第七十二話 魔導の塔とシルフと感想戦

「感想戦ってどうやるの?」シルフくんがそう聞いた。


「とくに決まりはないので、順に思い出して行きましょう。」

僕はそう言った。

「オッケー」

シルフ君は軽くそう答えた。


「まず、シルフ君が登場しました。そして、そのままいきなり風で飛ばされます。」

と僕は思い出しながら言った。

「そうだね、挨拶代わりの風の攻撃だね」

「そうです、かなり飛ばされて、壁にぶつかりました。いままでこんなに強い力の人にあったことがなかったので、かなり驚きました。」

僕は思ったことをそういっていた。圧倒的パワーだった、さすが風の精霊、といったところだろう。


「風で飛ばされた後、かなりパニックになりましたが、気をとりなおして、戦えるようになりました。ほんとに、今までにない、力を目の当たりにしてしまったので、いろんなことを考えてしまいました」僕が正直に伝えた。

「えっへん!」シルフくんは満足そうにそう言った。


「そして、僕と話している間に、ガルクが攻撃をしました。それを一瞬で吹き飛ばしていました」という僕にガルクが相槌を打った。

「まったく歯がたたなかったなァ」

「ふふふ、力で風をなんとかすることは出来ないんだよ!」

シルフくんは自信満々でそういった。


「確かに圧倒的な力でした。そのあと僕の反撃がはじまります」

「そうだったそうだった、ファイヤーを打ってきたんだったね、風で吹き消しちゃったけど、でも、あれは、効かない事がわかっていて試しとてみた感じだったね。」

シルフくんのといかけに、答えた。

「はい、どういう感じで効かないのかも試したかったのです。もしかしたら、突破口があるかもしれない」

「ためしてみるのが偉いよね」

そう言われた僕はこれは、プログラマーの性質とも言えるな、と思っていた。


プログラマーは、わかっていても試してみないと気が済まない。

実測しないで、思い込みで決めるようなことは、工学的思考ではない。

そういうものに我々プログラマーは耐えられない。


「僕の打った、炎はかき消されてしまいました。」

「そうだねバリアで防いだ、でも、その後からが凄いんだよね。」

「ありがとうございます。ファイアーで気を逸らしつつ、ワープをしました」僕がそう言うと、シルフ君が食いついてきた。

「そう!見たことがない呪文ワープ。アレは魔法力を自然の力に変換しないで、そのままエネルギーとして使っているんだね。そんなことができるなんて、考えたこともなかったよ。君の変わった力だね」

「はい。これは、僕ならではの戦い方かな、と思います。」

「でもその後の、氷の剣での体術はひどかったね。あんな体術当たるわけないよね」

「はい、体術はまったく苦手でした。氷の剣が通用するか試してみたかったんですけどね。当てることが叶いませんでしたね」と、僕は笑った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る