第157話
「どんなやつ?」
うーんと、うなってからいった。
「金髪でクオーターでイケメンでケンカが強くて……あと、なんだろ?」
やさしいことや、もといじめられっ子だったこと、やばい連中から命を狙われていること、それに私を守ると約束してくれたことなんかのふたりの秘密はないしょにした。
「たしか」
理子が思いだすようにいう。
「丹波っていうんだよね。丹波……」
考えこむ。
「正太郎?」
私は先まわりして彼のファーストネームをこたえた。
「あー、そうそう。そんな名前だ」
なんでそんなにくいつくのだろうか。まあ、へんな時期にはいってきた転入生だもんな。おまけに金髪でかっこいいからあちこちのクラスでうわさになっているのだろう。理子はいう。
「初乃は仲いいの?」
どきっとした。
だが、ないしょだ。
あわてて否定した。
鏡像の私がぶんぶん左右に首を振っているのが目にうつる。
「ぜんぜん。話したこともほとんどない」
「ふーん」
そんな鏡の嘘の私を見て理子はいう。
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