第06話 バトルフィールド★丑の刻参拝


 春日ミクです。ピチピチのJKなのです。

 名前が初音ミクに、そっくりとよく言われます。


 趣味は小説の執筆です。

 男同士がファックする、純愛メインの文学作品を書いています。


 当然、書いた作品を誰かに読んで貰いたいわけですよ。

 主に同人誌など紙媒体などで発表しますが、お手軽なのは小説投稿サイトですね。

 テキストデータで投稿可能、管理も修正も楽ちん。

 無料で使える小説投稿サイトは、あたしのような物書きの強い味方なのです。


 そして、


「……チッ。またコイツの感想なのです」


 インターネット名物、変なヤツに絡まれるわけなのですよ。


 本当は、こんなこと言いたくないのですが。

 あたしは「合わない作品に感想を書く読者」が嫌いです。


 ……いや、ヤバい発言なのは自覚していますよ?


 貴重な時間を費やして感想を書いて下さる読者様を批判するこの発言が、創作者として恥ずべき発言で、速やかに腹を切るべき発言で、クリエイターとして失格な発言で、正直者がバカを見る発言なのは十分承知していますし、長年のひきこもり生活が祟って脳みそのシワがツルツルになり些細な事にヒートアップして反射神経のスピードで発狂する暇人ニートのゴミクズ共が「読者を軽視している!」や「読者を馬鹿にしてる!」などと意味不明なきぃーきぃー声を上げてまるで夜間の電灯に群がる昆虫みたいに嬉々として叩きコメントを書き込む発言なのも存じております。


 だけど、あたしは合わない作品に感想を書く読者が大嫌いです。


 あたしは創作者の端くれとして、自作にある程度「対象読者」を定めています。

 この作品は「ヘタレ攻め×オレ様受けシチュ」に萌える読者に向けて書いたとか、この作品は「小悪魔ショタ攻め×オレ様受けシチュ」に萌える読者に読んで頂きたいとか、電子レンジ×生卵でBLを書いた時はネタ作品なので対象読者とか度外視でしたけど、とにかく小説を書く時は「読ませたい読者」を考慮して執筆することが大半なのです。


 読んでもらいたい読者がいる一方で、その逆の読者もいます。

 おおっぴらに公言はしませんが、読んで貰いたくない読者もいるのです。


 たとえば、夏目漱石や芥川龍之介を愛読する堅物系の文学少女に、美少女ハーレムなライトノベルを読ませても「オタクきもい」と鎧袖一触でしょうし、子持ち主婦に「女子小学生を彼女にするガイドブック」を読ませても、防犯ブザーの製造会社が儲かるだけです。

 しかし、黒髪おさげの文学少女が唾棄すべき汚物と蔑んでいる、稚拙で非文学的でリアルな女性の心理が1ミリも存在しない男の欲求に奉仕するシチュだけを詰め込んだハーレムラノベにブヒるキモオタはたくさんいますし、雨ニモ風ニモ世間ノ冷タサニモ負ケズ、女子小学生と性的な意味を含めた真剣なお付き合いを願う「犯罪者予備軍」な殿方もたくさんいます。


 つまり、作品の評価とは、読み手によって変わるのです。


 あの人には名作でも、この人には紙ゴミ。

 ロリコンには名著でも、近所の奥様は通報したがる。


 そんな具体例から見て取れるように、作品を読んで感じる面白さには個人差が大きいからこそ、わざわざ合わない作品を読んで酷評な感想を書く読者さまは、自分でカップ麺にお湯を注いで「こんな化学調味料だらけの麺が食えるか!」と怒鳴る海原雌山みたいなものでありまして、アマチュア作家もカップ麺の製造会社も「お前の為に作ってんじゃねーよ」とイライラ必須なわけですが、作者にとって読者とは、神様(笑)であり、お客様(笑)であり、たとえそれが女神であろうと邪神であろうと、無礼な態度を取るのはマナー違反なのです。


 だから、変な感想が来ても、適当にお礼だけして意見も指摘も総無視。

 心のムカムカを癒すべく、お風呂でBL妄想して嫌なことを忘れるのが一番です。


 こんな感じで、対象外読者からの感想は困ったものなのですが、それとは逆で作品を気に入られすぎて、困るケースもレアながら存在します。


 例えば、コレ↓みたいに。

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● 双龍愛溺 ~男色獣のテーブルマナー~

● 作者:カスなミク

 あらすじ:

