本編

第01話 はじまりは持ち物検査


 あたしこと春日美空かすが みくが、サンタクロースをいつまで信じていたかなんてことは、物語の冒頭にピッタリなどうでもいい話なわけですが、サンタクロースとトナカイで受け攻めを妄想してしまうのは、腐った乙女の本能でありまして、それでもあたしがサンタクロースというジジイの存在をいつまで信じていたかというと、これは確信を持って言えますが、最初から信じてなどいませんでした。


 幼稚園に通っていたイタイケなあたしの枕元に、幽遊黒書のホモ同人誌を置くサンタクロースが、この世に存在するわけないですし、年長組のクリスマス深夜に、ジョニーズジュニアのナマモノ同人誌を枕元に放置して、翌日感想を聞いてくる母親がいるわけ……あるのですが、まぁとにかく。


 清く貴く腐敗した、母親サンタ=サンの影響で。

 あたしこと、春日美空は、


    腐女子 で す け ど な に か ?


 赤子の頃から汚腐コースな腐女子ロードを爆走してますが、なにか問題あるでしょうか? イタく腐った子宮に産み落とされ、腐海を揺蕩たゆたうゆりかごで育てられ、言葉を覚える前に男の喘ぎを覚え、一緒にオフロに入った父親にやおい穴を見せてとせがみ、足し算を理解する前に×かけざんの意味を覚えた、小学校の入学式で校長と教頭で脳内カップリングを想像してニヤける、完全にカタギを捨てた人生を腐って参りました。


 だけど、この趣味は身内以外の誰にも話しておりません。

 あたしがまだ幼稚園の頃、母が諭すように語ってくれたのです。


 イメージ的には、ラピュタのワンシーン。

 小さなシータが正体不明のババアに、秘密の言葉を教えてもらうシーンな感じで、


母親「ミクにいいことを教えてあげる。腐女子が覚えるべき格言を」

ミク「かくげん?」

母親「そう。全ての腐女子が胸に刻むべき秘密の言葉よ」

ミク「わくわく」

母親「ちゃんと覚えるのよ――セケンノメ・イタイヤツラ・キモイシュウダン」

ミク「えっ? えっ?」

母親「周囲に腐臭を漏らさないこと、カタギの理解は得られないこと、自分達は隠れ腐女シタンで御奉行様にバレたら転ぶことを強制されるばかりか差別と蔑みと哀れみの入り混じった迫害の日々が待っていること」

ミク「差別? 迫害?」

母親「ミク、この世界は腐ってるだけで差別されるの。士農工商ロリ腐女子。お母さんや美空は、あらゆる趣味の中で最下層に位置する腐法投棄されたホモ豚なの。世間の厳しさを甘く見ないほうがいいの。だから隠しなさいっ! 絶対バレないようにっ! 趣味は隠して生きるのっ! これが腐女子が幸せな人生を送るコツよ!」


 ……セケンノメ……

 ……イタイヤツラ……

 ……キモイシュウダン……


 母に教えて貰っちょうきょうされた「BLボーイズラブ」はあたしの人生を腐った方向に歪めましたが、母が教育してたたきこんでくれた「腐女子の十戒」はあたしの人生をよい方向に曲げてくれたと想います。


 BL《ボーイズラブ》は異質な性癖です。

 カタギの理解を得られない、腐った乙女の健全趣味なのです。


 平凡な女子高生のあたしもBLに染まった腐女子の1人で、特に聖域もなくて基本的に雑食かつ乙女フィルター実装のBバナひとつでヲトメ電波をビンビンに受信しちゃう健全から裏アリの薔薇まで萌え燃えできるよろず趣味で特にRPSモノならおかずなしで白米3杯イケる腐敵な腐レディの春日美空かすが みくです――と、専門用語バリバリで演説すると、一般人に「( ゚д゚)ポカーン」とされてしまうのが腐女子なのです。


 もちろん建前や人間関係と無縁で、仲間と本音で語り合ったり、楽しくワイワイ何も気にせず好きなことを言い合えるような場所に憧れるのですが、そんな理想の場所があるわけなくて。


 だから、つまりですね、


「ただの生徒は問題ないザマス。学業に関係ないもの、法律に反するもの、公序良俗に反するものを持ち込んだ生徒は覚悟するザマス。さぁ、はじめるザマスよ」


 ……

 …………死ねよババア。

 ……


 春日ハルヒじゃなくて春日かすがなあたしは、帰りのホームルームで持ち物検査を始めやがった担任の干物ババアに悪態が止まりません。


 なんでもトイレでタバコを吸っているのがバレたチンパン野郎がおりまして、そいつが停学処分を受けて図書室で作文用紙五枚の反省文を書かされる日々には興味がないのですが、その巻き添えで臨時の持ち物検査をやられるのは非常に困ってしまうわけでして。


