第02話 あたしが選んだ部活に常識人がいないのは絶対に間違っている


 ドキドキの登校なのです……いや、違いますよ?

 学校の帰り道のバス停で恋に落ちる音がしてハートがメルトなドキムネじゃなくて、テスト中にカンニングがバレてドキドキな緊張感なわけでして……ヘルプ。


 ちなみに、昨日は楽しかったです。

 スリリングな持ち物検査の後、クラスの有志で「カップル成立おめでとう会」と称してボーリング場に行ったというか連れ回されて、夕飯はサイゼリヤにワイワイ楽しく拉致監禁されて、夜はカラオケボックスへ強制任意同行を求められて、テンションMAXのアゲ↑アゲ↑気分のままDAMでJOYSOUNDな……ヤケクソとも言いますけど、みんながボーカロイドの曲ばかり入れる中に奇襲のごとくブチ込んだ「ポケモソ言えるかな?」はサイコーに盛り上がって、暴徒から開放されて自宅に帰還してみれば、自己嫌悪に耐えられなくなって「う"あ"あ"あぁぁぁっっ!!」と叫んでしまい、眠たげな妹にかわいそうな人を見る目で……う"あ"あ"あ"あ"あっ!


 あたしは、この場で叫びたいのですっ!

 ツインテールの頭を掻きむしって、喉が張り裂けんばかり絶叫したいのですっ!


 ハイっ! なにも回収できませんでした!


 沢木さんのカバンから!

 同人誌も! 腐典も! 平和な日常も!

 なにも回収できませんでした!


(どうしましょう……)


 昨晩はベットの中で『貴様はかわいい奴隷王子 ドラマCD』を聞きながら沢木さん関係の善後策を必死で考えましたが、結論は「明日になるまで分からない」で、奴隷王子のウィリアムは奴隷に身を落としたのにふてぶてしい態度でご主人様をベットに誘惑して……そこが萌えポイントなんですけど、とにかくそんな今日をあたしは腐っています。


 いまは登校時間で、学校の廊下を歩いています。


 あたしの心拍数はショート寸前で、震える足は止まってしまうわけで……アポロ11号の船長「ニール・アームストロング」が月面に降り立った際、その第一歩を「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」と表現しましたけど、あぁぁぁぁ現実逃避って楽しいのです。


 どうやら脳みそが、全力ダッシュで崩壊しそうな自我の保護に走ってるようです。

 あははは、どなたか、助けて、ヘルプ。


「あっ、あのぉ……春日さん」


 曇ったハートの空模様と違って、窓の外は晴れ渡った青空です。

 こんな天気の良い日は、宇宙から降り注ぐ魔法の毒電波が心地よいのです。


 あはは、毒電波は金属のアンテナでは受信できないんですよ。

 うふふ、凍れる虚ろな心のアンテナでハートにぴきゅーんと受信するのですよ。


 だから、ゆんゆん……

 嗚呼ぁ、犯されていきます。


 無垢なる心の純潔と、偽りの意思が孕みし仮初めの人格が、ゆんゆんと。

 毒電波の淫らな愛撫が、封印されし第三の人格をゆんゆん――って、あたしのメンタルのヤバさが、レッドゲージを振りきって、第八宇宙速度で駄目な方向に転がってますね。


 ウソでもいいので、どなたか手遅れじゃないと言って下さい。

 お願い、プリーズ、毒電波さん。

 ゆんゆん、ゆんゆん。


「あ、あのぉ……かっ春日さんに、おおっお話が……」


 HEY! HEY! ラブリィー☆ ハートにぷりゅりん♪

 Foo! Foo! てぃんくる☆ ココロにぴゅるりん♪


 あはは、あは。

 あははははははは…………だれか助けて下さい。


「ゆんゆん……ゆんゆん……」

「うぅぅ、また嫌われてる……わたしはいつもこう……小学校でも中学校でも高校でもきっと大学でも社会人になっても死ぬまでずっと爪弾きで人生何も楽しくなくて生きてる意味なんか見つからなくて、ずっと孤独で死ぬまでぼっちで……」

「あははー、ぴるるら……ハッ!?」


 毒電波の世界が、パッと色を取り戻しました。

 さっきまで、コリン星のバルバトスさんと楽しくおしゃべりしてたんですが……

 どうやら、それは幻覚だったみたいで。


 気づいたら、目の前に高身長で爆乳の泣き女がいました。

 清楚系アイドルを思わせる沢木さんが、廊下でえんえんと泣きじゃくって……

 あれ?


「あたしは……なにを?」

「わ、わたしなんて……いっ生きてる価値すら……ひっぐ」


 コリン星から戻ったら、あたしは廊下にいました。

 バルバトスさんに別れを告げたら、目の前に独り言マックスな女の子がいました。


 目の前の女の子は、クラスのぼっちで、カラダはエッチで、清楚な見た目に大きなおっぱい、偉大な物理学者ニューボウが発見した「万乳引力」に抗い逆らい抵抗して、垂れず屈せず美しくを守り続ける美巨乳の持ち主で、ボインシュタインの提唱した「乳対性理論」でも証明不可能な、全ての男子の視線を超重力の引力圏で釘付けにして離さないデカ乳を揺らす、自分でも何が言いたいのかよく分かりませんが、結論として白衣攻めは素敵だと思います。


 とにかくです。

 しくしく泣いている沢木さんは、たぶんあたしの同人誌を……ガシッ。


「ひぃっ!?」


 あたしは獲物に襲いかかるチュパカブラの動きで、沢木さんを大好きホールド。

 そして、唇と唇が触れ合いそうな、顔面ゼロ距離で、


「げへへ……ドュフヘヘ」


 フレンドリーな笑顔を浮かべるのです。

 ドュフフ……沢木さん、なんか怯えてるみたいです。


「ななっ、なんですかっ!?」

「ヒヒっ、こ、これは沢木さん、今日はいいお天気で……イヒヒ」

「そっ、そうですねぇ!?」

「ウェヒヒ……って、気づかぬ内にトリップしていました」


 すぅーはぁー、すぅーはぁー。

 深呼吸で平常心を取り戻したところで。


「さて、沢木さんにお伺いしたいのですが――持ってます?」

「た、たぶん間違いないと思いますっ! わわっわたしのバックに、春日さんの――むぐぅぅぅっ!?」


 右手で口を押さえて、左手で喉を掴みます。

 顔は笑顔で、口調は親しげ、瞳はクールに、殺意を込めて。


 目線で伝える「黙れ、クソアマッ」

 心で思うは「殺すぞ、クソアマッ」


 あなたに届け以心伝心、言わずに届いてあたしの想い。

 あたしは、沢木さんに優しく語りかけるのです。


「集合は放課後です。寄り道はせず、まっすぐ来ること。いいですね?」

「むぎゅうぅぅ!?(涙目でがくがく震える)」

「場所は旧校舎の一階、ブツの持参は忘れることなく」

「むむうぅぅぅ!?(首を上下にカクカク)」

「誰にも言わないこと。ゲロった場合はすみやかに遺書を書くことオッケー?」

「ひみゅぅぅぅ!?(目を見開いてブルってる)」

「ふぅ、なのです」


 お口から余計なクソを吐けない状態にした沢木さんと、極めて友好的に約束を取り付けることができました。クラスメイトの皆様がこちらを見ながらヒソヒソしてますけど……それは気にしない方向で。