 冴えない高校生の麻見迅弥(あさみ じんや)は、瀕死の重傷を負った謎の美男子をなりゆきで自宅に連れ帰って手厚い看病をする。

 翌日、謎の美男子は「俺の怪我を治療してくれたお礼に、いつか貴様を汚してやる」と言葉を残して立ち去る。

 しばらくあと、迅弥はマフィアの事務所に拉致されてしまう。

 謎の美男子は日本最大の香港マフィアのボスで、迅弥が欲しくて拉致したのだ。

 謎の男は「覇龍」と名乗り「お前の全てを俺のモノにする」と迅弥をレイプする。

 迅弥は「禁断の快楽」に身を染めていくが、覇龍には麗龍というライバルがいた。

 相反する双龍は、やがて迅弥を奪い合う。


 エグゼ系に快楽調教される、オレサマ受け主人公です。

 攻め二人サンド悲劇アリ注意です。

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 これ↑、

 あたしが書いてるBL小説のあらすじです。


 こういう作品をネット上に発表すると、どうしても感想欄に変なのが湧くのです。


 たとえば、コレ↓みたいな

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■投稿者:Lino-Appleton [2016年07月10日 12時 23分] 32歳~35歳 女性

▼一言

 感想を書き込むのは、これで18回目です。

 やっぱり、犯されてる最中の迅弥はカッコいいですねっ!

 黒社会の首領である麗龍様の「金剛肉棒」で責められつつ、蔑んだ目で「そのピストンじゃ俺のハートはイカせられない」と射精するシーンなんて、私の腐れ子宮にビキュンと乙女電波がゆんゆんで垂れそうでした!

 黒でエグゼ系なオレ様受けのオリジ、しかも今回ついに二穴責めまでっ!

 覇竜と麗龍、双龍の肉爪が迅弥を責め立て、快楽の絶頂へと導く。

 サンド展開キター!

 もう、読んでる最中は、


  Σ(゚∀゚ノ)ノ イイ!


 ずっと砂を吐きまくりです!

 ………

 ……

 …ですが、私はどうしても納得出来ません。


 どうして作者さまは、覇竜の夜極拳奥義「裂山肛」で、麗龍様の「金剛肉棒」をズタズタに引き裂いたのですか?

 あれでは麗龍様は二度と……納得が出来ません。

 麗龍様は、迅弥と結ばれるべきなのに。

 それなのに、覇竜とか言うサカリトカゲに……

 作者さまは、考え直して下さい。

 かなりのハイペースで更新してますし、物語の操縦が出来ていないかと。


 まさか?

 私の麗龍様を差し置いて、

 覇竜と迅弥が結ばれるルートに突入とかないですよね?


 むしろ嘘ですよね?

 どうして麗龍様のアレを吹き飛ばしたんですか?

 何度も感想に書きましたよね?

 麗龍様が一番だって。

 麗龍様じゃないと駄目だって。

 麗龍様は誰より迅弥を愛してるって。

 なのに。

 それなのに。

 あなたは……作者のあなたは……許せない。


      麗龍様を返せ。


    私の麗龍様を元に戻せ。


許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。許さない。元に戻せ。戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせせ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――


 さて。

 今日も編集で、感想でんぱを削除しましょう。


 まったく困ったものなのです。

 あたしは、自作を個人サイトではなく、小説投稿サイトで公開しています。

 なので、荒らし感想の対策は悩みの種。

 最近では、毎日のようにLino-Appletonさんの電波かんそうを削除しています。


 創作者の端くれとして言いますけど。

 こういった感想うんこを書く人は、お腹をかっさばいて死ぬべきなんですよ。


 別にあたしは褒められたいだけで作品を公開しているわけではないので、厳しい感想やご意見はウェルカムですが、読みたい展開の押し付け、カップリングの指定、感想返しの催促や強要などは不愉快なので勘弁……ごめんなさい。


 ぶっちゃけあたしは、読者に褒められたいだけのタイプです。

 だからやっぱ、酷評とかノーセンキューです。


 とにかく、Lino-Appletonさんみたいに、アタマが発狂して魂が異次元の世界にトリップしちゃってる腐れまんこのどあほプッシーは、個人的に読者ではなく毒者と呼んでいます。ようするに「お前は二度と読むな」ということなのですが、日本語でコミュニケーションできる方は、最初からアレな感想を書かないわけでして……


 今日も頼りない運営に通報メールを送って、手動で感想クソを削除する日々です。


「はぁー、ヤレヤレなのです」


 何かの参考になるかと思い、部室に備え付けのパソコンで、

「荒らし」「感想」「オンライン小説」

 と、検索ワードを打ち込むと、


「ふむ、検索履歴が残ってますね」


 Googleの検索窓をクリックすると。

 過去にこのパソコンで検索されたキーワードの一覧が表示されます。


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 Google『 荒らし 感想 オンライン小説 』

       (過去の履歴)

