第六十九話 魔導の塔と風の力

「噂通りおもしろい魔法を使うんだねぇ」

シルフはくやしそうに微笑みながらもそう言った。

彼はずっと楽しそうだ。

楽しそうな人を見るとやっぱり楽しくなる。

スポーツのような戦いだと言える。


「これで、機動力は減ったはずです」

僕は、僕がシルフからお腹に蹴りを受けた時につけた氷の魔法についてそう言った。

地面と体をくっつけることは出来てないが

彼の右足の動きを完全に遅くすることが出来てるはずだ。


普通だったら、歩くことも走ることも難しいだろう。


「そうだね。普通の人だったらね」

そう彼は自信満々で微笑んだ。

そう言った瞬間シルフは浮いた。


「ぼくが風の精霊じゃなかったらね」

「ああ、やっぱり」

足を冷凍して、機動力を落としても、彼は風の精霊なので

風の力で浮いていた。

さすがに想像していたことだったが、実際に見るとなかなかつらい。なかなか彼にダメージを与えることができない。

手ごわすぎる。


「空中戦は望むところですよ!」

僕はそういって、オーラを纏った。

力をためて魔法をつかった。


「ワープ!」

空中に飛んだ。

魔導の塔に来る前のジージの修行によって、

大幅に魔法力がアップしているので

少しは空中に受けるようになってる。


ジージと修行する前には取れなかった戦法が取れるようになっている。

そこからもう一回

「ワープ」

瞬間、シルフのそばにとんだ。

しかし、シルフもそれはわかっていた。

にやりと笑ってこういった。

「近づかせないよ!」

その瞬間大きな風が発生しはるか遠くに弧を描いて飛んだ。

彼のワープは軌道を生成できるのが特徴だ。

僕のワープは直線だ。僕のワープはどちらかというと、凄いジャンプと言った感じだ。

かれは高速で運転しているような感じだ。


魔法量に雲泥の差がある。

近づく僕、逃げるシルフ


「空中鬼ごっこだわ」

ラクスが言った。


「高度なことやってるわ」

「すげぇなァ」

「すごいです!おにいちゃん!」

無駄に高度な遊びをしている、僕らに向かってギャラリーがわいた。


「ワープ」

シルフに近づく、シルフは風をまとい逃げる。

なんとか近づいて攻撃を与えたい。

このまま鬼ごっこを繰り返していると、僕の魔法力が先に切れる。


「うーん」

魔法をやめて、立ち止まった。


「あれ、もう鬼ごっこは終わり?」

「そうっすねぇ」

このままだと、正直手も足もでないで、魔法力だけが切れる。

それはマズイ。

しかし、かなり強い。


遠隔魔法は打ち消される。

近づくと逃げられる。


「どうやったら、攻撃あたるんだ」

「ふふふ、さぁねぇ、一生当たらないかもね」

生意気な少年はそう言った。


「そういえば、浮きっぱなしですね、シルフくん」

魔法力にものを言わせて、凍えた足を使わなくていい空中にいる。


「それ、一晩中くらい、浮いてられる感じですか」

「ふふふ、さーねー」

わかりやすかった。さすがに一晩はムリだが、1,2時間は余裕という感じだろうね。


「1,2時間ってところですかね?」

「さーねー」

わかりやすかった。

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