 ひとまず口封じの第一段階は成功したようです。

 最後にあたしは、沢木さんに笑顔(※瞳はレイプ目)で言うのです。


「ふふ、沢木さん」

「ひっ、ひぃっっ!?」

「ありがとうなのです。これは二人だけの約束ですからね。もし――」

「はっ、はいぃっ!?」

「ふふっ」


 ニコっ。

 最後に優しく(※瞳はレイプ目)笑いかけると、沢木さんは真っ青な顔でブルブルと……なにか間違ってる気がしなくもないのですが、たぶん上手くいったと思います。

 鼓動のドキドキが静まって、アドレナリンの興奮が収まってゆく。

 これぞ絶体絶命のピンチを切り抜けた心地よさ。開発者の顔面をグーで殴りたくなるクソ難易度のゲームで感じるカタルシスをリアル世界で経験できるとは思いませんでした。


 とても晴れやかな気分。

 だけど、クラスメイトの視線が痛いです


 ――キンコン カンコーン――

   ……ねぇ、さっき沢木さんと

   ――昨日は楽しかったですね

   ……うん


   ――キンコン カンコーン――

     ……なあ春日、朝に沢木と

     ――消しゴムを拾ってあげただけですよ

     ……お、おぅ、


      ――キンコン カンコーン――

        ……バッ、バラされたくなければ、とっ友達になって下さいっ!

        ――はい?


 キンコン カンコーン。

 いまは放課後、場所は旧校舎の一階、人通りの少ない廊下にいます。

 あたしは、アタマに「?」を3つぐらい浮かべて、はてな?と首を傾げるのです。


 約束の時間と場所に、沢木さんはいました。


 さっそく取引をしようと話しかけたら……アレです。

 テンパリ気味の沢木さんに、イタイ同人誌をネタに脅迫されたのです。


「ア、アレをバラされたくなかったら、わっわたしと友達になって下さいっ!」


 友だちになれ――と。

 はい、意味がわかりません。

 なので、


「イヤです」

 素直にコメントしました。


「うわぁぁぁんっ!」

 ガン泣きされました。


 展開がエクストリーム過ぎて、アタマの理解が追いつきません。

 あたしは、どうすればよろしいのでしょうか?

 やはり、禁断の「プラン14」を選ぶべきなのでしょうか?


「うぅぅ、ひっぐ」


 床に膝をついてガチ泣きしている沢木さん。あたしの書いた同人誌は見当たらず。

 もしかしたら、沢木さんのバックの中にあるかもしれません。


 この隙にガサガサして奪うべきか……

 いや、それでは駄目です。

 あの同人誌は、沢木さんから奪還するだけでなく口止めしないと。

 それが駄目なら消さないと……


 埋めるか……

 燃やすか……

 溶かして排水口か……おっと。

 あたしの思考回路が、また暴走してました。

 とっても名残惜しいのですが、水酸化ナトリウムの話題はストップのようです


「うぅぅ、どうして、わたしには友達ができないんだろう……」

「えーと」


 あたしはとても残酷なことを口に出しかけましたが、それは人として言ってはイケナイので言葉を飲み込みました。

 はい、清楚で巨乳な沢木さんがぼっちなのは、やはり理由があるわけで。

 それをこの場で言ってしまうと、沢木さんのメンタルにとどめを刺すことになりかねません――とかを考えてる間に、沢木さんのひとりごとはエクセレントな感じで盛り上がっていくのです。


「フっフラグだと思ったのに、わたしにも友達ができるフラグだと……」

「フラグ? バックに忍ばせた同人誌と腐典のことですか?」

「うぅぅ……そ、そうです……あれは春日さんが「これバックの中に入ってました。誰のですか?」とわたしに言わせて「あっ、それあたしのです」という流れで「じゃあ、これから友達だね」というイベントが起きるフラグに」

「違いますし、夢見過ぎですし、んなことしたらブン殴りますし」

「うわぁぁん! すぐ取り返しに来ないから、絶対にフラグだと思ったのにぃ!」

「いや、その予定だったのですが……昨日は、あの後みんなにボーリングやらカラオケやらに連れて行かれて」

「……クラスのみんなと?」

「はい。クラスの有志で『カップル成立おめでとう会』という形で」

「知らなかったです……わ、わたし誘われてません……か、春日さんもそれに参加を?」

「ええ。昨日は夜遅くまで」

「…………ね」

「ん?」

「リアッ……、リア充は死んじゃって下さぃぃっっ! うわあぁぁぁん!」


 鬼のような形相で、死ねと言われました。

 どないすれば、よかですか?


 あたしは、沢木さんに語りかけるのです。


「沢木さん。友達は脅迫して作るものではないと思うのです」

「もう脅迫するしかないんですよぉ! 高校でやっとあたしの時代が来ると思ったのにィィ! 中学時代と違ってわたしもリア充になれると思ったのにぃぃ! なのに誰も話しかけてくれないし……友達も出来なくて……ずっとこんな学校生活を送るなら……えっぐ」


 ひとりで勝手にヒートアップして、

 ひとりで勝手に追い詰められて、

 ひとりで勝手に泣き出して……沢木さんは、もう手遅れっぽいのです。


 世の中には「精神が病んでる」とか「マトモじゃない」とか「親身になると自分が不幸になる人」が確実に居まして、きっと沢木さんもその一人なんでしょう。


 これ系のアレな人は「優しくスルー」で専門家に任せて、不幸の連鎖を遠くから生暖かく見守るのが正解なのですが、家族が宗教にハマったとか、親友がストーカーに目覚めたとか、上司が狂い出したとか、まあ色々とスルー出来ない場面が多々あるわけで……


 ずばり今が、なうスルーできない時でして。


「沢木さん?」

「うぅぅ……ひぇっぐ?」

「勇気を出して、学校を辞めるという選択肢もあると思いますよ?」

「うっ……うわぁぁぁぁっっん!」


 まだ日本語での意思疎通は難しいのですが……プラン13。

 この路線で行きましょう。

 削除、デリート、追放、ニフラム、排斥、デジョン、バシルーラ。

 残酷なことを言うようですが、沢木さんは通常の学園生活を送れない人なのです。

 だからこそ、早期の退学をおススメするのです。


 これは愛です。これは優しさです。

 いや、けっして面倒くさくなったわけでなく、


  カツン カツン

 

 人通りの少ない廊下に、上履きが床を蹴る音が響きました。


 パッと後ろを振り返ると。

 膝まで伸びた黒髪を揺らしながら歩く、ウソみたいに美しい女生徒がいました。


 彼女は沢木さんへ、感情の起伏を感じさせない無表情のまま歩み寄って。

 泣きじゃくる沢木さんの前でしゃがみ、視線の高さを合わせて泣き顔を覗きこみ。


 優しく静かな口調で、沢木さんに語りかけるのです。


「沢木さん、どうして泣いているの?」

「っぇぐ、カズミン先輩……そごのぉ春日さんがぁ……ひっぐ、わたし友達が欲しがっだ……えっぐ、だけなのにぃ」

「今は泣いていいから。沢木さんは不器用なだけ。何も悪いことはしてないわ」

「うぅぅ、カスミン先輩ぃぃぃ」


 ……何者ですか?

 出会って数秒なのに、あたしは人間ランク的な意味で負けを自覚しました。


 マジで半端ないです、あの人。

 沢木さんが躁鬱モードで会話不可能なのを一瞬で見抜き、今は泣いてるに任せるのが最善であると判断して、さりげないフォローだけに留める。なんてアタマの回転が早くて、性格も良さそうで、おまけに清楚で可憐な美貌の持ち主なんでしょう。


 あたしが負けを認めた彼女は、凍りついた無表情。

 だけど、長いまつげの切れ長の瞳に、静かな怒りを込めて。

 あたしに、問いかけてくるのです。


「わたしの後輩を泣かせた春日さんは、あなたかしら?」

「……泣かすつもりは、ありませんでひゅた」


 唇がわなわなと震えて、膝がガクガク震えます……こわい、とてもこわいです。

 ヘタな言い訳なんて、すぐ見透かされます。

 あの透き通った黒曜石の瞳には、どんな嘘もつけない。

 動物的な本能が、あたしに警告してくるのです。

 ――彼女には勝てない、

 と。


「沢木さんは繊細で傷つきやすい性格なの。言葉を配慮してあげて」

「……はい、約束します」

「あと春日さん。明日から教室で沢木さんに話しかけて欲しいの。いいえ、挨拶だけでいい。返事はたどたどしいと思うけど、沢木さんは喜んでくれるから。これは先輩としてのお願い。なんの強制でもないし、なんの義務でもない、ただのお願い」

「……分かりました。沢木さん」

「なゃんですかぁ……わっわだしみだいな、根暗でぼっぢなゴミクズに……」

「あたしと沢木さんは、今から友達ですよ」


 沢木さんは、お口とお目めがまんまる、おつきさま(別称:はにわ顔)になって。

 たっぷり3秒ほど、ぽけーと放心して。


「……とっ友達?」

「はい、なにか特別なことですか?」

「ぁっ……友達が……わたしにも友達ができた……書き込まなきゃ(使命感)」

「書き込む?」


 オウムみたいに問いかけた、あたしを無視して。

 沢木さんはスマフォを取り出して何か文字を……つーか、打ち込み速いですね。

 シュバババっ。

 画面をなぞる指の動きが、疾すぎて残像で見えるぐらいです。


「こっこ、これっ、ゆっゆーあるえるる」

「これ、URL?」

「は、はいっ! URLですっ! ブログの!」


 沢木さんに見ろと突き出されたケータイには、やたら凝った装飾の施されたブログが表示されていました。

 ブログ名は「サワリンのひとりごと」、最新記事は「ついに友達がっ!」で。


------------------------------------------------------------------------

☆☆☆☆ ついに友達がっ! ☆☆☆☆


 報告です!

 ついに友だちができました!


  Σ(゚∀゚ノ)ノキャー


 しかも、女の子の友達ですっ!

 ネットにしか居場所がないわたしにも、

 生身の友達が初めて出来て、


  ( ゚д゚)ハッ! 混乱☆混乱☆大混乱!


 ワクワクします! ドキドキします!

 リア充街道を突っ走ります!


       拍手:0件 コメント:0件

------------------------------------------------------------------------


 ……

 …………見せられても、コメントに困るのです。

 ……


「こっ、これ! ツイッターのアドレスッ!」

「今度はツイッターですね。ふむふむ、ほうほう、あぁ……なんというか……」


 超速でページを切り替えられて、次に表示されたのはツイッターの画面。

 そこに書かれていたのは↓です


------------------------------------------------------------------------

■サワリン@ぼっち(@sawarin_sawa_sawa) 0分前

 ついに友達が!

            開く 返信 リツイート お気に入りに登録 その他


■サワリン@ぼっち(@sawarin_sawa_sawa) 1分前

 友達フラグキタコレ!

            開く 返信 リツイート お気に入りに登録 その他


■サワリン@ぼっち(@sawarin_sawa_sawa) 10分前

 死にたいけど、死んだら負けな気がする。

            開く 返信 リツイート お気に入りに登録 その他


■サワリン@ぼっち(@sawarin_sawa_sawa) 10分前

 絶望って言葉は、軽々しく口にしちゃダメ。

 絶望した毎日だけど、本当の絶望を知るまでは。

            開く 返信 リツイート お気に入りに登録 その他

------------------------------------------------------------------------


「……病んでますね」

「沢木さんはネット依存症なの。だからネット越しに春日さんと仲良くなりたいんでしょうね」


 なんというか、ネガティブ度がハンパねぇ予感です。

 ただ眺めるだけで、SAN値がガリガリ削られそうな……閲覧者まで不幸な気分になるような……

 そんなブログとツイートを予感してドン引きなのです。


「……努力はするのです」

「お願いするわ。きっと大変だと思うけど」

「期待に添える自信がないのです……ところで、あなたと沢木さんの関係は?」

「私と沢木さんは、部活の先輩と後輩の関係」

「なるほどです。沢木さんが部活に所属してるのは意外でした」

「初めまして。2年の笠井菫かさい すみれ――よ。沢木さんをよろしくね。春日美空さん」

「はい、こちらこそよろしくお願いします」


 上級生に丁寧な一礼をされたら、下級生として応じるしかありません。


 沢木さんは帰宅部だと思ってました。

 学校が終わるとすぐ居なくなりますし、部活に所属するという雰囲気でもないですし、ぶっちゃけ彼女と会話したことある人って教室でレアな存在ですし、地味に驚きました。

 なんの部活に所属しているかは予想もつきませんけど、笠井先輩みたいに優しくて美人で、あたしのフルネームを知っている先輩と……なぜ。

 なぜ笠井先輩は、名乗ってもいないあたしのフルネームを知ってるのでしょうか?


 嫌な予感に震えながら、あたしは笠井先輩に問いかけるのです。


「お伺いしたいのですが、あたしのフルネームをどこで?」

「昨日、沢木さんがあなたの書いた本を部室で」

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"――っっ!」


 ツインテールををかきむしって、白目をむいて絶叫しますっ!


 ハイッ! 広まってましたっ!

 ばっちり! 沢木さんの近辺で広まってますっ!


 クラスに友達いない彼女なら安全と高をくくっていましたけど、部活に所属してたのは予想外でしたっ!


 もう平穏な学園生活は送れないんでしょうかっ!

 腐女子として生きないとダメなんでしょうかっ!


 かくなる上は、


「笠井先輩に、お願いがあるのです……」

「ええ、どうぞ」

「あたしの書いた同人誌は誰にもバラさないで欲しいのです……あれは秘密の趣味なのでクラスのみんなにバレたら……とてもツラいのです」

「わたしは構わないけど、春日さんの書いた本は、他の部員も知っているから」

「紹介して下さい。事情を説明して、土下座でも何でもしますので」

「部室に案内するわ」


 クルリと反転して、笠井先輩は歩き出します。

 あたしはそれを追いますが、ケータイに何かを打ち込みながら「ktkr(キタコレ)」とか「wktk(ワクテカ)」とか「リア充なう! リア充なう!」とか、独り言エンドレスな沢木さんは、もう放置でいいですよね?

 あたしと笠井先輩は、古びた扉の一室の前に来ました。


「表札はないけど、ここが部室。旧校舎の使われていない部屋を借り切ってるの」

「ところで、なんの部活ですか?」

「ゆとり部」

「えっ」

「廊下での立ち話もなんでしょうから、続きは部室でしましょう」


 ゆとり部。

 初めて聞いた、そして何をやるのか不明な部活名です。

 だんだんと胸が高まり、好奇心が渦を巻いて、小さな興味が湧いて来ました。

 沢木さんのようなぼっちのエリートを受け入れて、笠井先輩みたいなクールで知的な先輩が所属する正体不明の部活、これに興味を惹かれないハズがありません。


 キィィィィと、旧校舎の古びたドアが開かれて、


「ここが、ゆとり部の(効果音=キィィィィ)」

「モドもどモドキんっ☆ モドキんキンっ♪」

「部室だけど、すこし待ちましょう(効果音=バタン)」


  キィィィィ―――┐

          └―――バタン。


 ゆとり部のドアは、閉められました。

 チラッと見えた扉の向こうは……例えるなら異次元でした。

 金髪の巻き毛をふさふさ揺らす、ニコニコ笑顔の女生徒が鼻歌を口ずさんでいて、


「――あたしから笠井先輩へクエッションです。なぜドアを閉めました? 中でニコニコしてた人は? 彼女がレモンみたいに絞っていた物は、人間の眼球でオッケー?」

「5秒」

「えっ?」

「何も考えず扉を閉めて5秒待つの。それでなかったことになるから」

「おっしゃっていることがよく分からないのですが……普通に眼球絞りしてましたよね? テーブルに血のついたメスが転がってましたよね? 真っ赤に染まったジップロックの中身は」

「5秒経過したわね。もう大丈夫(効果音=キィィィィ)」

「あらぁ~♪ そちらのぉカワイイお客さんはぁ、どなたかしらぁ~ん☆」

「……初めまして、1年の春日美空と申します……」


 鼻歌まじりで眼球を生絞りしてた女性は、あたしの幻覚だったようです。


 旧校舎の部室は、平穏そのもの。

 スプラッターな食材も、野蛮な器具も見当たりません。


 ええ、さっき見た光景は幻覚だったんですよ。

 床に転がる黒いゴミ袋なんて、中身は紙くずか何かなんですよ。

 たぶん。


 金髪縦ロールな女生徒は、ニコニコ笑顔で言うのです。


「サワキーちゃんのバックに☆ 個性的なお本を入れた春日さんかしらっ♪」

「そのクラスメイトで間違いないと思います……けど」

「なぁに~♪」

「そのですね、さっき眼球」

「すだちなの」

「えっ?」

「あれはすだち――なのにモォー☆ 見間違えちゃうなんてぇ♪ ほんとミクちゃんったら、お茶目さんなんだからぁ☆」

「え~と、あれは間違いなく……ハっ、ハイッ! すだちでした! すだちですから、あたしの首筋にメスを当てっ!」

「てへへーぇ☆ 私の名前はぁ盛時和香もどき わか、二年生の先輩なのぉ~♪ みんなから「モドキん」って呼ばれてるからぁ、ミクちゃんもそう呼んでねぇ~☆」

「はヒ……モドキんさん……」

「そんな硬い顔しないで、リラックス、リラックスぅ~☆ そうだぁ~♪ お客さんにはお茶を出さないとぉ~☆」


 金髪縦ロールの先輩が、その場でクルリとスカートを翻して一回転します。

 ふわり、ヒザ下まで隠れたお上品な丈のロングスカートが浮かんで。

 ちらり、素敵な太ももが見えました。気のせいだと思いますが、「折りたたみ式のボルトクリッパー」や「血染みがついた手術用のメス」が、太もものガーターベルト的なモノに固定されていたわけですが……これも見間違えでオッケーですよね?


「春日さん」

「笠井先輩、なんでしょうか?」

「盛時さんの出す飲食物は、絶対に口にしちゃダメ」

「なぜ?」

「あれを見て」


 サクサクと、嬉しそうにすだちを切ってる。

 モドキんさんの持ってる刃物って、手術用のメスですよねっ?

 さっき、ヒトの眼球を真っ二つに断ち割ってた。


「えへへぇ~♪ 紅茶にすだちの果汁を絞ってぇ☆ すだちティーの完成よぉ♪」


 ぶちゅぅぅぅ~~っ!

 すだちのお汁が絞られる音が聞こえます。

 さっき、ヒトの眼球を絞っていた果汁絞り器から……うっぷ。


「何を食べさせられるか分からないから、盛時さんの出す飲食物は口にしちゃダメ」

「なるほど……モドキんさん、お気持ちだけで十分なのです」

「えぇ~♪ せっかく注いだのにぃ~☆」


 ニコニコ笑顔のモドキんさんは、残念そうに口をすぼめて言いました。


 この部活は大丈夫ですか?

 なんというか……マトモな人がいませんっ!


 沢木さんは根暗でコミュ症なネット依存症のアレですし、

 笠井先輩はクールで天才っぽい超人のようですし、

 モドキん先輩は警察ちゃんと仕事しろってレベルの異常者っぽいですし、


「この部活は……いったいこの部活はなんなのですかっ!?」

「その疑問には、部長の俺が答えてやろう」


 ――ガラッ、


 扉が開かれる音、

 あわてて振り返ると、

 そこには、


「ほぇー」

「どうした? 俺の顔に何か付いているのか?」


 瞳で感じた衝撃で、あたしは視覚を奪われました。

 低くミステリアスな美声で、あたしは聴覚を奪われました。

 突然の訪問者のインパクトで、あたしは意識を奪われたのです。


 部室に入ってきた、凛々しい声の男子生徒。


 それは細身で筋肉質なセクシー体型に、この世の全てを蔑むような切れ長の双眸、匂い立つエロスが濃すぎてヘブンモードみたいにキラキラと輝いている、完璧な美貌を持つ男子生徒でした。


 あたしは夢遊病患者のように、フワフワとした意識でつぶやいてしまうのです。


「理想の受けキャラ……見つけたのですっ」

「なんだとっ?」


 間違いありません。目の前のイケメンは受けですっ!

 もちろん、×《かけざん》的な意味でっ!


「あたしは一年の春日美空ですっ! 初対面の方にお願いするのもどうかと思うのですが……是非とも「俺で童貞を捨てていいのか? サカリ始めた子猫ちゃん」と言ってくれませんかっ! Sなお兄さんが後輩を誘う感じでっ!」

「それは構わないが――俺で童貞を捨てていいのか? サカリ始めた子猫ちゃん」

「マーベラスゥゥ! サイコーなのです! その声! その顔! そのクゥゥゥゥ! スマッシュヒットなナマモノのリアル登場であたしの五臓六腑が腐敗してふしゅーと腐臭が溢れるのです! どんだけ犯され上手な声なんですか! どんだけ男同士の快楽を受け入れる葛藤に苦しむ声なんですか! どんだけ監禁調教されて従順値とかアナル開発値とかのパラメーターを設定されそうなっっ……グッド! 最上級にグッドなのですっ!」


 確信しました、間違いなく受けキャラです。

 それも偉そうな態度の受けキャラ。他者を見下す受けキャラ。

 男同士で身体を重ねるたび、肉欲の世界に溺れていく受けキャラ。

 気づけば、自分が見下していた相手に調教されている……ヤバイのですっ!


