第八十三話 魔導の塔と合成魔法
「ファイヤーとウインドとサンダーを同時に打つんだよ」
可憐な少女ミコルは、複雑なことを簡単に言ってのけた。
想像外の方法に、僕は驚いていた。
「合成魔法ということか」
ミコルちゃんに話を聞いて、なんとか理解して、口に出たのがこの結論だった。
「爆発に必要な物を同時に発生させて、爆発を作るということか」
そんな難しいことが出来るのか、と思いながらもなんとか考えを口にすることが出来た。
「そうなんだよ!」
エッヘン、という効果音が聞こえそうなほど、胸を突き出し、腕を腰に当てて、ミコルちゃんは答えた。
「合成魔法。まったく思いつかなかった。」
単体の魔法を細かく分解する方法までは、思い付いて、使いこなしていたつもりだったのだけど、合成させて特殊な効果を作成する、というところまでは思いつかなかった。
しかし、これはかなり面白い。
こんなことができるのか!!と興奮してきた。
今後これを発展させて、もっと難しい魔法を生成することが可能だ。
ただ、結構な魔法力を必要とするのかもしれない。
「これは、魔法力が必要?」素直に聞いてみた。
「結構必要なんだよ、お兄ちゃん。それぞれの魔法と同時にねそれを合成するための魔力も必要になるから、それなりに魔法力を使うんだよ」
「なるほど、つなぎ、のようなものも魔力で生成するわけだ。」
だんだんわかってきた。
それぞれ基本魔法のバランスと、それをつなぐ魔力が同時に必要になるわけだ。
これはかなり難しい技術だと思われる。
これをあの、ラクスとガルクが攻撃している短期間に生成していたというのか。
「恐ろしい子。」
僕はついこぼした。
「ふふーん、もっとほめてもいいんだよ、お兄ちゃん」
ミコルちゃんは、自慢気にそう言った。
「ほんとに凄いよ。」
関心していた。そして、実際試してみたいなと思った。
原理がわかったら試してみないと気がすまない。
おもむろに両手を出した。
「ウインド&ファイヤ」
右手にファイヤ、左手にウインド
同時に発生させてみた。
「お、おにいちゃん、凄い」
「いや、まだだよ」
なんとか2つの基礎呪文を同時に発生させることが出来た。
でも、かなり難しい。
集中しないと、意識が持っていかれる
「オーラ」
さらに、両手に、オーラをまとった。
このオーラで、2つの呪文。ウインドとファイヤを合成するのだ。
グググと近づけるところで、オーラが切れた。
「うわ、オーラが消えた」
と、同時にファイヤと、ウインドも消えた
「うわー!こ、これは、難しい!!」
実際のところ、ファイヤを生成し、ウインドを生成し、オーラを発生させ、腕も動かすという。
同時に4つの事を行うという、ウルトラCだ。
「これは、一朝一夕には出来ない」
試してみて実感した。
「次の戦いから僕も使えたらいいと思ったんだけど」
「ふふーん、そう簡単にはできないんだよ!」
ミコルちゃんが自慢気に言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます