第2話
私立高校の指定服はいちいち値が張る。
体操着のTシャツ一枚が五千円なんていうこともざらだ。はっきりいって、かなり高い。
しかも今回はTシャツだけではなかった。ハーフパンツとあわせたら一万三千円くらいだろうか。時給九百円のガソリンスタンドのアルバイト十五時間ぶんだ。
放課後しかバイトができない身なので、十五時間働くためには約三日の日にちがかかる。へたをすれば四日くらいかかるだろうか。つまり、それだけの日数をただ働きするのだ。
私は頭のなかのそろばんをはじきながら、うんざりした。
先月新学期が始まるまえに前期ぶんの学費を銀行振込で納めたばかりだ。今月からは後期ぶんの学費をこつこつ貯金していかなければいけないのに、さっそくけちがついてしまった。
「はあ」
盛大なため息がでる。現実逃避に机のうえから視線をはずす。なんの気なしに顔をあげる。
窓ぎわなかほどの私の席から教室後方が見えた。そこに、にやついた男性集団の顔がならんでいる。彼らがいるのは教室中央のライン。一番うしろの列周辺。全部で四人。それが全員、こちらを見てにやにやしている。
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