第3話
中央の茶髪のつんつん頭がボスだった。
体格がよく腕が太い。日焼けした肌が浅黒いうえに筋肉質。そんなクラスメート。平たくいえば、いじめっ子。それも私専用のだ。
矢野雅洋は校則のきびしい私立高校で一番の不良生徒だ。飲酒喫煙を隠すことなく高らかに自慢し、校則で禁止されている染髪まで堂々としている。それでもなにもいわれない。担任や各種教科担当からはもちろん、学年主任からも教育指導の先生からもおとがめなしだ。
理由は簡単。はっきりしている。矢野がこの学校で力を持っているからだ。
なんといっても矢野雅洋は、この学校の理事長の孫息子なのだ。しかも悪いことに矢野にはいとこはおろか兄弟もいない。
そうなってくると、どうなるかなんていう予想は簡単にできる。こんな素行の悪い生徒でもこの学校のおばあさん理事長にとっては唯一の孫であり、目のなかにいれても痛くない存在であり、溺愛の対象でもあるのだ。
おかげで矢野は、この学校でやりたい放題だった。
高校から受験して途中入学した私はうわさでしか知らないのだが、そのやりたい放題っぷりはすさまじかったようだ。
昔から体格のよかった矢野は小学校の高学年のころにはすでに校内で愚連隊のようなものを結成し暴れまわっていたそうだ。
当時の矢野はクラスメートの友達が持っていたキャラクターもののペンケースがほしいといってはその友達によこせといい、それが叶わないとなるとそれをようしゃなく破壊した。
ぼんやりとした性に目覚める年齢のころにスカートめくりをこの学校で最初にしたのも、小学校時代の矢野だったそうだ。
そんな矢野は中学高校にあがるにつれ、だんだんとエスカレートしていった。
いたずらていどの悪さをしていた愚連隊は性質(たち)の悪い不良グループになり、矢野はそれを束ねるまでになった。そして好き放題やってきたらしい。
その結果が、これだった。
がむしゃらに勉強して途中入学をしてきた私をターゲットにして毎日、こんなことをくり返している。
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