第16話
私はおそらく転入生をじっと見つめすぎていたのだろう。彼がその視線に気づいたように、こちらを見た。私と目があう。視線がつながる。
「あわわわわ」
心のなかであわてふためき目をふせた。机のおもてに顔を落として、しばし沈黙。
それからゆっくり、おっかなびっくり視線だけをうえにあげる。
私は再度、転入生の顔を見つめた。なんというか、見つめずにはいられないのだ。
その転入生が目立っていたのは、彼の容姿だった。
私だけでなくクラスじゅうの視線を集め、釘づけにするのもうなずける。それくらいに転入生は、私が今までかかわってきた男の子たちと明らかに違った。
身長は百七十五センチに満たないくらいで、体型はやせ型。どちらかといえば小柄なほうだが、手足が長い。透きとおるような白い肌と身にまとった不思議な雰囲気が目を引いた。
男の子の顔ははっきりいって、めちゃくちゃ綺麗だ。
眉目秀麗(びもくしゅうれい)。
明眸皓歯(めいぼうこうし)。
面向不背(めんこうふはい)に焼肉定食……っていうのはちょっと違うか。
とにもかくにも、おおよその男性をほめるための四字熟語が瞬時にいくつも頭にでるほど。かなり遠慮した表現で彼をいいあらわすのならば、ただひたすらうつくしい。カッコイイとかイケメンとか、そういった表現ではおさまりきらない。そんなふうにいえばわかりやすいだろうか。
そしてどこかほんのちょっぴりワルのにおいがあるというか、影のある雰囲気だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます