第七十一話 魔導の塔とシルフ戦の決着

「どこを狙っている?」

僕の攻撃が、天井に向かっているのを見て

自分に向かって放たれた魔法と確認した瞬間

シルフくんがそう叫んでいた。


そして、シルフくんがそう言った時に、

そのシルフ君の体を、円錐状の氷の筒が貫いていた。

二本の氷の円錐が、シルフくんの体を貫いている。


「ど、、、どうして」

シルフくんが震えた声を出す。

その状況を理解するのが難しいようだ。

そう、僕はわからないように工夫したからだった。


「どうして、ここに氷が刺さっているんだ」

シルフくんが怒り続ける。

一体何が起こっているのかわからないといった様子だった。


「とりあえず、もう、降参してください。もうこれ以上君を傷つけたくない」

僕は、この戦いが終わるように、低く真剣な声で

シルフくんにそう言った。


「ぐぐぐ」

シルフ君はかなり悔しそうであった。

そして負けず嫌いなので、諦めきれないようだ。


「もう、動けないはずですよ。何回も氷の刃が刺さっている。これ以上の戦いは危険だ。その刃を抜いて、回復魔法をかけましょう」

僕は淡々と続ける。


「くそー!勝っただけじゃなく、勝った後の、僕の体の心配までされてるのかー。」

シルフくんが叫び続ける。


「うーん!くやしい!!悔しいいけどこれは僕の負けだなー。わかった。降参!降参!参りました!君の勝ちだ」

考えた末、シルフくんは降参してくれた。

僕の勝ちが決定した。


「うぉぉぉおォォ、やったなナオヤ」

ガルクが叫ぶ

「やったわね!」

ラクスが言う。

「お兄ちゃんすごいです!!」

ミコルちゃんが言う。


「みんな!」

僕がつぶやいた。


「あのー。感動のところ申し訳ないのですが、この氷の刃抜いてもらえませんか?」

と、シルフくんが言った。


「ごめんごめん、あの伝説のシルフに勝てたから嬉しくて!」

と、僕は素直にそう言った

「伝説の!?じゃあしょうが無いな」

と、シルフくんが言っているのを聞きながら

氷を抜くのではなく、溶かした。

こちらのほうが体にかかる負荷がすくないだろう。

医療知識はないから適当だけど。


「ヒール」

そして、回復魔法を体にかけた。

回復魔法があるのはわかっているとはいえ、

相手の体を傷つけるのは気持ちのいいものではない。

これだけ話が通じる相手なのであれば、

スポーツで解決してはもらえないだろうか。


そう考えてしまう。

バーチャル空間なら、気にせず戦えるのだろうか。


「ナオヤ、ありがとう治ってきたよ!もう、いつもどおり動けそうだ。」

「どういたしまして!痛い思いをさせて、すみません」

「気にするなって!ところで、止めになった、氷の刃はどこから来たの?」

「ああ、そうでした。感想戦しましょうか?」


「感想戦?」

「そう、感想戦です。お互いの攻撃を振り返るのです。次回の戦いにも活かせるし、なかなか楽しいですよ。」

「それは楽しそう!やろうやろう」


そして感想戦が始まった。

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