第八十九話 魔導の塔とワクワク感

新魔法を、おぼえたミコルちゃんは、ニコニコで寝ていた。


「新しいことを、覚えるのっておもしろいよなぁ」

子供のころのワクワク感を思い出していた。

僕は、そういうのが好きで好きでたまらない少年だった。


早いうちからパソコンを、買い与えてもらっていた。僕はどんどん新しいプログラムを覚えている子供だった。

新しいゲームの、こういうこと、ああいうことは、どうやったら実装できるのかを常に考えて試していた。


そして、ある程度のものは、見れば、大体どうやって作られているのかわかるようになっていた。

この能力があるかないかで、プログラマーは大きく差がついてしまう。


学校で習うだけだと、この能力が身につかない。

一番重要な能力であるのに、だ。

それは学校では、教えることが出来ない。


この世界に来てから、この能力が、かなり役に立ってきている。

この世界の物理法則を素早く理解して、自分のちからに落としこむ。


プログラムと一緒だ。

新しい物理法則を、学ぶことが出来るというのは、ほんとうに楽しいことだ。

新しいゲームを買ってもらえたかのような楽しさがある。そして命がけだ。


このダンジョンは、その能力が向上するように設計されている。

意図的な何かを、ずっと感じている。

自然に生成されたら、こうはならないはずだ。


自分も設計をするので、そういうことが、かなり分かるようになっていた。


ここの主に、早く会いたいな。

と思いはじめていた。

スゴイ設計者には、会いたいものだ。


プログラマーは家でカタカタ、好きなだけプログラムを打っているイメージが浸透していると思うが、実は、社交的だ。

自分の能力の向上のための、コミュニケーション能力は活発だ。


毎週どこかで勉強会は行われているし、プログラムやロボットの大会も活発だ。1万人以上が参加するロボット大会というものもある。


そんなことを考えながら、眠りについた。


「そして、やっぱり、次はゴーレム三体だよね」

次の日、早速、13階について、敵の姿を認識した僕はそうこぼした。

何回も言っているようで申し訳ないのだけれど

1,2,3,4体と増えていく敵の強さは

1,4,9,16となっていく。

もう最初のゴーレムの9倍だ。


そして、僕一人でゴーレム2体を引きつけないと、最初のゴーレムも倒せない。

かなりの大ピンチなのであった。


「さーて、どうしますかね。」

僕がつぶやいた。わかってはいたものの、やっぱり出てくると困る。高確率のガチャガチャをひいたときもこんな気分かな。


「いつもどおり、2体を任せていいかしら」

とラクスは、僕に言った。


「たのむぜェ」

ガルクも笑いながら、こっちを向いてそう言った。


「ふふふ、簡単にいってくれるね。やるけどね!」

と僕はいった。難しければ難しいほど、面白い。

と思う。思うんだけど、実際のところ、良い方法は思いついては、いなかった。


「さて、どうしよう」

僕は、みんなに、聞こえるか聞こえないかくらいの、音量で呟いた。

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