   孤独 ぼっち

   退魔師 年収

   大型冷凍庫 マグロ丸ごと

   腐敗速度 埋める深さ 気温

   棒乞食 英語

   やおい穴 英語

   銃刀法

   メンズブラ レビュー

   丑の刻参拝 願いごとが叶う


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 情報を制するもの、なんとかを制する。

 部室のパソコンを調べれば、ゆとり部のメンバーが興味あることが一目瞭然です。


 ――孤独 ぼっち

 これはサワキーですね。彼女も悩んでいます。


 ――退魔師 年収

 オリミーも不安でしょうね。退魔師は自営業ですし。


 ――大型冷凍庫 マグロ丸ごと

 モドキんさんは、なにを冷凍するのでしょうか……?


 ――丑の刻参拝 願いごとが叶う

 おや?









 ホぉーホぉー。

 森のどこかでフクロウが鳴いてます。

 いまは放課後を飛び越えて、辺りは真っ暗、しーんと静かな草木も眠る午前二時。

 いわゆる真夜中、丑三つ時です。


 あたしは、こんな真夜中に学校近くの神社へやって来たのです。


「…………」


 無言で黙って淡々と、深夜の林道ウォークです。

 砂利道ザクザク、気分はワクワク、鼓動はドキドキ、願いはキルキル、

 恨んで憎んで、呪って祟って、あなたに届いて、負の気持ち。


 右手に持つのは小さなハンマー、ハートに溜まった大きな憎悪。

 左手に持つのは呪詛を書いた絵馬、託した願いはアイツの不幸。


 丑の刻参拝は、願いを叶える呪法です。


 カツンカツーン、絵馬にクギ刺し、

 カツンカツーン、呪いをかけます、

 カツンカツーン、あなたに届けと

 カツンカツーン、歪んだエールを、

 カツンカツーン、死ぬまで苦しめ、

 カツンカツーン、呪いのパワーで


 ……

 …………ふひひ、楽しみです。

 ……


 そんなわけであたしは、憎むべきLino-Appletonさんに不幸をデリバリーすべく、真夜中の神社にやって来たわけなのです。


 ホぉーホぉー。

 丑三つ時の神社で、すれ違う人などいない、

 ――ガサガサ。

 のですが、誰かが雑草をかき分けて、夜の林道を歩く音が聞こえて、


「あっ☆」


 ……キンキンと甘いロリ声、

 ……雑木林から飛び出してきたのは、

 ……高周波混じりの聞き慣れた声で喋る人でした。


「あれぇー☆ ミクちゃん、なんで夜中の神社にいるのぉ~♪」


 そうです、マジDeath、彼女デス。

 いつも金髪の巻き毛をフサフサ揺らして、いつも笑顔でニコニコしている、今は泥だらけのスコップ(※穴を掘っていたようです)と、中身が空っぽの寝袋(※死体を持ち運ぶのに便利そうです)を担いだ、ゆとり部で最恐、死ぬほど洒落にならない怖い先輩を知ってるかい?でお馴染み、モドキんさんとエンカウントしました!


「あっ……あぁ……」


 丑三つ時にハートがドキドキ、夜中に出会って足腰ガクガク、

 汗がダラダラ、歯茎ガチガチ、

             助けてっ!   こ、ろ、さ、

                 あたしっ!   れる――っ!

「えへへー☆」


 恐怖でお口が回りませんが、突然いきなり☆質問タイム。

 人間サイズ何かを埋めていたモドキんさんと、夜中の神社でバッタリ遭遇しました。


 あたしは、どうしますか?


  たたかう    だめだ! ちょきりんくんが しゃかってる!

  こえをあげる  だめだ! きょうふで ふるえて こえがでない!

 >おびえる    だめだ! モドキンさんが まがおで かおをのぞいてる!

  にげる     だめだ! モドキんさんに まわりこまれた!