「さぁ皆さん、カバンの中身を机の上に並べるザマスよ」


 ……

 …………出せるわけありません。

 ……


 だって、

 スクールバックには、

 あたしの書いた「同人誌」が入っていまして、


 はい。

 ホモでBLな同人誌です。


 それも、ネットで知り合った絵師に美麗な表紙を書いてもらい、


 ええ。

 男が全裸で男の乳首をまさぐってるイラストです。


 言い訳? たぶんムリですよ。

 なにせこの同人誌、作者のペンネームが、


 ――カスなミク――


 で、ありまして……ほら、PNは本名をもじりたいものですし、

 もしかしたら、このペンネームで商業デビューする可能性もあるわけで……


 表紙とペンネだけではなくて、同人誌のタイトルも終わっています。

「クラスの男子の研究レポート」

 いわゆる、ナマモノBLというやつですね。


 ナマモノBLとは、生物を題材にしたBLです。

 この世に実在する、三次元の人物をネタにした二次創作のことです。

 ナマの男性諸君をオカズに、ボーイズラブな妄想ドリームを描いた作品のことです。


 今宵オカズにされたのは、クラスに実在する男子たち。

 クラスの男子の妄想カップリングを、同人誌にまとめて発表した本なわけで。


 表紙をめくれば、まずは目次。

 目次に並んだ項目は、妄想の餌食になった男子生徒の名前一覧で。


 ……

 …………\(^o^)/


(どうしましょう……)


 あたしが、ツインテールの頭を抱えている脇では、


「うげぇっ! DSって大丈夫か?」

「リップやエクステは、さすがにセーフだよね?」


 ゲーム機とかリップとか、あなた方は気楽でうらやましいです。

 あたしは「自作のナマモノBL同人誌」で、バレたら終わる瀬戸際にいるのに。


(かみさま勘弁して下さい……ナムアミアーメン)


 あたしは信じてもいない神様にお祈りしますが、悪魔×神様の罰当たりなSSを書いたことがあるのを思い出して途中で止めました。


 しかし神よ……これがあなたの選択なのですかっ!?

 あたしの書いたナマモノBL同人誌を、クラスメイト全員の前で晒すっ!

 このような仕打ちを、あなたはなぜっ!

 あたしの書いたネット小説で、悪魔に堕とされ、天使に輪姦まわされ、人間に快楽調教された恨みですかっ!

 やっぱりアレは太すぎた……とか、プレイ内容はひとまず置いといて。

 コレって、どんな羞恥プレイでしょうか?


 クラスメイト全員の前で、腐った趣味の強制カミングアウト。

 しかも、自分で書いた同人誌まで公開。

 オマケに、ペンネームは「カスなミク」で、表紙は「男の乳首丸出しヌード」。

 同人誌の題材は、クラスの男子の妄想カップリングで。


 助けて、助けて、タスけけry


(バレたら……終わります)


 鼓動が高まり、指が震えて、脇からアセアセ、さぁ~と血の気が失せていきます。


 どうしましょう……


 年上先輩にしちゃった中林君。

 メガネにぶっかけられた黒渕君。

 イケナイ♂イケイケ=イケメン教師の内藤先生は男に輪姦され……


 あ、これバレたら終わりますね。

 あたしの人間関係とか、内藤先生が担当する物理の成績とか。


 とにかく状況打破のため、バックの中身を脳内整理します。


 教科書四冊、ノート三冊、空っぽのお弁当箱と携帯も入っていますし、岩波書店のカバーをかぶせた「腐典 ~BL用語辞典~」も入っていて、状況マシマシ悪化マシマシ誰か助けてヘルプミー。


 持ち物検査は始まってるので、アポカリプスなあたしの番は近づいてきます……


 マインファーター マインファーター

 ウントヘーレスト ドゥーニヒト


 お父さん、お父さん、聞こえないの?

 ひたひたと、あたしの登校拒否フラグが近づいているのが……


「長沢くんは、なにか色々と……んまぁ!? 漫画なんて持ち込んでいるザマス! それも表紙がパンツ丸出しの女の子で、タイトルが『五年二組のハメたがりな推理小学生』とは、破廉恥極まりないザマス!」


 担任のザマスが荒ぶっています。

 これって、ある種の公開処刑ですよね?

 教室の中心で持ち物をさらして、大声ではずかしい漫画のタイトルを叫んで、堂々とクラスメイト全員の前で……同じ事をバックの中の同人誌でやられたら、あたしは平気で人を殺したり、平気で屋上から飛び降りたりできる人類に進化できそうです。


 あー、今すぐ隕石とか落ちてきませんかね?

 祈っちゃいますよ。

 いあいあ、メテオ。でっかいの今すぐに。


「先生、違うんです! それは漫画ではなくライトノベル、文学なんですっ!」

「これが文学ザマスか?」

「はい。ライトノベルは主に若者を対象読者に書かれた新しい文学で」

「くだらないザマス。漫画でないのは認めるザマスが、この挿絵はなんザマス!」

「……女子小学生の全裸調理実習……です」

「これが文学ザマスと? 女子小学生が全裸でかきぞめ、女子小学生が全裸で騎馬戦、女子小学生が全裸で推理、なんていかがわしいザマスか! 恥を知るザマス! なにが女子小学生が書道の時間に筆おろしザマス! このような小説や漫画はこの世に存在すること自体が間違いなのザマス! 犯罪者予備軍によって作られ、犯罪者予備軍が買い、犯罪者予備軍を育成する悪書ザマス! こんな教育上よろしくない小説は没収して、御両親にもこの件は連絡させて頂くザマス!」

「そっそんな……」


 教室が、ざわめきました。


 女子の「うわぁ」という声に混じって、

 男子生徒の漏らす「ヒデぇ……」という哀れみが……


 想像するだけで、恐ろしいのです。

 自宅に担任から連絡が来て、両親に告げられる内容が

「おたくのお子さんが、女子小学生の全裸騎馬戦(以下略)」

 なのですから。


 こんな光景を想像すれば、ロリ小説を没収された長沢くんを同情したくなる仲間は多いというわけで、かく言うあたしも、士農工商ロリ腐女子なカースト制度で同じく差別を受けるロリコンには、ある種のシンパシーを感じているわけで。


 そこに、あたしは活路を見いだしました。


 ――ラストチャンス。


 ここで選択肢をミスれば、コンテニューのないバッドなリアルが待っています


 好奇の視線、裏で嘲笑される屈辱の日々。

 ヘンな性癖の珍獣扱いされる、ネットでよく見る典型的な腐女子の未来。


 そんな高校生活を、あたしは送りたくありませんっ!

 だから、


 Rotten Girl 腐ったガール、腐女子がバレたら人生が終わるっ!

 Rotten Girl Don't Give Up、あきらめたくない、腐ってイタいっ!

 Rotten Girl Go for broke、当たって砕けろ、腐ラグをへし折れっ!


 そうだ、ネバーギブアップ!

 崖っぷちありがとう! まだ諦めませんっ!

 人生ピンチな、今だからこそ!

 ダメダメダメダメッ! あきらめちゃっ!(トゥルル~!)


 あたしは、小声で同志ロリコンに囁くのです。


「藤木くん。しかと目を見開いて網膜に焼き付けるのです」

「春日? なにを?」

「あなたが見捨てた、同志の処刑風景を見るのです」

「――っっ!?」

「藤木くんもロリコンですよね? バレバレですよ? 何を隠そうあの本は藤木くんが長沢くんに貸した本ですよね?」

「…………」

「長沢くんは庇ってくれています。ロリ小説の持ち主である藤木くんのことを。卑怯な藤木くんを。黙っているのですか? このままザマスに処刑される同志を。日陰者として共に過ごした同志を。立ち上がるのは今しかありませんよ?」

「ありがとう。春日のおかげで目が覚めたよ。いってくる」

「武運長久を祈ります」


 ガタン、と。


 ザマスのロリ批判がハウリングする教室に、イスが引かれる乱暴な音が響きます。


 クラスの視線は、1点に集まります。

 1人の勇者の元に、1人のバカの元に、藤木くんの元に。


 勇者ロリコンは叫びます。

 公共の場では、決して叫んではいけない禁呪を。

 ――ロリが好きだ、

 と。


「先生、白状します。その本は、ぼくの物ですっ!」

「なんザマスと!?」

「やめるんだ、藤木くんィィィィ!」

「ロリコンはボクだけで十分だ! 家族から蔑まれた目で見られるのは、理解のない世間から犯罪者扱いされるのは……ぼくだけでいいッ!」

「藤木くん……キミは大バカ野郎だっ!」

「これは、藤木君の物ザマスか?」

「はい。ハメ小はボクが買いました。素晴らしい作品だったので、長沢くんに布教すべくレンタルしました。学校内で勉学と無関係な行為を謝罪しますっ!」

「いい謝罪ザマス。よろしい。長沢くんの両親への連絡は撤回するザマス。代わりに」

「覚悟のうえです!」

「……教師として忠告するザマス。ロリコンは犯罪者予備軍であり、反教育的な汚らわしい趣味ザマス。ですが先ほどの謝罪に免じて慈悲を与えるザマス。この場でハメ小を破る。それで見なかったことにするザマス」

