第七十〇話 魔導の塔と氷の刃

大体2時間位しか、シルフくんが飛びつづけられないと分かったところで

ここは体力勝負をするしかないところなのだけど

正直体力には自信がない。


体力を削りつつ、知恵で勝負したい。


ゆっくり考えろ。


何が通用して何が通用しないのか。

まず、火は通用しない。

これは間違いなさそうだ。

風で打ち消されてしまう。

風に打ち勝つくらいの強い炎というものも考えられるけど

向こうは風の王

一朝一夕ではそんな炎の魔法を作ることは難しいだろう。


次は風だ。

これはもう圧倒的な差だ。

向こうは風のプロだ。

風魔法で対峙したら手も足も出ないことはわかっている。


ということは、氷だ。

氷魔法はかなり相性がいい感じだ。

相手の足を止めたり、物理攻撃をしたり

かなり相性がいいと思う。

メインはこれで行くべきだろう。


これに、自分ならではの工夫でチャンスをつかもう。

自分の編み出したワープ魔法もかなり有効っぽい。

さらに考えるんだ。


なぜ今シルフは有利なのか。

それは、風の魔法が有利になるフィールドだからだ。

このフロアは天井の低い体育館のようなフィールドだ。

圧倒的に風での移動に有利だ。


獣王無尽に動かれて

翻弄されてしまう。

それはマズイ。


氷の呪文で、相手の動きを制限していくのが良い。

氷の壁で相手を制限していくんだ。


「よし、分かったよ。シルフ君」

「お、やっとやる気になったかい?ナオヤくん」


「アイス!」

円錐状の氷を生成し、シルフ君に向かって噴射した。

シルフ君は当然風の力を使って避けている。

その間に巨大な氷の壁を生成した。

これで、体育館の半分の大きさに制限した。


シルフくんはその円錐状の氷を避け

僕のところに向かってきていた。

そしてそのまま、風の勢いで僕を蹴り飛ばす。


「とぅ!」

「ぐうぅぅ」

僕は吹き飛ばされつつ、魔力を全身にまとった。


「ワープ!」

氷の壁の頭上に飛んだ。

天井に着地し、魔法力を貯めた。


「ワープ」

天井を蹴るようにして、シルフくんのところへ飛び出した。


「え?!」

シルフくんが驚きの声を出してるところに

氷の剣をもって飛び込む

シルフ君が爆風で逃げた。


「だめか?」

「いや、そうでもないよ。」


爆風が収まった、場所から

氷の剣が刺さって、お腹を抑えてる

シルフ君が、見えてきた。


「なかなかやるじゃないか、ナオヤぁ」

「やっと本性が見えてきた感じかな。シルフくん」


「でもその前に、さらに壁を作らせてもらうよ!」

アイス!

と、さらに体育館が半分になるように氷の壁を作った。


「そのダメージと、この氷で、もうシルフ君の有利性は消えたよ?もう降参したらどうだい??」

「ふふふ、そんなわけないだろう!」


「この壁さえなくなれば、元通り僕が有利なままさ!」

シルフくんは、風の力をまとって、壁に向かって飛んでいった。

「これさえ壊せば!!」


「かかったね!ファイヤー」

僕は、シルフ君ではなく、壁の頭上に向かって炎を放った


「どこを狙ってる?」

シルフくんの声が届くのと同時に、氷がシルフくんに突き刺さっていた。

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