「はわ、はわわぁ……」

「ねぇミクちゃん見た? 埋めてるトコ? ねぇ見た? 見たの? ミクちゃん?」

「みっ見てないのです……あたしは何も見てないのです……」

「見てない? ほんと? なら――てへっ☆ なぁんだぁ~♪ こんなところでミクちゃんに会ったからぁ☆ ビックリしちゃったぁ~♪」

「あたしもびっくりしたのです……そりゃあもう死を覚悟するぐらい……」

「えへへー☆ わたしは帰るねぇ~♪」

「ハヒ……足元が暗いんで、お気をつけて……」

「バイバ~イっ☆ あっ、ちなみにぃ♪」


 別れ際、ニコニコ笑顔なモドキんさんは。

 その一瞬だけ真顔になって、絶対零度の口調で言葉を吐き捨てるのです。


「私が埋めたの。カジキマグロだから」

「………」

「てへっ♪ じゃあねぇ~☆」

「サヨナラ……」

「モドもどモドキんっ♪ モドキんキンっ☆」


 カジキマグロの埋葬者ことモドキんさんは、スキップ混じりで遠くへ……はい。

 気にせず、丑の刻参拝をしましょう。


 たぶん、何も気にしないのが一番だと思うんです。

 もし気になって調べたら、チョキンと人生が終わりそうなので……いや、


 社会的に終わるのではなくて、お前もカジキマグロにしてやろうか的な意味で。

 気にせず、気づかず、気にしちゃ、駄目なのです。


「…………」


 丑の刻参拝は、呪いの儀式です。

 深夜の二時頃、呪詛や願望を書いた絵馬を、神社の御神木に五寸釘で打ち付けて祈願成就を狙うもので、憎いアイツを呪うネガティブなドリームだけでなく、ポジティブなお願いも叶えられるのが新しいです。


 呪いの儀式を祈祷に転ずる――

 いわゆる発想転換の具体例ですけど、あたしは丑の刻参拝のポジティブな側面なんてアウトオブ眼中、ネガティブ全開でLino-Appletonさんの不幸を願ってしまう、呪詛呪詛どろどろダークサイドで、うんざりブチ切れド腐れ乙女なのです。


 イエス、人を呪わば穴ふたつ。

 BL作品で男子が挿入される穴もふたつあります。


 片方は実在する穴で、もう片方は実在しない穴です。

 BL界隈では、後者の非実在の穴が使われるケースが多々あります。


 業界用語で「やおい穴」と呼ばれています。

 殿方の肛門と睾丸の中間にある穴のことで――はい。

 この時点で「おまえは何を言っているんだ?」と、ミルコ・クロコップのアスキアートにお説教を食らう自覚はありますが、BL世界における受け役の男性のそこに穴がないと……じゃないと説明できない体位での絡みが、ボーイズラブな作品には頻出する次第でして……腐女子だって正常位でヤリたいんですよ。

 実際ヤるのは妄想世界を生きる男性キャラクターですけど、実在する穴は出す専用で入れる穴ではありませんし、場所が場所なのでリアルだと汚いですし、なにより男同士が正常位で合体するには不都合な場所にあるのです。


 でも、正常位で合♂体して欲しい。

 そんな腐女子の要望で生まれた穴が「やおい穴」の正体なのです。


 ようするに、ある種のファンタジー設定です。

 なので、重箱の隅をつつく「そんな場所に穴はない」と言わず受け入れて下さい。


 アーッ!奥までズッポリ。

 というわけで。


 あたしは、夜中の神社に丑の刻参拝をやりに来たわけです。


 鬱蒼とした森に囲まれた夜の神社は、死体を埋めるのに適した不気味な場所と思っていましたが、実際に歩いてみれば静かで落ち着いた散歩道。

 月明かりで照らされる林道には、幻想的な美しさがあることに気づきます。


 夜の闇は、人の恐怖を煽ります。

 しかし、月光に照らされ生まれる影があるからこそ、際立つ美しさもあるのです。


 静まり返った鎮守の森、どこかで鳴くのはフクロウ。

 地面の枯れ葉を踏みしめる、あたしの足音は。

 夜風に揺れる枝葉の奏でる、涼しげな音色と合わさって。

 清涼感に満ちた、夜のBGMを演奏します。


 ほぉーほぉー、サワサワ、

 そうです。さわさわ、サワキーなのです。


 夜中に神社を歩いていたら、


「……ひぃっ!?」


 聞こえてきたのは、小さな悲鳴でした。

 怯えた瞳をプルプル潤ませ、大きなお胸をプルプル揺らして、右手にハンマー、左手に絵馬、裸足で巨乳で白装束で、本職顔負け、呪う気まんまん、やけに気合の入った丑の刻参りスタイルな、ゆとり部を代表する残念系の巨乳娘、サワキーがいました。


 夜中の神社で白装束のハンマー少女と遭遇するのは死ぬ程洒落にならん、ガチ怖いシチュですけど、洒落にならなすぎて逆に笑えてくるモドキんさんとの遭遇に比べれば軽いもの。


 あたしは、淡々とサワキーに話しかけます。


「こんばんは、なのです」

「こっ、こんばば……うわぁぁぁぁん!」


 挨拶をしたら泣かれました。放置でいいですか?