「できませんっ!」

「愚かザマス。世間のロリコン差別はどんどん強まっていくザマス。それが社会の潮流であり、ロリコンに人権がなくなるのも遠くない時代。藤木くんはいつまでロリコンを貫くつもりザマスか?」


「無論、死ぬまで――」


「見事ザマス。今夜の家族会議、覚悟しておくザマス」

「ふざけるな……ッ、ロリコンの藤木くんを犯罪者と同格に扱うだとっ!」

「長沢くん! キミまで鉄風雷火に飛び込む必要はない!」

「不当なロリ差別を放っておけるか同志っ! 屈してたまるかっ! 認めてたまるかっ! ロリコンは……健全な性癖なんだっ!」

「ほぉ、健全ザマスか」

「その通りだ干物ババアッ! ぼくは一人のロリコンとして、世間の間違いを正す一陣の風となるべくこの身を捧げよう! いわゆるロリコンという言葉が卑劣な差別用語であるのは自明の理であり、ロリコンが異常者という認識はなんの根拠もないデタラメである! 男が若い女を好むのは古来よりY染色体に刻み込まれた本能であるのに、それを愚かなフェミニストどもは、若い女への嫉妬と自尊心を満たすべく、ぼくたち正常な男子に変質者のレッテルを貼り、蔑み、嘲り、そして迫害してきた! これはナチスドイツのホロコーストにも匹敵する人類史に刻まれた犯罪行為である! この不当な差別の時代、ぼくたちは「イエス・ロリーター ノータッチ」を標語にモラルの向上を図ってきた。水と油のように反発し合うのは分かっていた。だけど、いつか分かり合える時が来るはずと。しかし対話は長く続かなかった……東京都の条例に端を発した、ロリコン文化規制の始まりである。はじめは近親や陵辱が対象であった。次にロリと学園物が規制され。気づけば――少女を匂わせるキャラのエロいシーンがある作品全てが発禁対象となりつつある。いくらぼくたちが「このゲームに登場する人物は全員18歳以上です」や「作中の『ちいさい』という表現はキャラクターの身体的特徴を示すものであり年齢を表すものと異なります」や「4年生のヒロインが通う学校「いちはらしょー」は「市原商科大学」という架空の大学を示すものであり」など、文句のつけようのない完璧アルティメットな正論を声高に叫んでも無駄であった。ぼくたちの声は黙殺され、いくつかの聖典を失った。残る聖典もロリコン規制という焚書に弾圧されようとしている。ぼくたちは厳しい時代を耐え忍んでいた。奥様から異端視され、マスコミに批判され、社会から蔑まれ、女には見下され、メーカーに搾取され、それでも信仰を捨てなかった同志たちを、ぼくは一人のロリコンとして誇りに思う。だが、ぼくたちは立ち上がざるをえない。もはや声を押し殺して耐え忍び、いつか訪れる和解を待つことはできない。ぼくたちには、もう後退すべき場所がないのだ! ロリコン差別がこれまで以上に強まれば、ぼくたちの愛したロリコン文化は滅び、同志たちには社会的な死が訪れる! ロリコンは病気ではなく本能だ! たとえ禁止されても我慢ができるわけがない! 社会のロリ差別の先にあるのは、ただの変態から犯罪者にスキルアップした同胞の姿だ! ぼくたちは若い女が好きなだけで異常者ではないのに! それでもロリが好きなだけで罪となる! ナチスドイツではユダヤ人であることが罪であったのと同じく、未来の日本ではロリコンであることが罪とみなされるのだ! これが差別でないなら、なにが差別なのか教えてくれ! どうせ納得のいく答えはでないであろう! 若い女への嫉妬に狂ったババア共が、汚い鼻水を噴出しながら理不尽なロリ批判を行うだけだ! そう、ぼくたちは差別され続けてきた! ロリコンという変質者の称号を授けられ、異常者の烙印を押され続けてきた! 小学5年生の女が好きで何が悪いっ! 若いおなごに興奮することが罪であるのかっ! 答えは否であるっ! 断じて否であるっ! ぼくたち男子が少女に惹かれて興奮するのは遺伝子に刻まれた本能によるものであり、夜の街灯に惹かれて集う羽虫の本能と同じく理性では押さえがたき渇望である! ぼくたちはアウストラロピテクスだった頃から、延々とY染色体に刻まれた欲情に従って少女を愛してきたのだっ! それを今になって病気と否定され、犯罪者予備軍のレッテルを貼らる! そのような仕打ちに耐え忍べだとっ! ふざけるな! ぼくたちはメス共の横暴には屈しない! 社会に進出して調子に乗った羊水が腐ったクソ女どもの嫉妬などに、ぼくたちは断じて屈してはならぬ! 対話になら応じよう! 実在する少女を性犯罪から守るためには妥協もしよう! ロリコン犯罪者の断罪は喜んで受け入れよう! だが、ロリ漫画・エロゲー・漫画雑誌のエロ連載・創作におけるブルマやスクール水着の規制は許さん! 次に規制されるのは何であろうが、それはぼくらの信仰がひとつ消えることに他ならない! 「はじめてのおるすばん」が規制されれば「はじめてのおいしゃさん」が危ない! 「はじめてのおいしゃさん」が規制されれば「LO」が危ない! 「LO」が落ちれば「小学星のプリンセス☆(※外見年齢が12歳程度までしか成長しない宇宙人の幼なじみとの純愛を描いた作品 著者:餅月望、スーパーダッシュ文庫)」が危ない! 「小学星のプリンセス☆」が倒れれば「五年二組の吸血鬼(※女子小学生の全裸騎馬戦や女子小学生の野外集団放尿(←挿絵あり!?)など、絶対に世に広めてはいけない全年齢向けのライトノベル 著者:糸緒 思惟、一迅社文庫)」が危ない! 「五年二組の吸血鬼」が死ねば「この素晴らしく不幸で幸せな世界と僕と!(※表紙に『このすば』と書かれているがスニーカー文庫ではなく、第1回講談社ラノベ文庫新人賞で佳作を受賞した、まことにもってけしからん作品)」にまで魔手が伸びる! これらはいずれもぼくたちが愛した聖典である! これら全てが近い将来に発禁という名の焚書に灼かれることになる! ノーベル文学賞を受賞した川端康成の「伊豆の踊子」で性的対象として描かれたヒロインの名前は「薫」であり、その年齢はわずか十四歳であった! 同じ十四歳のエロい全裸シーンがある文学作品なのに、なぜ現代のロリ描写だけが規制される! 理不尽だ! 理不尽である! 理不尽で理解不能である! ブルマ、スパッツ、スクール水着! ランドセル、リコーダ、よたよたと運ぶ朝顔の植木鉢っ! ぼくはそれらが大好きだ! ロリコンだから! 小学生の女の子に性的な興奮を覚えるから! だけど、ぼくが三次元の女の子に手を出すことはないっ! 現実世界の幼女は愛でるものであり、決して性暴力の犠牲者にしてはならぬのだ! ぼくたちの心を揺さぶる性衝動は創作の幼女だけで十分晴らせる! 創作こそがぼくたちに残された最後のユートピア! いびつに歪んだ現代社会のディストーションに残された、最後のフロンティアなのだっ! ゆえにそれを破壊することだけは許さん! ぼくはしばしのちに社会から抹殺されるであろうっ! だけど、決して後悔はしない! 選ばれしロリコン精兵として社会的に戦死できることを光栄に思う! 同志よ、先に逝くぞ! キミは生きろ、ぼくという愚者ロリコンの屍を踏み越えて! いつの日か訪れる、全てのロリコンが笑ってロリ雑誌を買える世界が来るその時まで! 幼女の魅力を我らが手に、ジーク・ロリーター!」


  ジーク・ロリーター。


 長沢くんの熱い演説(2,742文字)に、一同は息を呑んで耳を傾けます。

 映画のワンシーンを見るような、非現実的でフワフワした高揚感に包まれながら。


 ……クククッ、

 ……それこそがあたしの狙い

 ……活路は開かれました。


 教室の視線が、長沢くんに集まったのを確認してから。

 あたしは最大の危険物「クラスの男子の研究レポート」を、隣の席に座るクラスメイトのカバンに投げ込みます。


 カバンの持ち主は沢木明日香さわき あすかさん。


 清楚な容姿に大きなおっぱいのエロい身体と、これでモテなきゃ学園七不思議な美少女ですけど、性格が壊滅的に根暗で、話しかければおろおろキョドるし、顔を見れば目線をそらすし、独り言マックスでなんか危険な空気がプンプンですし、入学式の後の自己紹介で飲んでるお薬の解説を始めやがってクラスをドン引きさせて気づけば孤立してお昼休みはいつもどこかに消える友だち一人いないクラスメイトだったりして、それゆえ都合が良いのです。


 沢木さんは持ち物検査が終了しているので、彼女のカバンに危険物を投げ込めばひとまず危機は去ります。そして友達がいないということは、たとえバレても被害が最小で済む可能性が高いというわけで。


