第226話
夜の病院にとつじょ矢野があらわれた。それも仲間を連れて集団で。なかにはケンジと呼ばれていた時代遅れのリーゼントの少年もいたから、おそらくほとんどがうちの学校の生徒たちで構成されているのだろう。
全校のヤンキーたちが矢野のひとことで集まった。そんな感じだ。
さらに集団のなかには、私がいつか見た黒のトップスに白いボトムスを履いた集団の姿も見えた。
あのときの暴走族だ。彼らも矢野が集めたのだろうか。
「あのあと、ちょっとおかしな雰囲気があったからな」
ちんぴらを一撃で吹き飛ばした矢野はすっくと立って、正面をにらみながら背中の私にいう。
うしろからわらわらとあらわれた連中が、矢野に殴り飛ばされたちんぴらたちにとどめをさそうと殺到してきた。それを体勢をととのえたちんぴらが迎え撃つ。
暴走族とちんぴらは、もみあいになった。
「はずれのあきビルがとつぜん炎上したり、やばそうな連中がうろうろしていたしな。おまけに『丹波正太郎を探せ』なんてせりふが街じゅうをばんばん飛び交っていた」
なるほど。
私たちとわかれたあとも矢野は繁華街のあたりにいたんだもんな。あとから炎上している現場を見ただけの私よりも、よほど事情に詳しかった。
だが、私にはわからない。
なぜ矢野が私なんかをたすけにきたのか。
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