 サワキーは膝から崩れ落ちて、しくしくと泣きじゃくっています。


 どうでもいいのですが、白装束がはだけて胸元がヤバイです。

 ぷるん、白装束から大きな胸が零れ落ちそうなのです。


 チラッ。

 白装束がはだけて先っぽが見えちゃいそうな……間違いなくノーブラです。

 もしかしたら、下も履いてないかもしれません。

 ぱんつ履いてない丑の刻参り。

 新しい萌えジャンルが生まれるはずないですよね。白装束ってエロいです。


 足元には、サワキーの落とした絵馬が転がっていました。


「ん?」


 何気なく持ち上げてみると、そこには血みたいに真っ赤な文字で、


      凸 ←絵馬


『○○市×××に住む、■■死ねっ!

 苦しんで死ね、悶えながら死ね、泣きながら死ね、

 悲鳴を挙げて死ね、白目を剥いて死ね、豚のように死ね

 悶死、憤死、轢死、失血死、窒息死、転落死、溺死、

 毒死、圧死、爆死、過労死、突然死、衰弱死、凍死、

 ショック死、孤独死、傷害致死、過失致死、萌え死、

 死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、

 死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、』


 ……

 …………真っ赤な憎悪がつづられていました。

 ……


 気合の入った白装束とか、恨みのこもりまくった絵馬とか、傷害致死じゃ本人は死なないですし、萌え死はご褒美ですし、ラスト付近はネタ切れでソレっぽい字面を並べただけとか、色々とツッコミたいポイントはありますけど、ここは優しくスルーするのが正解かもしれません。


 だけど、あえて素直にコメントを述べてみます。


「■■さんが憎いのは分かりますが、あたしはサワキーの精神状態が心配なのです……」

「ひえっぐ、聞いで下ざいよ春日ざんっ! ■■は、あだしのごとを中学時代に虐めてたリア充グループのリーダー格でぇ……ぐすっ、学校の帰り道で久しぶりに見たんですよ……ひっぐ、イケメンのカレシと公園のベンチで……えぐっ、イケメンを膝枕していて……手を握り合ったりじて……目を閉じて幸せぞうで……青春じてで……あだしを虐めてたのに……ぞんな奴ばかりが幸せになるなんて……うぅぅ、あだしはきっと永遠にぼっぢのままだのに……憎いんですよっ! 憎んだってわたしは何一つ変わらないのにっ! だけどアイツに死んで欲しいんですっ! アイツが死ねばわたしが相対的に人間一人分だけ幸せになれるんです! とにがく許せないんですっ! 人のことを不幸のどん底に落としたイジメっ子が幸せな未来を過ごすなんてっ! 絶対に! だから、だからぁ……ひっぐ、えっぐ、うわぁぁぁぁんっ!」

「サワキーは怒りの向け先を間違っているのです。他人をいくら憎んでも自分が傷つくだけなのです。人を呪わば穴ふたつという言葉があります。他人に害を与えれば必ず自分に返ってくる――という意味の言葉なのです」

「墓穴に埋もれていいんです! アイツが死ねば! アイツさえ不幸になればっ!」

「サワキーは憎しみで我を忘れてるのです。他人を恨むより自分を磨くのです」


 あたしは、泣きじゃくるサワキーを抱きしめて慰めます。

 ノーブラです。爆乳です。白装束です。ヤバイです。ハミ出しそうです。

 太ももムチムチ、露出度高め、だけど見えない、ギリギリ見えない、これぞ全裸よりエロいチラリズム、計算づくなら大したもの、そんなサワキーをなだめます。


 ……

 …………丑の刻参拝、やめました。

 ……


 あたしが言うのもなんですが、他人を呪ってハッピー気分は良くないと思います。

 というか、傍観者の視点から見ると他人を呪う乙女ってガチで醜いのです。

 サワキーを見て、悟りました。


 そんなことを、あたしが考えていると、


「なぜお二人が……夜更けの神社にいまして?」


 どこか困惑混じり、お上品な声が聞こえてきました。

 あたしとサワキーは、パッと振り返ります。


 そこにいたのは、小さな退魔師、小さなおっぱい、お肌ツルツル、お胸もツルツル、セリフはイタくて、胸は板くて、洗濯、まな板、ただの板、胸なし、谷なし、色気なし、チビでガキで発達不良、お子様ランチがお似合いな、日傘にフリルのエセお嬢様、オリミーがいました。


 挙動不審なオリミーは、小さな体で慌てているのか。


 ――コトリ。

 足元にハンマーを落として。


 ――シュタ。

 両手を後ろに回し、何かを隠す仕草をしていて。


 華奢な手足をあたふた振って、動揺した口調で言うのです。


「わ、わたくしは帰りますの――って、なぜわたくしの背後を取りましてっ!? クッ、疾いっ!? 春日さんの動きがコレほど敏捷とは、しかしコレを見せる訳に……なっっ沢木さんっ!? わたくしを羽交い締めにして……やっ、やめて下さるっ!? 春日さんっ、その絵馬を見てはいけなっっ!?」

「ニヤニヤ。オリミーさん、どんなお願いを絵馬に書いたんですか~?ww」

「言えませんわ! 絵馬を返して下さる!」

「オリミーの絵馬には『大きくなりたい(胸と身長)』と書いてあるのです……   ぷっ」

「わっ笑わないで下さる……わたくしは本気でしてよ……」

「大きくなりたい? ぷひぃぃっwww オリミーさんカワイイですねぇwww チビだから(笑)、貧乳だから(爆)、小さいから(ぶはっ)、高校生なのに(むほぉ)、小学生が七夕の短冊に書くみたいなお願いをwww、うはwだめですwww、今わたしとっても幸せですwww」

「ペぎゃりゃァァァスっ! 屈辱ですわッ! モスト屈辱ですわッッ! 勇気を振り絞って丑の刻参拝に足を運べば……うぅぅ、背中に当たる沢木さんの豊満な感触……胸囲の格差社会が憎いですの……」


 かわゆい願いを込めた絵馬を見られて、恥じらいの涙をダラダラと流すオリミーは、なんというかクセになりそうです。


 ――もっとイジメたい。

 これは、サワキーがハマるのも無理ないです。


 サワキーとオリミーが、ひとしきり騒いだのを生暖かく見守ってから。

 あたしは、ポツリと言いました。


「……さて、帰りますか」

「……はい」

「……帰りますの」


 結論から言いますと、信じてたのがバカでした。

 そもそも絵馬や藁人形と五寸釘で願いが叶うなら、Amazonの売り上げランキング上位に藁人形が常時ランクインしているハズで、そうなってないということは、つまりそういうワケでして。


「バカだったのです……」

「は、はい……」

「沢木さんの白装束の胸元がエロ過ぎて、わたくし涙目ですの……」

「                              クククッ」


 あたしたち三人はトボトボと歩いて丑三つ時の神社を後に………、↑この声はっ!?


「クククッ、今宵は丑の刻参拝にふさわしき夜であるぞ」


 闇夜に響き渡るは、無駄に美声で偉そうなボイス!

 間違いありませんっ! ヤツだ、あいつだ、絶対アレだっ!

 ノストラダムスの最低予言で、アンゴルモアの大変態っ! 声はイケメン、顔もイケメン! 性格異常者、真性変態! 長身クールなハンサムボーイで、脳ミソの中は汚染済み! 動くな、喋るな、息吸うな! つまり死ね死ね、はやく死ね! 友達ゼロなハブられ上手で、存在自体が犯罪行為! 燃えるゴミだし社会のゴミだし、変態・異常者・精神奇形種! うごめく変態、這いよる害悪っ! いあいあ、ゆとりん、いや来るなっ! 召喚禁止のスーパー童貞! おかげさまで、キモいと言われてナンバーワン! ゆとり部に降臨した、変態大魔王!

 その名も、ゆとり先輩っ!


 バールのようなモノを取り出したあたしは、みんなに叫ぶのですっ!


「オリミーは戦闘態勢に移行! サワキーも支援を! 第一目標はゆとり先輩の絵馬! ある程度の被害なら許容! 心肺停止までなら事故の範囲です! なお命を奪った場合はボーナスポイントを差し上げますっ! とにかくあの変態は……確実に良からぬことを絵馬に書いてるのですっ!」


 あたしの下した、的確な指示に反応して。

 オリミーが日傘を構えて、サワキーはツイッターに書き込みを始めます。


 たぶん、戦闘態勢は整いました。

 あたしは、おぞましき変態童貞に叫びます。


「ゆとり先輩に勧告します! すみやかに自害せよ!」

「フハハっ! 丁寧にお断りさせて頂くぞ! 俺様は丑の刻参拝で、神聖なる計画を実行するのだ!」

「真性の変態さんが、なにを神聖ですかド変態! なんて恐ろしい計画を……まさかリアル世界で「ハメハメしちゃうんだぜ(嬉し泣)」なる、小恥ずかしい台詞を真顔で言えるヒューマンがいるとは……クソなのですっ! 微妙なアホさがBL小説の帯的な意味でヒットなのが悔しいのですッ!」