 あたしはミッションを終えて胸をなでおろします……やり遂げました。


「長沢くん、見事な演説だったザマスね」

「フッ、死刑囚が執行直前に饒舌になるようなものさ」

「聴講料の代わり、黙って受け取るザマス」

「これはハメ小……なぜです? なぜ一度没収したものを?」

「あなたの目を見て確信をしたザマス。こんな綺麗な目をした生徒が、犯罪者予備軍のハズないザマスと」

「先生……ありがとうございますっ」

「汚らわしいものはカバンにしまうザマス。あと藤木くん」

「はい」

「いい友を持ったザマスね」

「あざっすっっ!」


 ……需要皆無なのに、ちょっといい話になっているのは置いといて。


 あたしのカバンには、まだ「腐典」という危険物があります。

 これは、もう一度仕掛ける必要がありそうです。


 あたしが脳内プロセッサーを、最大腐ロップスで、腐ル稼働して、歪みねぇ打開策をホイホイ検討していると、教室ではザマスによる公開処刑が継続していました。


「次は磯野くんザマス。先ほどから気になっていたザマスが、裸にエプロンだけのお人形、これはなんザマスか?」

白雪初奈しらゆき はつなのフィギュア、Ver裸エプロンメイドです……」


 あぁ……こいつはお気の毒なのです。

 クラスのみんなの視線は、水で濡れてスケスケの裸エプロンにメイドのカチューシャをつけた美少女フィギュアに集中しています。


 さすがに男子もヒいています。もちろん女子はドン引き。

 これは不当な差別を受けるロリコンと違って、クラスにも味方が少なそうです。


「まるで男の欲望が形になったかのような人形ザマスね。これを学校に持ち込んだ正当な理由はあるザマスか?」

初奈はつにゃんと一緒に居たかったんです……はつにゃんは俺の嫁なので」


 消え入りそうな小さな声、だけど自分に嘘はつけない、愛は偽れない、はつにゃんをモノ扱いできない、羞恥に負けない断固たる意志を感じる声で。


 断頭台クラスのちゅうしんで愛を叫んだ磯野くんに「かっ漢だ……」「うわぁ」「敬礼ッッ」という声が湧き上がりますが、あたしが注目するのは「ったく、あの性的錯誤者は……」という、若干の呆れを含んだ女の子の声。


 そう、ツンデレ台詞は好意の伏線です。

 あんたなんて大嫌い、近寄らないでゴミ虫、このスケベ死んじゃえ、ばぁ~か!。

 どれも、女の子が男の子に惚れてる際に発せられる言葉です。


 だからこそ、あたしは察したのです。


 ――このアマ

 ――磯野に惚れてやがる


 と。


「このお人形が磯野くんの嫁ザマスか?」

「ええ。はつにゃんは俺の嫁なんです。はつにゃんは俺が求める全てを備えているんです。ロリな見た目に大きなおっぱい、お兄ちゃん想いの一途な性格、拗ねた顔もかわいくて、怒った顔はキュートでチャーミング! 恥らう顔など銀河の至宝! 口調は丁寧語で抱きしめたくなる! 家事万能という嫁スキルの高さもサイコー! もちろん学業も優秀! でもドジっ娘だから! 転んでパンツが見えたりっ! コップの水をこぼして服が透けたり! お風呂でお兄ちゃんと、ウォォォォ!!」

「よ、よく分かったザマス……磯野くんが治療不可能なことが」

「知ってますよ」

「開き直らないで欲しいザマス! これは没収して両親に返却するザマス!」

「やめろ……いや、やめて下さい。親に伝えるのは構いません。とっくに見捨てられているんで……でも、はつにゃんの没収だけはっ!」


 視線を集めるのはゴルゴダの丘

 英雄はひとり孤高に戦います

 ただの一人の理解者もなく

 誰ひとりの同意すらなく

 誰ひとりの共感もなく

 誰ひとりの声援なく

 決して許されざる

 無限の愛を叫び

 英雄は膝折り

 むせび泣き

 瞳の涙は

 床へと

 ポツ

 リ


 な光景が繰り広げられてるのは、ガン無視で。


 あたしはノートの切れ端にメモ書きをして、女の子らしく複雑に折り畳みます。

 それを、近くの人に「花沢さんへ」と、一言添えて手渡すのです。


 これで教室の手渡しネットを通して、あたしのメッセージが伝わるでしょう。

 クラス全員の注目を集める、どデカイ打ち上げ花火の作戦計画書が。


「この悪魔め! 貴様それでも人間か! 貴様の血は何色だ!」

「人間ザマス。赤色ザマス。これを機にマトモな恋愛感情を取り戻すザマス」

「マトモな恋愛だと? はんっ! 俺に出来るわけないだろ! 俺は二次元が好きなんだ! 俺は三次元を捨てたんだ! そう、三次元の彼女を諦め、三次元の恋愛には手が届かないと自覚し、三次元の恋は眩しすぎると目を背けた! だからこそ俺は二次元へ逃げた! 俺は二次元に生まれればよかった! 平面の存在であればよかった! 0と1で構成されていれば良かった! だが不幸にも俺は原子と細胞で構築された三次元の世界に産まれ落」


「このクソ馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!!!」


 ――どゲシッ!


