第248話

「だって……私……丹波のこと……」


 好きだった。


 守りたかった。


 告白のこたえを本当はいいたかった。


 あるいはそれともべつのなにかがあったのだろうか。


 胸があふれた。続きの言葉がまとまらず、私はいいよどんでしまった。


「大丈夫」


 その言葉にかぶせるように先生はいう。


「ぶじですよ、丹波くんも」


 え――?


 その言葉に私はよけいにパニックになった。


「それならどこにいるの?」


 私の質問とはべつの説明を先生はする。


「ちょうど石膏で固めてありましたよね」


 そういって先生は自分の左腕を右の手のひとさし指でこつこつたたく。


 そういえば――


 私は思いだす。


 ギプスのついていた左腕をまえに突きだすかっこうで丹波は殴るモーションにはいっていた。

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