第三十〇話 修行のはじまり

「ありがとうございました!」

僕は大魔法使いに感謝の言葉を述べた。素直にそう思っていた。

僕が見たことがない魔法もみることができた。

これが長年に渡り研鑽された、魔法。

僕が適当につかっていたものとは、違っていた。


やはり、本物の魔法使いは良い。

「すごいですね」


僕とは全然違う体系の魔法だ。

魔法力を鍛える方向性なのかな。と思った。

僕の魔法の使い方は真逆で、運用を工夫するようなやり方だ。


魔法をツールとしてシステマティックに使うことに特化している。

そういう、僕のような使い方は、なかなか大魔法使いと呼ばれる感じではないものな、と思っていた。


つまり、そんなに魔法力がなくても

誰でも一定の効果を生むことができる。

これが科学技術の考え方に近い。

だれでも同じような効果を出すことができる、ということだ。


とはいえ、魔法力そのものが上がったら、

かなり作戦の幅が広がる、

今は僕一人が魔法を使えるようなことが優先なので

誰でも使えることは二の次で良い。


大火力の魔術、是非それも身につけたい


身に付ける方法があるのかな

やはり超回復だろうか

魔法を使い切ったら、次の日

もっと魔法が使えるようになってるという、いつもの現象だ。


そうこうしているうちに、遠くで見ていたガルクとラクスが戻ってきた。

「しかし、すごい戦いだったわね。魔法大戦争といった感じね」

ラクスは言う。


「見るたびに戦い方が変わっていくわ。常に進化していくのね。

しかもこの短期間で、大魔法使いと互角になるなんて」

「全然互角じゃないよ、大魔法使いはずっと先にいるさ。」


「オレのおかげだなァ、ナオヤ」

「ほんとにそうだよ!朝手伝ってくれてありがとう、そこからいろいろ思いついたんだ」

「そうだろォ、そうだろォ」

ガルクは誇らしげに言った。

今回ばかりはほんとに朝手伝ってくれたおかげだ。

なぜかラクスは手伝ってくれなかったし。


「いや、素晴らしい魔法でした。ありがとうございました。」

そう大魔法使いに告げた。


「キャラが元に戻ってるなァ」

ガルクが突っ込んだ。


「キャラってなに?」

なんのことだろう。記憶にない。


「おしりおしり言ってたくせに」

ラクスもボソっと言った。

よく聞こえなかった


「ふぅ〜、しかし、おヌシはどこで魔法を覚えたんじゃ?そんな魔法の使い方見たことないゾ!」

「自分で覚えました。と言っても実際ファイヤーとワープとヒールしか使えません」


「なんじゃと!それであの多彩な攻撃をしてきたのか」

大魔法使いはそう言って考え込んでいた。


「フォッフォッフォ、おもしろいやっちゃわい。」


「うちで修行していくか?」

「もちろんです、よろしくお願いします!」


「おまえらはどうするんじゃ?」


「もちろん修行していくわよ!」

「当たり前だァ」


修行生活がはじまった。

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