上に上げ、ストレッチをするサラマンダー。

さらに屈伸、足を伸ばすストレッチもする。

そしてぴょんぴょん跳びはねる。


ザ・運動美少女という感じだ、クラスで一番かわいい、体育が得意な少女を思い出すとちょうどいいだろう。


「ほんとに身軽ね。」

ラクスがこぼす。


「よっ」

と、クルッとバク転する、サラマンダー。


「よしよし、準備運動完了!行きますか!」

「きなさい!」

戦闘再開を告げるサラマンダー。うけてたつラクス。


まず、ジャンプ蹴りを放つ、サラマンダー。

鞘で受けるラクス。

そのまま、鞘を蹴り、上空へ飛ぶサラマンダー。

くるりと回転し、天井に着地する。


「よいしょっ」

天井に着地した時に、屈伸していた、足を一気に伸ばして、天井から飛んで来る、サラマンダー。

その軌道を読んでいた、ラクスは、その着地点を予想し、避けて、斬りかかる。


「もらった!!」

まさに、サラマンダーにラクスの剣戟が襲いかかったその時、炎が巻き起こった。


「これは!」

混乱を隠せないラクス。


「ふー!危ない危ない」

ノーダメージで姿を現す、サラマンダー。


「いちいち、剣筋が鋭いなー。こわいこわい」

「そのわりには余裕そうだけど」

攻撃が当たる瞬間火を放って逆噴射しよけたのだろう。凄まじいコントロールだ。


「私は炎も使えるしね。あなた何か魔法使えないの?」

「ほとんど使えないわ」

と、ラクスは正直に応える。


「そう、素直なことはいいことだけど、魔法が使えないのは致命的かもね、この世界では」

「そんなことはない!!」

怒気を強めるラクス、なにか信念に反する事を言われたのだろうか、いままでに見たことのない表情わしている。


「怖い怖い!」

と笑うサラマンダー。


「気にいらないことがあったら、証明してみるしかないよね。その技で!」

「そのつもりよ」


「体術と魔法を兼ね揃えた私に、剣術のみで勝つには、それなりの覚悟が必要よ!」

「覚悟なら、最初からしている!!」


そして、今までにない、構えをするラクス。

「突きか。それがラクス、君の真の姿か。」

「そうよ、おしゃべりを後悔しないといいわね!」

いままでに、見せてこなかった、突きの構えをラクスがして、動き出した!


「行くわよ!!」

ラクスが突きを放った!!

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