第十五話 魔法剣士ガルク

「よう、ラクス!そいつは誰だ!?」

と男が話しかけてきた。


「いきなり何よ、ガルク!」

「この人は、ナオヤよ」

とガルクに僕の名を教える。


「そして、ナオヤ。この人は、マナーのなってない幼なじみのガルクよ」

そして、ラクスは僕にガルクの名前をおしえてくれた。


「はじめまして、ガルクさん」

僕は、その二人の空気に飲まれながらも、挨拶をした。


「ガルクさん、なァ、ガルクでいいよ、ナオヤ」

ガルクはそう言った。


「それからラクス、なんだそのマナーのなってない幼なじみというのは!ライバルと言えライバルと」

と、ガルクは主張した。


「幼なじみです」

もう一度ラクスは言った。

恥ずかしい身内を紹介する感じで、ラクスが僕にガルクを紹介してくれた。


「こいつなにが出来るんだ?戦士かぁ?弓使いかぁ?魔法使いかぁ?見たところ、直接戦うタイプじゃねえなぁ」

ガルクはこう見えて、人の事をちゃんと観察しているらしい。


「非体育会系だからね」

そのとおり、と思って答えた。


「なんだァ?タイイクカイケイ??わけわかんねェな、こいつどこのもんだ?」


「この人は別の世界から来たのよ」ラクスが答える。

「ああ、噂のあれかァ。へェ、なにもんだアンタ??」

ガルクが食いついてくる。


「いや普通の人間だけど、たぶん」

「たぶん、だァ。自分のことも分からねえのかよオマエ」

たしかにそう言われればそうだ。


「自信はないなぁ。ここがほんとに異世界なのか、ヴァーチャル空間なのか、それさえも区別がつかない」

と本心を伝えた。わかるのなら教えて欲しい。


「ヴァーチャルクウカン??ああン、お前さっきから何言ってるんだよ?」

「ごめんごめん、ヴァーチャル空間は気にしなくていいよ。僕も自分が何者なのかわからないんだ。でも魔法を使えるのはほんとだよ」


僕は、ふっと燭台にある、ろうそくを消した。


「なんだァ?」

ガルクは言った。


「ファイヤー、(MP小、スピード小、威力激小)」

と、ろうそくに火をつけた。


「え??」とガルクは言った。

ラクスは、ほらね、という顔をした。


「おまえ、今何やった?」

「何って、ファイヤーだよ」


「いや、こんなファイヤーみたことねえ、オレも魔法が使えるが、そんなファイヤーできねえぞ、特殊な呪文なんじゃねえのかァ?」

と驚いた様子のガルク


「ほらね、ナオヤはすごいのよ。私達の常識にとらわれない魔法の使い方ができるわ。」

ラクスはえっへんといった感じで、僕のことを説明してくれた。素直にうれしい。


「なるほど、おもしれェ、気に入った!ラクス!俺も連れて行きな」

「え?」

「え?」

僕とラクスは同時に声を出した。


「どうせ、あそこに向うんだろう?だったら、戦力は多いほうがいいじゃねェか!オレも暇してるしな」


しかし、男が増えていくのか、しかもうるさいタイプの。


異世界にきたらハーレムなのでは。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る