第236話
そういえば、天野くんは「まえにやられた」と理子がいっていたことがあった。
たしかに私の記憶でも怪我をしていたことがあったと思う。
からまれたといっていたが、じっさいは矢野たち不良グループになにかをされたとか、そんなものじゃなかったのだ。
おそらく天野くんはその世界の人間のあととりなのだろう。先ほど黒スーツが「若」といっていた。
きっとその世界なりのルールかなにかで、天野くんは身内に制裁をくわえていた。そこになにも知らない丹波がいつもの調子で乱入してきたのだ。
そして天野くんやその仲間たちをぼこぼこにした。それが原因で丹波はやばい連中から狙われるようになったのだ。
そう考えれば、つじつまがあった。
そういえば理子もいつか学校のトイレで私に丹波のことをしつこく質問してきた。
どんな人間なのか。あんたは仲がいいのか。
それはクラス外のことを知りたいという野次馬根性などではなく、丹波という人間の情報を直接おなじクラスの私からききだそうとしたからだったのだ。
天野くんが学校で矢野たち不良グループとトラブルを起こしたがらなかったのも合点がいった。
天野くんは矢野や不良グループが怖かったのではない。単純にそんな小者はもともと相手になどしていなかったのだ。
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