第八十四話 魔導の塔と新技術導入について
「ふふーん、そう簡単にはできないんだよ!」
ミコルちゃんの、自慢気な声を耳にしながら
確かにそうだな、と僕は思っていた。
この技が使えるようになるまで、大変な修行をしたであろうことは想像が出来た。
この、おもしろい新技術に気を取られて
本来の戦い方ができなくなる方が恐ろしい。
いままでは、弱いからこそ敵の動きに注意しながら
戦うことが出来たのだけど、魔法の合成に気を取られている一瞬の隙に、やられてしまいそうだ。
プログラマ時代も新技術の導入は
大切な1つのビジネス判断だった。
エンジニアの自分的には、どんどん新しい技術をとりいれて行きたいのだけれども、現行のビジネスやメンバーの技術力
そういうものによって判断はただしくしていかないといけない。
今回でいうと、現状の敵を倒して、次の階に進んでいくという現在のプロジェクトの邪魔になるような、新技術の導入は慎重にならざるを得ない。
他の人まで死に追いやる可能生がある。
ただ、エクスプロージョンはかなり強力で複雑で難易度の高い技だ。
これ難しい技術は今は難しいが、合成という発想は面白い。
もっと簡単に僕にでも出来るようなことがあれば導入していきたい。
エクスプロージョンは、3つも4つも同時に制御した上に、大きな魔法力が必要になってくる。その代わり威力も強大だ。ゴーレムを一撃で粉砕できるほどの強力魔法だ。
そもそも、エクスプロージョンが出来たとして、ミコルちゃんのエクスプロージョンのような破壊力を持つかすら怪しい。
であればいまは、その危険をおかさないほうが、トータルメリットは高い。
自分の好奇心や後のメリットより、今は、自分にあっていない、新しい事をやらない。
全体最適はそうなってくるだろう。
「エクスプロージョンより簡単な合成魔法を進みながら考えよう」
僕の思考が表に出ていた。
「それがいいんだよお兄ちゃん。お兄ちゃんのいいところは賢いところ何だから、ミコルが思いつかないような、魔法を発明するといいんだよ!」
可愛く身振り不手振りで伝えてくれる美少女に励まされていた。
「ははは、こんな小さい子に励まされるなんて!自分を見失っていたな。」
「ぶー。ミコルはちいさくないんだよ!!」
と、飛び跳ねながら怒っていた。ガルクとラクスが後ろで聞いていて苦笑していた。
「さ、無駄話はそのくらいにしろォ、次の階が見えてきたぞォ」
笑いながら聞いていたガルクがそう僕ら二人をたしなめた。
進み続ける四人、前回の戦いから、戦い方が見えて来たので、少し自信が出てきていた。次の敵も瞬殺で倒すことが出来るといいのだけど、そんな簡単にいかないことは、前回からの経験でわかっている。
そんなことを考えながら歩みを進めて、敵を視認出来るところまで最初に僕が出た。
そして、4人を待っていたのは2体のゴーレムだった。
「やっぱりか」
最初に視認した僕の口から、思考がこぼれ落ちた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます