第八十七話 魔導の塔と新魔法伝承

「やったなァ」

ガルクが、2体のゴーレムを倒して、そう言った。


「つかれたー。」

ぺたんと、僕が床に座った。

座ったというより、倒れ落ちたという方が正しいだろうか。

合成魔法を使ったので、かなりの披露が溜まっている。


合成魔法は、集中力の使い方が全然違う。

間違えると、暴発して自分がダメージを受けるという、リスクを常に持つ。

魔力を全開にしていないと、いまの僕には扱えない。


もっと慣れてくれば、いけるのかもしれないけど。


「やっぱりレベル設計間違ってるぞ。このダンジョン」

「レベル設計??」

僕が、頭上にいるであろう、設計者に向かって独り言を、言っているのを聞いて、またわけわからない事を言っている、という顔でこちらを見てくるラクス。


「強くなり過ぎなんだよね。階を上がるたびに。敵が。」

「たしかに、そうかも。」

「毎回、新しい戦術を思いつかないと、進めないダンジョン、ってなんだよ。」

レベル設計についての愚痴を漏らしている、僕になんとか同意してくれるラクス。


「おにいちゃんの新魔法スゴイです。」

「ありがとう、実践で新魔法使いたくないんだけどね。ミコルちゃんがエクスプロージョンについて教えてくれていたから、なんとか間に合ったよ。」

「すごいです。」

魔法使い同士でしか理解らない会話を、繰り広げる僕とミコルちゃん。さっきまで、できないと思っていたことが、出来るようになったのだから、驚くよなぁ。自分でも驚いてるくらいだ。


「簡単だから、ミコルちゃんも使ってみてよ。」

「え!?使えるの!?」

僕は自分の魔法を、自分の中だけで止めておくつもりはないので、出来るものはどんどん広めていきたい。ミコルちゃんは弟子としては最高だろう。僕よりずっと実務能力が高いのだから。


「使えると思うよ。ミコルちゃんの魔法力だったら、ファイヤーバレットどころかファイヤーキャノンだろうけど」

「すごーい!!覚えたい!!」

と、ミコルちゃんへの、レクチャーが始まった。


「すごい元気ね。あの二人、いまやっと、2体のゴーレムを倒したというのに。こっちはヘトヘトだわ。」

「だなァ。あいつらの向上心には頭がさがるぜェ」

「その向上心のおかげで、ここまでこれたというのはあるわね。」

ここまでのことを振り返る、ラクスとガルク。


「ほんとだナァ。ナオヤは、すげェな。ほんと、何者なんだァ。」

「何者でもいいわ。私達も彼のおかげで強くなれた。さらに先に進むわよ!」

「そうだったな、ラクスには目的があるもんなァ」

僕の生い立ちについて、一瞬考えたが、それよりも進むことを意識する二人。


「そうよ、目的を達成するまで進むしかないわ」

「最後までつきあうぜェ」

「ありがとう。」

結束を固めるラクスとガルク。この二人は幼なじみでもある。強いつながりが、あるのだろう。


「今日は、ここでやすんで行きましょう」

ラクスが、みんなに言った。

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