第二十九話 魔法戦の決着

大魔法使い、ことエロジジイを後ろから羽交い締めにして

ワープを唱えて、上空に飛んだ。

魔法と物理攻撃のハイブリッドな技だ。


「なんじゃ、これは」


今まで、ワープでは横移動ばっかりしていたが、

縦、つまりジャンプにも使えるんじゃないかと思っていた。

なんとなくできることはわかっていたので、それを試してみた。


そして、爺さんはガルクよりかなり軽い。

朝の実験で、ある程度の重さ1ガルクだと苦労することがあるが

0.5ガルクだと苦労なく、ワープできることはわかっていた。


つまり、持ちあげながあらワープが使えると踏んだ。

案の定、大魔法使いは軽く。

思ったとおり、ワープすることができた。


そして上空。


「上空50メートルはあるよ!どうします?降参??」

上空50メートルでする会話。はじめてのことだろう。

僕は一応確認してみた。ここで降参してくれるといいんだけど。


「そんわけあるか!」

大魔法使いはそう言った。


「あ、はい。じゃあ、離します」

と、大魔法使いを突き離した。

上空50メートルから。人を突き放した。

普通の人なら確実に死ぬ。


上空50メートルというのは、マンション15階くらいだ。

マンションは、14階建てと15階建てでは消防法が変わるので

実は現実のマンションは14階までが多い。


今回の50メートルは15階だ。

よく見るマンション、一個分くらいより高い。

普通だったら死ぬ。


そして、もちろん、僕もそのまま落ちる。

このままだとふたりとも死ぬ。

僕は着地方法に当たりがついていた。


地面に近づいたところで

オーラを体中に纏い

空中浮遊の要領で力をつかった。


数日前の実験では、5センチしか浮けない空中浮遊は

使いどころがないと思っていたが

着地にはぴったりで、上空50メートルから無傷で降りてこれた。


一方、大魔法使いは詠唱していた。


「ウォーター」

大規模の水の魔法を唱えていた。

しかも高出力高スピードの水を

両手から同じ出力で出していた。


「なんという魔法力とコントロール」

出力が足りないと、浮くことは出来ないし

両方の手の魔法のバランスが悪いと

変なところに飛んで行ってしまう。


これは難易度の高いことをやっている。


これはつまり、ジェット噴射だ。

最近だと水を噴射する機械で遊ぶ、

ウォータースキーなどに並んで

人気のあるレジャー・スポーツに使われるやつだ。


その要領で、地面に対して水を噴射し

落下の力を打ち消して

ふわっと、地面に着地した。


「おー、凄い。でもそれ非効率ですよ。」

魔法力に任せた強引な魔法だった。


「大魔法使いさん、まだやりますか!?」

僕は、そう大魔法使いに尋ねた。

もう、次の手は残してなかったけど。


「いやいや、おヌシの力はよくわかった、ここまでじゃ、なかなかやるのォ」

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