 とつぜん助走マックスで放たれた花沢さんのドロップキックが、歪んだ性癖を暴露した磯野くんを吹き飛ばします。


 なにが起きたのでしょうか?

 くふふ。

 もちろん、あたしの仕組んだ「チャンス」が起きたのです。


 ドロップキックを決めたのは、磯野くんに好意を持っていると見抜いて極秘の作戦計画書を送った花沢さんです。


 花沢さんは、ビシっと人差し指を性的錯誤者に突きつけて、高らか威風堂々。

 ちょっぴり赤面しながら、声を荒げて言うのです。


「あたしが黙って聞いてれば、あんたはイカ臭くて恥ずかしくて終わりきったことをベラベラと……いい加減にしなさい! あんたとは小学校からの仲だけど、今回ばかりは我慢ならないっ! 美少女フィギュアが俺の嫁っ? ンなの認められるわけ無いでしょうが、たわけ! はつにゃんが俺の嫁? キモいことを偉そうに宣言すんなっ、こんのぉ免許皆伝のうつけもの! ロリな見た目に大きなおっぱい?  ほぉほぉ、それはつまり貧乳のあたしへの当て付……バカ! アホ! ゴミクズ! ダメ人間! ヘンタイ! マヌケ! サイテイ! ボンクラ! スカポンタン! アンポンタン! ゴクツブシ! ろくでなし! なにが三次元を捨てた? なにが三次元を諦めた? なにが三次元に手が届かない? 誰が決めたの? あんたが決めたの? もちろんそうよねってか、あんたは三次元から逃げてるだけでしょ! 馬鹿なの? 死ぬの? この場で死ぬの?」

「ごふっ………くっ、相変わらずの凶暴女、いい蹴りしてやがるぜ」

「よし殺す。コイツを」

「やめろ! 殺すなら俺にしてくれ……だから、その人形おんなだけは」

「ニコニコッ」

「ありが」「ふぉアタァァッッッ!」


 おおきく振りかぶって。

 バキーン、と床に叩きつけられた人形はつにゃんは。


 四肢が吹き飛び、

 首がちょん切れ、

 全身複雑骨折、

 ボッキリ折れてしまい。


 ダスト・トゥ・ダスト、塵は塵に、美少女フィギュアは残骸に。

 たかが2.5次元にすぎない美少女フィギュアは、潔くゴミに成り果てろ!


 というわけで。


 人形マニアの磯野くんは、たっぷり3秒ほどフリーズしてから。

 ムンクみたいな顔で、Noooo!!と絶叫するのです。


「はつにゃぁぁぁぁぁぁ――むぐっ!」


 磯野ムンクの叫びは。


 なにか柔らかいものを押し付けたような、

 ――ぶちゅっ――という音で中断させられてしまい。

 タイム・ストップ。

 魔法をかけられたみたいに、クラスの時間が停止しました。


 ――重なる2人の唇、

 ――磯野くんの唇を塞いだ、花沢さんの唇。

 ――突然のキス。


 ムンクの叫びを止めたのは、幼馴染の接吻でした。


 突然のキスは、まるでドラマか映画のワンシーンみたいで。

 クラスのみんなは呼吸すら忘れて、二人の世界をぼーぜんと眺めます。


 接吻の魔法は時間と共に溶けて、ふたつの唇は唾液の糸を引いて離れました。


「どっ……どうよ! 二次元じゃ味わえない三次元の感触は!」

「……サイコーでした」

「こ、これからも! 三次元の良さをたっぷり教育してあげるんだからねッ!」


 わぁーと、クラスが噴火しました。

 まるで教室が爆発したかのような、野郎の雄叫びとガールの声援。

 スタンディングな拍手の火砕流。

 口から出るのは、妬みと称賛のやっかみ。


 おめでとう。

 告白おめでとう。

 カップル成立おめでとう。

 これからも幸せに。

 最高だったぜ、コンチクショウ!


 みんなが二人を祝福する中、ザマスも目元をハンカチで拭っていて。


 ――ササッ。


 沢木さんのカバンに、危険物その二「腐典 ~BL用語辞典~」を放り込みます。

 これで、ミッションコンプリート。

 あたしは胸をなでおろして、ふぅーと息を吐きます……助かりました。


 ちなみに。

 キスで全てをかっさらった、花沢さんに送った手紙には、


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 王子は「わるい呪い」に冒されている


 王子にかけられし呪いは、姫君の接吻により解除される

 汝は姫君の資格を持ち、姫君の役目を欲するだろう

 汝は姫君になるのを恐れる

 だが、心配は無用である


 王子は、汝が姫君になるのを所望しているのだから


 クラスメイトとして願わくば

 優しいKISSで、鈍感な王子が目を覚まさんことを

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 と、記しておきました。大成功なのです。


「静まるザマス!」


 ザマスが「戯れはここまでだッ!」と言わんばりに吠えて。

 放課後の持ち物検査は、終盤に向けて加速していきます。


「次は奇天烈くん――問題なしザマスね。野比くんは――この口紅には触れないことにしましょう。春日さんは――問題なしザマスね」


 ――勝った!