「オリミーさん! グ、グランドなんとかで、ゆとり先輩を狙えますかっ!」

「……ダメですわ。脳内エミュレートの命中率は12%ですの。わたくしのグランドフィナーレは二の撃ちいらずの単葬銃――軽量を目指したゆえの厚みのない銃身バレル、1発撃てば180秒の冷却時間を置かないと銃身破裂の恐れあり、連続発射は不可能で、また遠距離目標への精密狙撃には、とことん向きませんの」

「役立たず(ボソッ)」

「みゃらぁぁぁすッ! 否定出来ないのが悔しいですわっ! 沢木さんの言うとおりなのがムカツキますのっ!」

「警告なのです! ゆとり先輩がご神木に接近、ハンマーと絵馬の所持を確認!」

「ゆ、ゆとり先輩がご神木へ……阻止限界点を突破しましたっ!」

「終わりの始まりですわ……」

「フハハッ! ご神木よっ! 呪いの絵馬よっ! 俺様の願いを神に届けよっ! 俺様が願う『すべての女が俺に発情してエッチな気分になりますように』を叶えるのだっ!」


 カツン カツーン、ゆとり先輩は、

 カツン カツーン、絵馬に釘を打ちます、

 カツン カツーン、ハメハメしちゃうんだぜ(嬉し泣)と、

 カツン カツーン、ファッキンなお願いを、

 カツン カツーン、必死なのがキモいです……って、アレ?


「なっ!? まさか……ぅっ、あはぁ~ん、なのですっ///」

「ゆとり先輩に……んっ、わたし発情してぇ……」

「まさかゆとりさんの願いが……アハ、アハハハ……わたくし発情してますわ……ゴミクズなゆとりさんごときに……わたくしが発情……はつじょ……せっ精液欲しいですのぉ……でも妊娠は嫌ですのぉ……だけど精液は欲しいですのぉ……わたくしのツルリン割れ目のクレパスにゆとりさんの粗末なカラドボルクを挿入して恥丘温暖化の熱いフロン汁でわたくしの初めて永久凍土を奥までトロトロに溶かして欲しいんですのんんもほぉぉぉぉぉぉ」

「かっ春日さんっ!? オッオリミーさんが発狂しましたよっ!? ぁぁ、ジンジンっ」

「オリミーは放置なのですっ! 今はゆとり先輩をぉ……死ねばいいのにっ///」

「ハァハッハッハッッ! どうした赤面しているぞ、我がハーレム最初の入宮者どもよっ! まさか俺に発情しているのか! 欲情を覚えているのかっ! よろしい、ならば抱いてやろうっ! モテモテな俺様が貴様らを(感涙)」

「――ふんぎりぃぃぃぃぃ!」


 夜の神社に響くは、お上品じゃない雄叫び。

 発情モードのオリミーが、自分で自分のおでこを日傘で叩き割りました。

 額からダラダラ血を流して、憤怒の形相でゆとり先輩を見据える銀髪ロリは、


「ウォォォォッッッ! ですわァァァ!」


 痛みで我を取り戻したのか、憎悪を闇に焚べて吠えます。


 荒ぶる吐息は、野獣のごとし。

 青い瞳は、怒りに燃えて。

 ギリィィッと、白い歯を軋ませる。

 その表情に、ロリな成分はなく。

 あぁ、ぶちギレてますね。


 完全にプッツンしたオリミーが、いまにも「グリフィスッッッ!」と叫び出さんばかり表情で言うのです。


「ゆとりさんっっ!! 退魔師としてあなたをクラスAの人外と認定しますっ!! ゆえに破壊! 迅速なる破壊デストロイ!」

「織原よ。これを喰らうがよい――キラッ☆ 俺のセクシー流し目ビーム」

「はきゅんっ! そんな冷たい瞳で見つめられたら……パコパコあそこパコりん」

「この淫乱ロリ、役立たずなのですっ!」

「オリミーさんが、ぱぱパンツ脱ぎだして……や、野外オナニー始めま」

「フッハッハッハッ! 後輩たちよ! 欲情に身を任せよっ! 湯取卓のハーレム要員を受け入れるのだ!」

「サノバビッチ、なのですっ///」

「わっわたし、ゆとり先輩に……いっいやです、でもぉ体の奥が火照って……」

「んもほォォォ! こっここのツルツル割れ目に、おちちっおちんぽぉほしいですのぉぉぁぁぁ!」

「ハァ――ハッハッハッッ! 愉快であるぞ! 乙女が恥じらい紅潮するのは至極悦楽であるぞ! さぁもっと俺を昂らせろ! もっと俺を……なんだと? よせっ、来るな、離れろっ、俺はおまえたちと交尾できないぃぃ!」