 新登場の彼は、受けキャラにハマりすぎてる!

 間違いありません! あたしの子宮が、そう言っていますっ!

 マジサイコー、首輪とか付けて欲しいですっ!


「笠井よ、これがアイツだな?」

「ええ。昨日、沢木さんが相談してきた同人誌の作者さんよ」

「なるほど、期待通りの人物だな。聞け。カスなミクこと、春日ミクよ!」

「聞きます! 聞いて、おねだりして、次は王子様をやって貰います! おさわり禁止で調教通りにシチュを演じる、あたし専用のボイスロイドになって貰います!」

「ぐぬっ……まあいい。俺は湯取卓ゆとり すぐる。ゆとり部で部長を務める2年だ」

「拒否します! あなたの名前は、日本人ならアキラ、ファンタジーならイングウェイ、スチームパンクならハーヴェイで、学園モノなら……っ!」

「俺の話を聞け! 貴様のこだわりなど知らぬ! 妄想はそこまでにしておけ!」

「調教ふた穴責め、陵辱ネギ挿し、快感乳首いじりのエンドレス、ロッテンマーベラスゥゥゥ!」

「笠井よ。例の『クラスの男子の研究レポート』は持っているな?」

「ここに」

「ちょっと貸せ、32ページを読んでやる」


-------------------------------------------------------------------------------

 クラスの男子でBL妄想、

 次は皮肉屋の永沢君と内気な藤木くんのコンビです。


 ぱっと見では、永沢くんが藤木くんを従えてる感じですけど、

 挿したりハメたりな関係では、攻守が大逆転っ♪

 藤木くんが永沢君の弱みを握って、そのまま脅迫 → 合体♂初体験=♂×♂っ♪


 嫌がる永沢君を、ズヴォズヴォ責めながら、

「ふふ、これがいいんだろ?」

「やめるんだ藤木くん!? 僕たちは男同士じゃないか!?」

 こーゆー、鬼畜な調教絵巻ですっ♪


 あぁ~ん♪

 いつもはオドオドしている藤木くんは、ギャップ萌えのサドが似合いますっ♪


 永沢くんは、基本受けキャラ。

 だけど、自慢のタマネギ頭で藤木くんを責めるシチュもあり。

 腐女子の触手が、興味でビンビンなのですっ♪

-------------------------------------------------------------------------------


「……詳しい説明がほしいな、タマネギ頭で藤木くんを責めるシチュについて」

「う"あ"あ"あ"ぁぁぁっっ! それは妄想に従うまま一部の仲間以外は門外秘出のつもりで書いた……あたしの人生でも最上級に痛々しいッ!?」

「どうやら正気に戻ったようだな」

「……はっ!? ええ、荒療治でしたが帰還しました。ハローワールド。皆さんにお願いがあるのです。どうか同人誌のことは誰にも話さないで欲しいのです。これがカタギの皆さんにこれがバレたら……あたしの高校生活は終わるのです。一般的に男性同士が恋愛関係になるシチュエーションで萌え萌えしてしまう女の子のことを「腐女子ふじょし」といいますが、腐女子を見る世間の目は好奇の目線なんです、珍獣扱いなんです、決して理解されないんです。蔑まれて嘲笑されて……それは、悲しいことになるのです」


 未来に震えながら、ツインテールの頭を下げました。

 そう、あたしは腐女子です。腐ったガールなのです。

 それもハイレベルに腐敗した、妄想上等ド腐れ乙女なのです。

 いまは腐臭が漏れないようにセーブしてるのでなんとか平凡な日常を送れていますが、もし腐女子趣味をおおっぴらにしてブレーキが壊れてしまったら……

 きっと、ヨハネが黙示録に書くのを躊躇して、キバヤシが黙って首を横に振る大惨事が起きるでしょう。


「だからお願いします……どうか、あの同人誌のことは」

「春日よ。言えない趣味がある気持ちは分かるぞ。趣味をやめられない辛さも」

「はい……あたしにはBLが必要なのです……何度もやめようと悩みました……ホモが好きなんておかしいって……だけど人は大地を離れては生きていけない……腐女子は腐養土の上でないと生きられない体なのです……」

「用語は分からぬが、お前も苦労しているのだな。今まで辛かったろう」

「ツラいです……悲しいです」


 不覚にも、涙がこぼれて来ました。

 そう、ナマモノBLは決して人に知られてはいけない趣味なのです。


 授業中にクラスの男子同士で挿れたりハメたりな妄想をしてることがバレたら、どんな扱いを受けるか想像するだけで恐ろしいのです。

 もちろん、今もイケメン部長さんで挿れたりハメたりな妄想をしています。


 そうですね。

 彼のクールでサディストな見た目と声から判断するに、やっぱり嫌がるのを強引に奪うシチュでの処女損失がベター。だんだんと男同士の快楽に目覚めて、自分から求め始めるような展開が鉄板だと思います。BL小説には処女を奪うとか破瓜とかなる表現が散見されますが、あれはあくまで比喩ですから。ボーイズラブで挿入する穴に処女膜はありませんし、血は出ますけど破瓜とは違う気がしますし、最奥にいたっては意味不明で、仮に肛門から挿入して出口まで突き抜けたとしても直腸と食道を貫通して口から出て行くだけですし、そもそも口は入り口で肛門は出口で攻守逆転ですし、もちろん801穴に挿入している可能性もゼロではないのですが、ンな穴は現実に存在しない時点で指摘はナンセンス。BLに解剖学的な統合性は不要なのです。


