第十六話 魔法の精度

一晩宿で寝て、朝起きた。

今日も庭で修行していると、そこにガルクがいた


「ああ、夢じゃなかった」

僕はつぶやいてしまった。

異世界モノなのに、男子が増えるという

残念な展開は、夢ではなくリアルだった。悲しい。


「あァん、夢だぁ?夢なわけないだろうが!このガルクさまと一緒に旅に出るんだよ!」

「ああ、やっぱりそうなのか。残念だ」

ほんとにやっぱりそうなのか、これは夢だったりしませんか。


「残念だァ?」

さらに絡んで来る感じだったが、気にしないで魔法の訓練をしよう。


「よし、と」

幾つか、地面に線を引く。

いくつかポイントをつけた。


さらに石を幾つか持つ。

そして、体中にオーラを纏う。

「お!?オ!?」ガルクがうるさい。


無視して始める。

「ワープ」

「ワープ」

「ワープ」


「うおォォォォ、なんだそりゃァ!」

ガルクが叫ぶ。


「うるさいなぁ、気が散るじゃないか!」

僕はガルクにに言う。


ワープするたびに、ワープしたところに、石を置いていた。

つまりワープの精度が知りたかった。どのくらい移動できるのか

どのくらい精度がでるのか


だいたい1メートル以内というところか

つまり誤差は±50cm

まぁまぁ、だといえる。


精度の考え方はこうだ。

何かを加工する場合。ぴったり同じところに穴をあけたりするのは

実はかなり難しいことなのだ。


ゲームとかだと、毎回同じところに同じことができるけども

物理現象はそうはいかない

人がやると、同じ所に穴を開けるのが難しいのは

よくわかると思う


でも、それは機械でもおなじ。

ドリルの中に遊びがある部品がいくつも入っている

例えばギアが2つ入っていれば、遊びができる


その遊びがあるせいで

ぴったり同じ位置にいることはできない。


そういう回転や移動をさせる場合

遊びという、グラグラする部分がかならずできるので

毎回同じ位置に同じことをするのはかなり難しい


そうなると

狙った位置に対して、

プラス方向にもマイナス方向にもずれる


なので加工品はだいたい、±の精度を与えられて

販売されることが多い

全く同じものを作ることができないからだ。


だが、使う側としては、片方向だけのズレしか許せない場合が多い

たとえば、キャップみたいなものをはめる時だ

大きい場合ハマらない。


ハマらないと商品にならない

なので、マイナス方向の誤差しか許さないものも多い

だいたいこういう誤差指定は高価だ。


今回のワープもそうで、何も考えずにワープして

プラス方向にもマイナス方向にもずれてしまうと問題が生じる。


昨日のように、

ラクスの手前にワープして、ラクスをつれて、元の位置に戻りたい

と思った時に、この誤差がプラス方向に生じてしまうと

ラクスにぶつかってしまい、ラクスをふっ飛ばしてしまうことになる。


つまり、

超勢いのついた、体当たりになってしまう

それは避けたいので、必ず手前にワープしたいのだ。


昨日は、たまたまぶつからなかった。

今考えると怖いことだ。ある意味奇跡的に、

ラクスを傷つけることがなかっただけだ。


そういう事故は今後もないようにしたい。

なので、自分のワープの誤差をしりたかった。


「魔法をもっと制御したい」

そう強く思っていた。

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