「っ/// あれは?」


 ――

 ――――ざわっ

 ――


 森の奥から、黒いカーテンが現れました。

 否、黒いカーテンに見えたソレは、小さな生物が密集して出来た群れでした。


 クワガタ、カナブン、カブトムシ。


 あらゆる生物の群れが、黒いカーテンのように密集して。

 変態童貞のゆとり先輩に襲いかかるのです、


 うほっ、性的な意味で。


「や、やめ……昆虫が俺のパンツに入り込んで、ふごぉ!」

「ゆとり先輩が、昆虫に集団レイプされてますね……キモっ///」

「んっっ、どっどうやら呪いの効果は、人間以外のメスにも有効みたいで……」

「あへぇ……わたくひの●●●な●●●●●の●●ンコ●●汁でビショ●●して」

「ゆとり部の後輩たち! 発情してないで俺様を助けろ! ぐぅぉぉぉっ!? そこはダメだっ! やめろミヤマクワガタッ! それを挟まれたらぎぃひぃぃぃぃっ! かっカブトムシぃぃぃ! 俺の尻に入り込むなぁぁぁ! そっそんなトコに……たっ卵を産まないでくれぇぇ!」

「どうしてこうなったのですか……うっぷ、吐き気がっ///」


 赤面するあたし、悶えるサワキー、もう手遅れっぽいオリミー、昆虫に童貞を奪われそうなゆとり先輩、カオス、ハチャメチャ、作者の暴走。

 あたしの脳内にそんな無意味な単語が浮かんでは消えていきま「びちょりん汁をぉぉぉ」誰かオリミーを止めて下さい。

 どうしようもない事態に何をしたらいいか分かりませ「とろとろぐちゅぐちゅ、まんまんタラったッ」誰かオリミーを止めて下さい。

 もう殺すしか……よし殺しましょう。今すぐ迅速「あひゃ汁、トロ汁、おまん」誰かオリミーを止めて下さいってかこの淫語ロリを黙らせて下さい、とにかくです。


 あたしはゆとり先輩を殺すべく、ハンマーを握りしめるのです……うへへ。

 これは殺人じゃなくて、世界を救うための英雄的な行動なのです。


 あたしは、

 草むらを踏みしめて、

 昆虫に集団レイプされている、

 ゆとり先輩の、


「はひぃ、き、キましたのっ! あはぁ、割れ目、いぐぅ、イグゥゥますわァァ!」


 オリミーは黙るのです。

 近づいて、

 目標まで五メートル、

 あと少しで。

 ゆとり先輩の頭蓋骨を、

 ハンマーでべコリと……

 ……いひひっ///

 ここで仕留めないと、あたしまでゆとり先輩にっ///


  ――カツン、カツーン、


 丑三つ時の神社に、ハンマーで絵馬をクギ打つ音が響きました。


「間一髪だったようね」


 透き通った美声は、クールで頼れる救いのボイス。

 完璧アルティメットな美少女、黒髪ロングなゆとり部の裏番長――

 カスミン先輩っ!?


「沢木さんのツイッターの書き込みが不穏だったから。様子を見に来たの」


 カスミン先輩は、いつもの無表情フェイスのまま。

 ポカーンとするあたし達に、淡々と言葉を続けるのです。


「絵馬に『すべての呪いが解除されますように』と書いたけど」

「うぅぅ、カスミン先輩っ、もう少しでわたし……」

「……ですの」

「さすがカスミン先輩なのです。あたしを狂わせる呪いの発情は止まりました。おかげでゆとり先輩を物理で昇天させたり、舌を噛んで死なずに済んで良かったのです。ところで、カスミン先輩は呪いで、その、酷いことになりませんでした?」

「とくに。わたし、他の人より性欲が弱いみたいだから」

「さすがなのです……」

「みんな無事のようね。ゆとり君は――」


 澄み切った声を言い淀ませながら、カスミン先輩は足元のアレを眺めます。


「放置しましょう」


 表情ひとつ変えず、カスミン先輩は言いました。

 呆れと侮蔑の混ざった、冷めきった視線が睥睨する先では。


「アイエエエエ!! カブトムシ!? カブトムシ産卵ナンデ!? かっカナブンが! カナブンがパンティーの中で……羽を広げるなァァァァァァ!」


 ゆとり先輩が。

 パンツの中で暴れまわる、数十匹の昆虫に悶えてました。

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