 ようするに、あたしは目の前のイケメンで掛け算するのにいそがしいわけで、


「言わぬでも分かる。俺にも人に言えない趣味があるからな」

「調教は乳首責めから……えっ?」

「春日よ。これを見ろっ!」


 バ――ッと。


 ゆとりと名乗った、受けキャラの先輩は。

 制服の上着を脱いで、ワイシャツを脱いで、ズボンを脱いで、


「うわぁ……」


 あたしは、ドン引きしました。

 制服をパージしたゆとり先輩は『女性用のブラジャー』を身に着けていたのです。

 筋肉質で引き締まった上半身に、ピンクのブラジャーという違和感。

 細身でスタイリッシュな腰回りには、男性用のトランクス。

 どうやら女装癖ではなく、単にブラジャーを着けるのが好きなだけみたいです。


「なっなんなのですか……?」


 ゼロは、何も変わらない

 足しても引いても、答えは変わらず

 掛けても割っても、答えは一つ

 ゼロ、それはBL対象外な男のこと

 ゼロ、それはブラジャー男のこと

 あたしは、無意識に口走ってしまうのです。


「へ、変態がいます……」

「春日よ。ブラを付ける俺を変態と言うのは構わぬが、その言葉はお前に返ってくることを忘れるな」

「いや、気持ち悪いです……」


 カッコいい事を言おうとしてますが、正直にコメントすればキモいだけです。

 イケメンの癖に残念というか、イケメンなのに終わってるというか。

 ポテンシャルの奥深さが真っ暗すぎて、底が見えなくて――


 はい、冷めました。


 こんなのが、理想の受けキャラのハズありません。

 あたしの腐れ子宮が、そう囁いています。


 上半身裸にブラジャーという変態ルックのゆとり先輩が、爽やかすぎて逆にむかついてくる表情で言うのです。


「快感だ。俺の恥ずかしい姿を他人に見られると、胸がゾクゾクしてくる」

「その発言は、あなたが超一流の変態さんである証明なのかと思う次第でして……」

「そして、この姿を目にして恥じらう乙女を見ると俺はさらなる快感を覚えるのだ」

「いまの発言で確信しました。あなたは超A級のド変態さんです。あたしに近寄らないで下さいっ」

「俺の姿をもっと見てくれ。見て恥じらって悲鳴を挙げてくれっ。本当の俺をっ! 湯取卓の真の姿をっ!」

「えーと……彼は、いつもこうなんでしょうか?」

「ええ。ゆとり君はいつもこう。本人に悪気はないみたいだけど」

「うんっ☆ ゆとり君は、いつもこーなのぉ♪」

「自覚のない変態って、とてもタチが悪いですよね……」

「春日よっ! 隠し事はいつまでも続かないっ! お前も自らを開放しろっ! ブラジャーを愛用している俺のように本性をさらけ出せっ! さすれば秘密を隠して自分を偽ることに悩まず済むのだっ!」

「ンなの嫌に決まってますっ! あたしをゆとり先輩みたいなド変態と一緒にしないでくださいっ! メンズブラと同格に扱うとか、腐女子をどんだけ侮辱すれば気が済むんですかっ!てか、腐女子は不当に差別されてるのですっ! 男性の皆さんがカワイイ女の子同士でイチャイチャするのを見て興奮するのと同じで、女性がカッコいい男同士でイチャイチャするのに萌えて何が悪いんですかっ! 女は恋愛話や恋バナが好きなのですっ! だから、いつも身近な人の恋愛ゴシップネタで、わいわい、きゃーきゃーしてる生き物なのです! それゆえの観察趣味というか、恋する男子を応援したいというか、女の本性を知っているがゆえに女という汚物を恋愛の世界からシャットアウトして美しい友情がハッテンした結果のボーイズなラブの傍観者として物語を見守る、もちろんその延長で男同士の絡みもあるでしょうし、ない場合は妄想で補完したり、表現の自由を駆使して、文学やアートとして発表することもありますが、それはあくまで……あくまで…………あの……申し訳ありません、あたしヒートアップしてしまい」


 気づいたら、ドン引きされていました……。


 クールで知的な先輩も、

 スマイル猟奇な先輩も、

 男なのにブラジャー付けた変態クソバカ超キモイ男も、

 あたしを無言で見つめています。


 ――コイツ駄目だ、


 そう言わんばかりの冷めた目で……そうなのです。

 あたしは、夢中になると周りが見えなくなるので、腐女子オーラをセーブしないと日常生活が立ち行かないわけでして。


 ――ガラッ


 部室のドアが開かれる音。

 また誰か?と、あたしが振り返ると。

 銀髪をなびかせ日傘を持つ、小さな女子生徒がいました。


「あら? ゆとり部に珍しくお客様ですの?」


 優雅に前髪をかきあげながら。

 西洋風の顔立ちをした美少女が、パチ臭いテンプレお嬢さま言葉で声を紡ぎます。

 あたしは、無意識に呟いてしまうのです。


「小学生?」

「どこの誰かは存じませぬが……あなた禁句をおっしゃいましたね。わたくしはこれでも高校一年生ですのっ! そりゃ背は低いですし、制服は特注で、入学式では妹を替え玉に送り込んだ疑惑が浮上しましたけど……それでも高校生でしてよっ!」


 リアル小学生っぽい仕草で、プンプン怒られました。

 まだ初対面ですけど、感情表現が豊かで、見ていて飽きない女の子です。

 むすっと顔をしかめて、銀髪のロリさんが言います。


「ゆとりさんっ! こちらの失礼なツインテールは誰ですの!」

「そいつか? 昨日、沢木が騒いでた、持ち物検査でホモ同人誌を」

「あぁ。クラスの男子でハレンチな妄想を」

「う"あ"ぁぁぁっっ! 先ほどの失礼をお詫びするのですっ! その、あの……」

「織原エミリーですわ。クラスは違いますが、あなたと同じ1年生ですのよ」


 すこし呆れた表情で、銀髪碧眼の小学生っぽい女子生徒は言いました。

 あたしは必死の形相で、小学生っぽい織原さんに語りかけます。


「織原さんっ、そのですね、あたしはカスなミクこと春日美空と申しまして、あの同人誌の件ですが、あれというか、それ系の趣味を持っていることは、クラスのみんなには秘密にしていまして……」

「黙っていろ、と言いたくて? それなら別に構わなくてよ」

「ありがとうございますっ!」

「フッ、礼には及びませんわ。他人の秘密をべらべら喋るなど庶民の行い。わたくしのようなエレガントなお嬢さまなら、春日さんはホモ同人誌を書いてる変態ですのっ! …………これはですね、春日さんはホモ同人誌を書いてますの! ……説明します。わたくしは由緒正しい退魔師の家系に生まれた……退魔師というのは平たく言えば幽霊や妖怪などの人に害をなす人外の討殲を生業とする職業でありまして、昨日も他人の秘密をペラペラ喋りたくなる妖怪「ささやき」に取り憑かれた依頼人の除霊を行いましたの……けっこうな強敵で、なんとか払えたのですが、代わりにわたくしが取り憑かれてしまい……それゆえ秘密を隠そうとすると、わたくしの意思とは関係なしに秘密をペラペラと喋ってしまう状態で、春日さんは男同士の性行為が好きな異常者ですわっ!」

「えーと、殴っていいですか?」

「初対面なのに失礼な方ですわ。ですが、お気持ちは察しましてよ。つまりわたくしは秘密を守ろうとすると、逆に秘密をべらべらと喋ってしまう状態でして、春日さんはホモ同人誌を書いてますの! ……で、春日さんはクラスの男子でホモ行為を妄想するド変態ですわっ!」


 だれか助けてください。

 小学生サイズで自称退魔師なハーフっぽい銀髪ロリ少女が、あたしは腐女子と公言する広告塔として校内を歩きまわるそうです。

 もしくは、


「となると、あたしは織原さんを消す必要があるみたいですね……」

「あ~んっ♪ オリミーちゃんをコロコロするならぁ~っ☆ わたしが綺麗な死体を持ち帰りたいなぁ~♪」

「ひぃぃっ!? モドキさんがおっしゃると、冗談に聞こえませんわっ!?」

「織原よ。今のお前は秘密を隠そうとすると、逆に喋ってしまう状態なのか?」

「そのとおりですわ。不覚にもささやきに取り憑かれてしまいまして……今日の部活で皆様に協力して頂き、払う予定なのですが」

「湯取卓が織原エミリーに質問する――貴様の乳首は何色だっ!」

「なっっ!? なにを質問しやがるのですかっ!? そんなこと言えるわけ――薄いピンク色ですわっ! ……ゆとりさん」

「クククッ、なんだ織原、恨めしそうな目をして。さてはもっと質問して欲しいのか? あんなことや、こんなことや、それとも――おおっそうだったのか! 小学生にしか見えない織原が、家ではそんな淫らな」

