第156話
私はけっきょく教室では孤立しているので、登校してもおもしろくない。となりの席の女の子が話し相手になってくれるわけでもない。
「はあ」
しかたない。
とりあえず席を立つ。
トイレにむかう。
用を足して鏡のまえであべこべの私を見る。
ひまにまかせて髪をとかしていたりすると、不意にうしろに人が立った。べつの顔が鏡にうつる。
「おはよう。初乃」
理子だった。
今登校してきたばかりなのだろう。スクールバッグを肩からさげている。
「あっ、おはよう」
鏡のなかのあべこべの理子にむかってあいさつをする。
「ねえ、初乃」
うしろにとどまり、鏡ごしに理子はいう。
「初乃のクラスに転入生きたんだって」
何日まえの話をしているのだろうかとも思ったが、そういえば私たちはもう何日も会話をしていなかった。せいぜい廊下やげた箱ですれ違うていど。それにうちの学校の場合、クラス単位でしか情報がいききしないので、私のクラスの誰かが話さなければ丹波のことはほかのクラスにはつたわらないのだ。
「うん、まあ」
返事をすると理子がいう。
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