第28話
つくころにはもうすでに午後四時近い。
四時からのシフトなので、ほぼぎりぎり。
アルバイト先のスタンドにつくと、いそいで学校の制服からスタンドチェーンのユニフォームに着がえバイトにいそしんだ。
生乾きのブレザーは店長にたのんで詰め所のエアコンの風が直接あたる場所でハンガーに引っかけておかせてもらった。
これでひとまず安心だ。
五時間のバイトが終わり家に帰るころまでには完璧に乾いてくれそうなので、母にいらぬ心配をかけなくてすむ。
私はそれだけでも、ほっと胸をなでおろした。
午後四時から午後九時までのアルバイトを終え、私はタイムカードを押した。
今日のお客は一般客がぼちぼちと、暴走族がひと組。ほぼいつもどおりの忙しさといった感じだった。
私はタイムカードに目を落とした。印刷された時刻を見る。
二十一時十九分。
シフトよりも、ちょいオーバー。
五時間の予定だったのに、残業代が十五分もついた。ちょっぴり嬉しい。
また、きた道を戻って帰らなければいけないのがおっくうで、そのうえこの時間帯はつごうのいいバスもやってこない。駅まで歩かなければいけないのが骨ではあるが、いたしかたない。てくてく歩くことにする。
「それでは、おつかれさまでした」
私と交代でシフトにはいった夜勤の先輩社員にあいさつをすると、私はアルバイト先のガソリンスタンドをあとにした。
渋滞中の大通りを横目に二十分近く歩いて最寄りの駅まえにむかう。桜もとっくに散った四月末といっても、夜はまだけっこう冷える。ブレザーがしっかり乾いてくれていてたすかった。ブラウスのうえから羽織るだけでもずいぶん違う。
後方からけたたましい音が近づいてきた。
片側二車線の車道を横に目いっぱい広がって暴走族がとおっていった。私の目には赤いテールランプの軌跡がうつり、ドノーマルのエンジン音が耳に長く残った。
うるさいなあ。
そう思いながら歩いた。
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