「遺言をどうぞ、この場でブチ殺して差し上げま――桜色の乳首ですの……ギャラアァァスッッ! ブチ殺してやりますわ! 光より疾くぶち殺してくれますの!」

「湯取卓が織原エミリーに質問する! 織原は週に何回オ●ニーを――ギぃェェ!?」

「ゆとり君、黙りなさい」

「アィエィィ!? やめろ笠井っ、曲げるな笠井っ、ベキベキ変な音がギュヒッ!?」

「あっ☆ カスミンちゃんの関節リフォームが始まったみたぃ♪」

「関節リフォーム?」

「うんっ☆ カスミンちゃんは戦術姫道零式というお嬢さま教育を受けててねぇ♪ その一環で習った関節技が得意なのぉ~☆」 

「笠井さんの手にかかると、人体が不可思議な形状にリフォームされましてよ」

「なるほど。ゆとり部って、個性的な部員が揃っていますね」

「うんっ♪ みんな面白いからぁ~、ゆとり部にいるとぉ退屈しないのよぉ~☆」

「…………」


 ワイワイ、がやがや。

 とっても残念なメンツが揃ってますけど、部室のみんなはそれぞれ自分をあらわにして、自然体のまま活き活きとしています。

 それはとても楽しそうで、不思議な魅力で溢れていて。

 あたしも、こんな部活で……だっ駄目です!

 こんな異常者ばかりの集う部活が、あたしが求める空間のハズありません!

 本当の春日ミクをあらわにできたり、建前や人間関係と無縁で仲間と本音で語り合ったり、楽しくワイワイ何も気にせず好きなことを言い合えるような場所……

 ここは、そんな理想の場所ではないのです!

 あたしはツインテールをブンブン、少しアタマを冷やすのです!


「ゆとりさん、遺言をどうぞ。しかと聞き届けて差し上げますの。織原エミリーが聞き届けて、ゆとりさんを魂魄の一片まで殲滅し尽くしてくれますわ!」

「クソッ……あと一歩で、男が知らない女の七不思議の一つが判明するのだァ! 女どもが隠し通してきた永遠の謎が……男の知らない真実がひぎぃぃぃ!?」

「ゆとり君、いい加減にしないと意識を奪うわよ」

「ぐぬぅぅぅ! 俺は負けぬぞっ! 湯取卓が質問する! 織原は――ッ」

「大丈夫ですか? ゆとり先輩の首、ゴキッって」

「死なない程度に加減したから。織原さん、ゆとり君が寝ている間に終わらせましょう。あなたに取り憑いた妖怪を払う方法は?」

「ハァハァ……わたくしに取り憑いた妖怪「ささやき」を払う方法ですが、少々の荒療治になりましてよ」

「聞かせて。協力できそうなら手伝うから」

「笠井さんにはお世話になりっぱなしですわね。説明します。妖怪「ささやき」を払う方法ですが、それは「」ことですの」

「つまり、織原さんを恥ずかしい目に合わせればいいの?」

「へぇーっ♪ オリミーちゃんを、恥ずかしくさせればいいんだぁ~♪」

「その通りですわ。妖怪ささやきは恥ずかしがり屋の妖怪でして、取り憑いた人間と感覚を共有するがゆえ、取り憑いた人間の恥ずかしさが臨界点を突破すると自ら出て行くと文献に書いてありって、盛時さん!? なぜチョキリン君を展開しまして!?」

「えへへ☆ オリミーちゃんのまだ誰にも見せたことがない恥ずかしい内臓をぉ♪」

「常人は、内臓を見られても、恥じらいを感じませんのっ!」

「生命の危機なら感じるのです……」

「盛時さん、いい加減にしなさい」

「もぉー♪ オリミーちゃんったら、恥ずかしがり屋さんなんだからぁ☆」

「御期待に応えられず申し訳なく思いますわ……とにかく、わたくしを恥ずかしい目に」

「き、聞かせて貰いましたよ! オリミーさん!」


 ガラ――ッと、

 部室のドアが開かれます。


 登場したのは、プルンと揺れる大きなおっぱい。


 おっぱいおっぱい、彼女はおっぱい。

 そうです、おっぱい、見事なおっぱい。


 すっかり忘れてた、おっぱいのデカいクラスメイト。

 ぼっちで根暗で心が闇病み、おっぱいの大きい沢木さんの登場でした。


「サワキーちゃーん♪ いいとこに来たわねぇ~☆」

「は、はいっ! 最高のタイミングで戻って来ました! わ、わたし、さっきまでブログを更新したり、ツイッターに書き込んだり、2chに「ぼっちな喪女だけど友だちできた。何か質問ある?」とスレを立てたりしてて遅れましたけど、まっまさに最高のタイミングで登場ですねっ! き、聞かせてもらいましたよ、オリミーさん! なっ何にとり憑かれたのかはよく分かりませんけど、恥じらわせるんですね?」

「そっ、そうですわ……」


 沢木さんが楽しそうに、織原さんが嫌そうな表情を浮かべて。


    ――Now Loading――

    ――それから 十分後――


「ご主人様に……ご奉仕したいにゃんっ……ですわ」

「ぶぷぷっっwww オリミーさんの恥じらう顔ww マジで最高ですwwww」


 ゆとり部の部室に。

 沢木さんことサワキーの、生き生きとした嘲笑が響きます。


 織原さんことオリミーは、頭の上で両手のひらを猫耳のようにパタパタさせながら、動画撮影モードのスマートフォンに

「にゃんにゃ……ん」

 と、

 アホなことを言っています。


 ゆとり部の備品。

 そこそこ高価な27インチのパソコン画面には、

『ハーフの小学生♀がエッチなニコ生に初チャレンジ』

 という

『ニコニコ生放送』が映っていました。


「オリミーさんww コメの勢いすごいですよwww うはw テラワロスwww」

「くっ屈辱ですわ……未来を担う天才退魔師のわたくしがアホなことを……」

「これも除霊のためwww 恥じらいのためですよwww おっぱい見せろとか、あそこを見せろとか、ニコ厨がリクエストしてますよw どうしますwww」

「ダメに決まってますわっ! 法律的な意味でもわたくしの貞操的な意味でも!」

「うえwwwうぇww 大丈夫ですよwww オリミーさんは合法ロリですしw 次はコレ行きましょうwww 『ブラ見せて』ww ブラなら大丈夫でしょwww」

「だっ駄目ですわっ! ブラなんて見せられませんのっ!」

「もう安価に返信しちゃいましたwww ブラなら大丈夫ってwww 仕方ないですよwww オリミーさんを恥じらわせるためにはwww かなり恥じらってますしwww これは効果抜群ですよwww」

