<遅刻理由2> 妹は病気ですか? YES、もはや手遅れですっ♪



 春日ミクです。

 男性経験のないピュアな女子高生で、趣味は男性同士の淫らな恋愛を妄想することです。


 突然ですが、あたしには妹がいます。

 実の姉が言うと抵抗ありますけど、とてもかわいい妹がいるのです。


 妹の名前は「春日由依かすが ゆい」。

 アイドル顔負けなキュートフェイスと、幼く魅力的なボディーの持ち主です。

 つまり、ロリ……はい。

 あたしの妹は、ロリぃ体つきなのです。


 年齢的には中学2年生でも、見た目だけなら女子小学生。

 童顔のミニマムボディーは、殿方の需要がとても高そうです。

 姉として悔しいのですが、妹に美少女的な意味でマイナス要素は見当たりません。


 ただひとつ。

 引きこもりなのを除いては。


 あたしは、由衣のお部屋のドアを開きます。


「由衣、朝ですよ?」

「Zzz...」


 はい、寝てました。

 すやすや寝顔は穏やかで、すぅすぅ寝息は心地よく、べちょべちょヨダレで枕を汚して、あたしはイラッと、拳をグググ……ッ。

 ニートな妹、駄目なシスター。

 こいつ幸せの絶頂に包まれてやがります……イエス、この世のストレスと無縁そうな寝顔を眺めていると反射的にグーで殴りたくなりますよね。

 むにゃむにゃ寝顔はだらしなく、唾液のシミが枕にべっちょり、裸足で薄着で下着姿で、いつも同じ服で……ええ、引きこもりのコイツには着替えの風習がないのです。

 あたしは、足元のクズ人間に話しかけます。


「由衣、そろそろ学校の時間ですよ?」

「むにゃむにゃ……生理痛がひどいから休むぅ~」

「生理休みは甘えなのです。しかも嘘がバレバレなのです」


 毎日のルーチンワークとはいえ、もはやため息しか出ません。

 ええ、あたしの妹は引きこもりなのです。

 ヒト属ヒト科のナマケ目、ダメ人間の地球代表、動物園の肉食獣も呆れるグータラで、学校なにそれ美味しいの?、自宅で気ままなニートライフ、ようするにゴミクズです。

 そんな由衣を起こそうと頑張りましたが、無駄ッ無駄ッ無駄ッ無駄ァァッ、DIOに終わりました。

 アレな妹を眺めていると、将来が不安でしょうがありません。

 人生も義務教育も舐めきった態度、

 半年ぐらい家から出なくても平気な図太さ、

 歯磨きしないし、

 お風呂入らないし、

 着替えもしないし、

 何もしないし、

 きっと家族に寄生して生きるつもりでしょうし。

 とにかく、コイツはもう駄目っぽいのです。

 きっと何かの病気の一種で、無気力、自堕落、ヤル気ナス、ダメな進化の到達点。進化論で有名な生物学者のダーウィン曰く「強い者が生き残ったわけではない、賢い者が生き残ったわけでもない、環境に適応した者が生き残ったのだ」ということですが、あたしの足元で寝息を立てる、クソ怠けで引きこもりニートな妹は、ぬるみきった環境に適応した具体例、一種のガラパゴスなのかもしれませんとか思いますけど、前述のよく聞く有名な発言をダーウィン実は言ってないらしいですね。チクショウ、騙されたのです。

 まあゾウガメや繁華街の家出少女と違って、ニートな妹を保護する気なんぞ1ミリもありませんが。

 でも、せめて着替えぐらいさせないと。

 ほら、いちおー女の子ですし、汚れやすい下着だけでも……


「せめて着替えぐらいして欲しいのです。同じ服、ずっと着てますよね?」

「むにゃむにゃ……無問題モウマンタイ

「大問題だから、さっさと起きるのです。せめて下着ぐらい替えるのです」

「むにゃむにゃ……お姉ちゃん、脱がして、履かしてぇ」

「はぁー」

 あたしはため息、コイツもう駄目っぽいのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る