 ――クライシスの第一段階をクリア。

 ――続いてクライシスの第二段階に移行する。


 脳内で鳴り響いていた、アラート警報が止まります。

 安心すると同時に、全身から脂汗が噴き出してきました。


 ハァハァ……勝利に肩で息をしますけど、まだクライシスは終わっていません。

 ぼっちで残念美少女な沢木さんのバックから、BL同人誌を回収するという困難なミッションが待っています。


 でも、大丈夫です。

 手段はパート7まで考えていますし、いざとなれば消すまで。


 気づけば、ザマスによる持ち物検査は終わりました。

 起立→ 礼→ 席から立ちます。


 さて、プラン2で沢木さんから、


美空ミクちゃん!」

「ごふっ」


 とつぜん背中にタックル→ 抱きつかれた衝撃でビクリ。


「花沢さん、なっなにを?」

「手紙読んだよ! 告白できたよ! おかげで一歩進めたよ! 最高のアドバイスありがとお! ミクちゃんのおかげで、あいつの呪いを解くことができたのぉ!」


 ――ざわざわ、なんだ?

 ――ざわざわ、春日が愛のキューピットらしいぞ!

 ――ざわざわ、マジかよっ!?

 ――ざわざわ、イマイチ萌えない春日ミク、やるじゃん!


 ……なんか盛り上がってますね。

 ……それも、


「野郎どもっ! 愛のキューピット様を祝福よッ!」

おう――ッッ!』


「イマイチ萌えない春日ミクの胴上げじゅんびぃぃぃ!」

おぉうッ――ッッッ!』


「ちょぉま!? 皆さんやめ!? 今はそれどころじゃ……あたしから離れるのです!」


 手足をブンブンッ! ツインテールをふりふりっ!

 なぜ、胴上げという結論が導かれますかっ!


 体をもてあそぼうとする(※胴上げ的な意味で)、男子の腕を払いながら!

 あたしは、高らかに宣言するのです!


「やめて欲しいのですっ! お礼も不要なのですっ!」

「まさか春日……おまえ、本当は磯野が好きだったのか?」

「そもそもって、なんですかっっ!? そのウルトラ超絶スーパー勘違いさんはっ!?」

「けなげすぎる……」

「好きな人が惚れたのは、自分じゃなくて……」

「やりたくもない、愛のキューピット役を、自ら……」

「大好きな彼の笑顔が見たいから……」

「大好きな彼が幸せになるなら、自分の幸せを捨ててもいいと……」

「ミクちゃん……」

「えーとですね、皆さんに説明したいのですが、あたしは決してア"ア"ア"ッ!?」


 待てコラ!どうしてそうなった!オィ!な勘違い展開を弁明すべく言葉を紡いでおりましたが、ヤバイ事態に気づいてツインテールをかきむしり叫びますっ!


 あたしの同人誌をカバンに入れたままの沢木さんが「どーせ自分は輪に入れない……」と言わんばかりの暗い表情で、ひとり孤独に教室からエスケープ……はい。

 ここで見失ったらヤバイです。


 だから、


「あたしは沢木さ――むぐっ!?」

「ミクは頑張ったよ! だからもう自分を傷つけないで! あたしの胸で泣いていいから!」

「むぐがが……(顔に押し付けられた、みかっちさんのEカップで呼吸が……)」

「辛かったよねっ! 悲しかったよねっ! ほんとは嫌だったよねっ!」


「ええのぉ~」

「百合百合しい眺めですなぁ」


「ちょっとそこの男子っ! 女の友情を変な目で見るなぁっ!」

「むぐもが……(酸素が…足りな…い)」


 薄れゆく意識で思い描いた未来は、絶望のメロディーに彩られた闇色のカーニバル。腐女子な春日、ホモ好き乙女の春日ミク、性癖バレてクラスの珍獣、恋愛におけるネタキャラで、恋バナにおけるオチ担当、クラスの男子が怯えて震える、腐った仲間でロッテン・フレンド。


 そんなポジションが、あたしを待っ……て……ぃ。


     \(^o^)/       orz(← 意識が落ちた音)

  マイロード、腐女子ロード

 Rotten God 腐女神のかみさま

  この道は地雷だらけです

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