「なぜこんなことに……どちらにせよ、わたくしのブラチラは不可能でしてよ……」

「大丈夫ですよw 前かがみになって制服をグイッとするだけですからwww」

「それをしたら見えてはいけないものが見えますの……そのですね、今日はブラ着けずに登校してまして」

「ぷげらwwwって、はい? オリミーさん、ブラジャーを着けないで登校?」

「そうですの……着けても意味がないって、笑わないでくださるっ! 沢木さんも! 春日さんも! わたくしを!」

「わっ、笑ってませんよ」   ぷっくく

「笑いこらえていますし、しっかり↑で笑ってますし、うぅぅ……羞恥心を共有する妖怪ささやきが苦しんでるのを感じますが、わたくしのダメージも甚大ですの……」


 端正な顔を、真っ赤に染めて。

 小さな退魔師オリミーは、プルプル震えて、ダラダラ涙を流します。

 サワキーは、ハイでおかしなテンションでキーボードを叩きまくります。


 なんか、すごく居心地がいい部活です。


 あたしは、自分の本性が濃ゆいことを自覚していて。

 これまで、本性を隠して生きてきたわけで。

 あたしより、濃ゆいメンバーに囲まれて。

 あたしの趣味を批判しないメンバーと。

 本性を隠さず、むき出しのままダラダラ過ごすのは。


 じつは、初めての経験でして、

 ――楽しい

 と、思ってしまうのも、まあ無理ないかと思うわけで、


「オリミーさんは子供ですからねwww ブラなんていらないですよねwww てら貧乳ぷげら大平原バロスwww わたしがブラなしで登校したら大変なのにwww あ、わたし巨乳ですからwww でも貧乳のオリミーさんは無問題www」

「ドギャラァスッ! 沢木さんのデカイ乳ィ、今すぐもぎ取ってくれますわァァ!」

「あっっ!? わっわたしの胸を握りしめてっ、んんっ、そこぉ!」

「なんて大きさですの! なにが詰まってますの! この乳袋の中身はなんですの! 夢と希望でも詰まってやがりますのっ!」


「春日さん、わたしニコニコ動画の使い方は分からないから」

「はい、とりあえず生放送は終わらせますね。えーと、ブラチラで盛り上がってますね。ここは奇襲でブラクラを流すのも面白いのですが……ちょうど足元にブラ丸出しで寝てる変態がいますから、カメラを向けて撮影して――釣りでしたwと……書き込み……はい終わりです。これで生放送は流れると思います。あっ、すごい勢いで生主氏ねコメントが書き込まれてますね。ったく。平日の昼間から小学生みたいな女の子に欲望をむき出しにして。この国の男どもは」

「ぁんっ、胸をそんな強く……やっやめて下さい! オリミーさんが恥じらわないといけないのに、わっわたしを恥じらわせてどうするんですかっ!」

「ぐぬぬ……あとちょっとだけ恥じらえば……ですが、あと一歩だけ足りませんの」


「うむぅ……俺はなにを?」

「ゆとりくん♪ グッモーニング~☆」

「ぐっ……関節が痛むが、まだ続いてるようだな」

「うんっ♪ オリミーちゃんの除霊は続行中よぉ~☆」

「ククク、ならば」


「そ、そもそもです! わたしはオリミーさんが取り憑かれた妖怪って、どんな妖怪なのかすらよく知らないんですよっ!」

「当然ですの! わたくしに都合が悪いからあえて言わなか――わたくしの秘密をペラペラ喋る妖怪ですの! ……ですの」

「秘密をペラペラ喋る? ニヤリ。いいことを聞いちゃいました(邪悪笑)」

「くっ、もうプライドも何も捨てますわっ! どうかお手柔らかに、今のわたくしは、自分の意思とは無関係に秘密をベラベラと喋ってしまう――」


 「湯取卓が織原エミリーに質問する! 織原は週に何回オ●ニーするか答えよ!」

 「40回から60回ですわっ!」


 タイム・ストップ。

 魔法をかけられたみたいに、部室の時間が止まりました。 


「今朝みたいにオリモノが多い日であろうと、最低5回は毎日欠かさず……」

「ふむ。織原は毎日五回以上していて、多めの体質なのか」


 ――ロリ少女が突然のオ●ニー告白

 ――それも毎日5回以上

 ――なんて声をかけたらいいか分からない

 ――どう反応したらいいか分からない

 ――だけど

 ――それは

 ――すごく

 ――手遅れみたいで


「南無なのです」


 織原さん、ドンマイなのです。

 えっ? あたしですか? ヤですねぇー。

 女の子が、オ●ニーなんてするわけないじゃないですか(棒)


「…………ガフッ!?」


 バタッ、

 オリミーが吐血してぶっ倒れました。


「きゃっ、きゃぁぁ!? オッオリミーさんの羞恥心が、げっ限界を超えてっっ!?」

「恥死量を超えたのです」

「だれがうまいことをryじゃなくてっ! オリミーさんが、鼻の穴と耳の穴と目の隙間と……ひゃんっ! いろんな穴から出血して、しっ白目で泡を吹いてっ!?」

「勝った。だが俺は殺されるだろう。しかし我が人生に悔いはなぎゅぇぇっ!? 曲がらないがらぁぁ! そこ関節ないとこだぎゃらだべヶぇぇぇ!」

「うわぁ、ゆとり先輩の関節が複雑怪奇な方向に曲がってますね。キモっ」

「ミクちゃーん☆ オリミーちゃん死んじゃうかなぁ~♪ ゆとり君コロコロされちゃうかなぁ~☆ そしたらわたしが死体を、てへへー♪ お持ち帰りぃしてぇ~☆」

「あはは……」

 

  ――翌日、放課後――


「ゆとり部に入部届を出しました、春日ミクと申します。若輩者ですが、皆さんよろしくお願いします」

「かっ、歓迎します! ツイッターのフォローを……」

「昨日は醜態を見せてしまい、お詫び申し上げますわ」

「えへへぇー☆ ミクちゃんが入部してくれてぇ~♪ わたしとってもうれしぃなぁ~☆」

「ようこそゆとり部へ。騒がしいところだけど、あなたの入部を歓迎するわ」

「皆さん、ありがとうございます……おや?」


 ゆとり部の部室で、あたしは深々と一礼してから気づきます。

 そういえば。

 ゆとり先輩って、あの後どうなったんでしたっけ?

 まあ、あんなゴミクズさんの関節やお骨が、二本折れようが二兆本折れようが、あたしはまったく興味ないですけど。


 あたしが興味を持つのは、これからゆとり部で過ごす、楽しそうな日々です。

 素顔の自分をあらわにして、愉快仲間と楽しい放課後のひととき。

 欲しくても手に入らなかったモノが、きっとここにあると。


 イマイチ萌えないツインテールで、個人評価ではカワイくても、他人の評価だと微妙な顔で、学力は平凡で、運動も平凡で、特に聖域もないですし基本的に雑食かつ乙女フィルター実装のBバナひとつでヲトメ電波をビンビンに受信しちゃう健全から裏アリの薔薇まで萌え燃えできるよろず趣味で特にRPSモノならおかずなしで白米3杯はイケる腐的で腐レディーな腐女子のあたしこと、春日美空かすが みくは。


 まだ分からない何かを求めて、ゆとり部に入部したわけです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る