第八十八話 魔導の塔と新魔法習得

「今日は、ここで休んで行きましょう」

ラクスの声で、みんなの顔がほころんだ。


ここまで、かなり頑張ってきてしまった。

このダンジョンは、階を増す度に、2倍以上の難易度になっていくので、真剣度が高すぎる。

気を抜くとすぐ死ぬ。


かなり恐ろしいダンジョンということがわかってきている。

なので、集中して高めていく必要がある。

常に新しい技術を得ていく必要がある。


ただ、自分に合わない技術を覚えると、すぐに自分に返ってきてしまうので、取捨選択が重要だ。

自己鍛錬を、かなり求めるダンジョンなのである。

休憩するのも重要な鍛錬の1つだ。


「さて、寝る前に、ファイヤーバレットを使えるようになろう!」

「はい!」

ミコルちゃんに対して、僕は提案した。


「まずは実践するね。」

右手にファイヤー、左手にウインド、を出した。


「まずは、ファイヤーと、ウインドを同時に出します。それをオーラでまとって、それを合成します。」

そういって、合成して、風の炎、というようなものを生成した。


「これを、目標物に向かって」

指をピストルの形にして、向ける。


「打つ!」

バンッッと乾いた音が鳴って、壁に突き刺さる。

距離があっても威力が落ちないことが、この魔法の特徴だ。


「すごいです!!」

ミコルちゃんは、そう言った。


「ミコルちゃんの場合は、威力が違うから、指の形はこうじゃなくてもいいかもしれない」

「わかりました!やってみます!」

ビシっと敬礼して、作業に取りかかるミコルちゃん。


「ファイヤー」

ボウゥゥゥと右手からファイヤーを出すミコルちゃん。

かなりの火力だ。そもそもの魔法力が、僕とはケタ違いだ。


「さらにウインド」

左手から、風の力を出す。


「すげえな。」

素直に感嘆した。本当に強大な魔力だ。


「それをオーラで合成して」

「はい」

僕の指示に素直に従うミコルちゃん、ミコルちゃんも魔法を使うときは細心の注意が必要だ、ということがわかっているので、魔法を使う瞬間だけは、大人のようだ。


そして合成が終了した。


「こりゃスゴイ」

完成した魔法の弾丸を見て。僕は驚いた。僕の撃っていたファイヤーバレットとは別物の魔法だ。


「そのまま撃ってみて」

「はい」

とても良い返事をする、ミコルちゃん。

集中して魔力を生成する。


「ファイヤーキャノン」

ズガァァァァン。

ミコルちゃんが魔法名を唱えた瞬間、凄まじい音と共に火炎の弾が壁を砕いた。

僕が撃った、ファイヤーバレットとはケタの違う威力。

本当にキャノンにふさわしい攻撃力。


「なんちゅう威力だ!!」

僕はそれを見て、驚きを通り越してリアクションが出来ないでいた。すさまじい素質。


「すごいわね。」

「やべェな」

ラクスとガルクも、隣で見ていて感嘆をもらした。


自分の魔法の破壊力をみて、自分で驚いていたミコルちゃん。

「すごいです!」

新魔法が新たに加わった。

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