第235話
「若っ」
黒スーツのなかのひとりが叫んだ。私はわけがわからなかった。
「うあああああっ」
床に倒れた矢野が叫ぶ。
「逃げろ、宮沢っ。丹波を連れてっ」
その言葉の意味を理解するよりも、私の意識は天野くんにむいていた。
「なんで?」
まったく意味がわからなかった。
どうして彼が銃を持っているのだろうか。
そして、どうしてその銃で矢野を撃ったのだろう。
なにもかもが予想のそとで、理解できない。
「黒幕は、あいつだ」
床に倒れた矢野がいう。
「あいつが丹波の命を狙っていた」
よほど痛むのだろう。叫ぶように矢野はいう。すでに床にはおおきな血だまりができていた。
私は、はっと思いだした。
いつか丹波がいっていた。
「女づれのにやついた野郎だった。それがまずかった」
女づれ――
それは理子のことだったのだ。
そして、まずかった意外な相手とは天野くんのことだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます