【四章前半までのあらすじと登場人物】

 *ここまでのストーリーのネタバレが多く含まれています。直前話までご高覧いただいたのちに、閲覧することをおすすめいたします。




 イレスダートを追われて、国外へと逃亡したブレイヴとレオナ。

 祖国へと戻る道を模索する中、かつて父の友人だったグラン王国の賢王を頼るため、山岳地帯を目指していた。


 グラン王国に行くためには険しいモンタネール山脈を越えなければならない。

 それにはまず西のラ・ガーディアへと行く必要があり、ブレイヴたちは自由都市サリタから西へと向かった。


 道中に立ち寄った山道の宿にて野盗に襲われるものの、仲間たちとともに迎え撃つ。宿の女将とその息子たちも無事だったのは、ブレイヴたちとおなじく宿に泊まっていた二人組のおかげだった。


 ラ・ガーディアで最初の国であるフォルネにたどり着いたブレイヴは、またしてもここで足止めを食らう。

 レオナはフォルネの大聖堂で山道の宿で出会ったフレイアとクリスと再会する。

 貴族の少女だと思っていたフレイアはフォルネの王女で、兄王に会わせてくれると言う。かくして、フォルネ王ルイナスと会談したブレイヴはフォルネの隣国ウルーグ、そしてイスカの現状をきかされる。ラ・ガーディアの四つの国は兄弟国ではあるものの、ウルーグとイスカの情勢は思わしくない状態がつづいていた。


 どちらの国の味方をするわけにいかないフォルネとしては、迂闊に動けない。

 そこでルイナスは他国の聖騎士であるブレイヴに、とある条件を突きつける。フォルネを通す代わりに密書をウルーグ王女エリスに届けてほしいと。

 二つ返事で受けたブレイヴは、王妹フレイアと白皙はくせきの聖職者クリスを加えてウルーグに向かった。


 その頃、イレスダートでは数々の事件が起きていた。

 まずは王都マイア。ブレイヴとおなじ聖騎士カタリナとフランツ。ふたりはともに白騎士団に所属し、カタリナは副団長として団長のフランツを支える立場にあった。


 王都マイアでは身分に関係なく、若い娘たちが奇妙な殺され方をしていた。

 どの遺体からも心臓が抜き取られるという猟奇的事件を解決すべく、カタリナ自ら王都を巡回する。

 そしてついに異形の存在と接触したカタリナだったが、彼女の行方はその日以来わからなくなってしまった。


 城塞都市ガレリアでは聖騎士ブレイヴの代わりとして、ランツェス公子ホルストがここを指揮していた。

 ランツェスの炎天騎士団は北の敵国ルドラスとの戦闘に備えていたものの、しかし騎士団が動き出すより先にガレリアは落とされる。たったひとりの聖職者の力によって。


 彼の名はエセルバード・フォン・ワイト。

 かつてはイレスダートで有数の貴族だったワイト家の聖職者は、ホルストに取引を持ち掛ける。それは異母弟ディアスならばけっして選ばない交渉だった。


 ウルーグに着いたブレイヴは最初の街で美しい少年と出会う。

 彼はフレイアとは旧知の仲であり、ウルーグの王女エリスと接触するための交渉役として会うはずだった。エディと名乗った少年の正体を知らずに話を進めるブレイヴは、フォルネ王ルイナスの忠告を思い出す。ウルーグの鷹の異名を持つ少年は王女エリスの弟だったのだ。


 ウルーグの王城では軍議が行われ、ブレイヴたちも招かれていた。

 金糸雀カナリアのように美しい声と金髪の王女エリス。彼女の傍らには騎士団長のオーエンや要人が並ぶなか、宰相席は空いていた。


 エリスからウルーグとイスカの関係、そして紛争に至るまでの発端をきいた上で協力を仰がれたブレイヴは、しばらくウルーグに留まることに決める。季節はすでに冬に向かっており、グランに向かうための山越えは不可能だと判断したためだ。


 そしてイスカに動きがあるという報告を受け、ブレイヴたちは国境付近の村へと赴く。

 集落を襲ったのは、イスカの獅子王スオウの右腕の戦士シュロ。

 スオウやその妻女、及びシュロを知るエディは彼らの動きに疑念を持つ。またシュロの傍らにはイレスダート人の軍師がいると言う。

 

 シュロの狙いが王女の弟エディであると見たブレイヴは、彼を集落に残してシュロに接触する。そのまま捕らえたはいいものの、シュロはエディを前にしてもおなじ言葉を繰り返す。獅子王と講和を望む王女エリスの密書は、イスカに届いていない、と。


 次にブレイヴはイレスダート人の軍師と会う。

 イレスダートを出奔し、死に場所を求めてイスカまでたどり着いた逃げた軍師は魔道士の少年アステアの兄、セルジュ・エーベルだった。

 かつてセルジュが仕えていたアルウェンの死を伝えるとともに、今後は自分の元で働くように命じるブレイヴ。セルジュは己の主君の前で膝を折ったのだった。


 シュロ並びにイスカの戦士たちはウルーグで預かり、そのあいだにエディとともにイスカに行く。その目的はこじれに拗れた両国の関係を修復するとともに、これまで起きた事件の擦り合わせをするためだ。講和に向けて進み出したブレイヴたちだが、しかしここで悲劇が待ち受けていた。


 イスカの戦士たちの見張り交代に行くのは、ブレイヴの騎士レナードとノエル。

 ふたりが地下牢で見たのはイスカの戦士たちの死骸だった。あまりの惨状に声をなくすふたりにも、白の少年の脅威が迫る。






【登場人物紹介】




ブレイヴ


 21歳。ブレイヴ・ロイ・アストレア。主人公。イレスダートの聖騎士。イレスダートを追われたあと、祖国アストレアを取り戻す手立てを模索し、グラン王国を目指す。




レオナ


 19歳。レオナ・エル・マイア。ヒロイン。ブレイヴの幼なじみ。イレスダートの王女。上の兄妹二人とは母親がちがう側室の子。マイア王家の子は竜の血と力を受け継いでいる。




ディアス


 22歳。ディアス・ブラッド・ランツェス。ブレイヴとレオナの幼なじみ。赤い悪魔の異名は士官生時代に付けられた渾名。




アナクレオン


 30歳。アナクレオン・ギル・マイア。イレスダートの王。レオナの異母兄。




ソニア


 22歳。ソニア・リル・マイア。イレスダートの王女。レオナの異母姉。八年前にガレリアとルドラスのあいだにて消息を絶っている。







レナード


 18歳。アストレアの騎士。




ノエル


 18歳。アストレアの弓騎士。




ルテキア


 20歳。アストレアの騎士。レオナの傍付き。




アステア


 16歳。アストレアの魔道士。出奔した兄を探している。




セルジュ


 28歳。アストレアの軍師。アステアの兄。イレスダートを出奔後は西を転々とし、イスカに身を寄せていた。






シャルロット


 14歳。アルウェンの養女。




デューイ


 22歳。自由都市サリタで出会った青年。旅の案内役を務める。




フレイア


 18歳。フォルネの王女。ブレイヴに同行する。




クリス


 23歳。白皙の聖職者。フレイアの従者。




ルイナス


 28歳。フォルネの王。フレイアの兄。




エディ


 17歳。エドワード。ウルーグの鷹。




エリス


 21歳。エリンシア。ウルーグの王女でエディの姉。




スオウ 


 36歳。イスカの獅子王。




シオン


 33歳。イスカの戦士。スオウの妻。



シュロ


 37歳。イスカの獅子王の右腕。シオンとスオウの昔なじみ。

 






フランツ


27歳。フランツ・エルマン。白騎士団団長。聖騎士。




カタリナ


19歳。カタリナ・ローズ。白騎士団副団長。聖騎士。


 




ヘルムート


 33歳。ムスタール公爵。黒騎士ヘルムートの異名を持つ。





ホルスト


 27歳。ランツェスの公子。ディアスの異母兄。




エセルバート


 年齢不詳。ガレリア侵攻の際にルドラスを指揮していた聖職者。






クライド


 21歳。異国の剣士。しばらくオリシスに身を寄せていたが、その後はブレイヴたちと行動を共にする。






白の少年


 ブレイヴとレオナの前にたびたび姿を現せる異端な力を持つ少年。




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