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「はぁ? しばらく部活が休み?」

 ゴールデンウィーク四日目の火曜日。

 図書部が活動休止のことを美波に蒼空が伝えると、完全に呆れられた。今日も美波と一緒に商店街まで遊びに出ていた蒼空は、クレープを口に頬張っていた。

「なにやってんのあんたたち」

「色々あるんだよー、そんなにいじめないでー」

 もしゃもしゃとクレープを食べながら蒼空は頭を抱える。

「いじめてないから。ただ単純にバカじゃないのと思っただけ」

「それ十分ひどいよ」

 毒舌家の親友に苦笑しながらも蒼空はおいしいクレープにご満悦だった。

 美波も買ったばかりのクレープを一口食べる。

「ん、確かにおいしいわね。あんたの趣味にしては」

「でしょー? こないだ図書部の先輩たちに連れてきてもらったんだ。美波にも食べてもらいたくって」

「……最近あんた、ことあるごとに図書部図書部って、そんなに楽しいの?」

「楽しい!」

 蒼空ははにかみながら答える。

「はい美波ここで一枚」

 蒼空はポーチからカメラを取り出してシャッターを押す。

 再び親友は呆れたように頭を抱える。

 そして代わりに蒼空からカメラを受け取り、美波は逆に蒼空を撮り返した。

「まあ、あんたがいいならいいけどね。口にクリーム付いてるわよ。いいのいただきました」

「ええ!? うわべとべとする!」

 ティッシュを取り出して顔を拭う蒼空を、また美波はカメラで撮る。

「はいかわいいかわいい。今あんた一番輝いてるわよー」

「すっごい棒読みだよ! このドS!」

 嫌がる蒼空を、美波はいつまでもカメラで撮り続けていた。

「うぅ……私のカメラが私の変な写真で埋め尽くされてる……」

「いいじゃん。自分のカメラって自分が写らないから悲しいもんでしょ」

「だからってこんな写真で埋め尽くされるのは嫌だよぉ」

 でも、蒼空は基本的に写真を消去しない。

 一度撮ったその写真はそのときだけのものなのだ。

 一瞬一瞬が、たとえピンがぼけた写真だろうが、何を撮っているかわからない写真だろうが、大切に保存すると決めている。

 蒼空が写真を流して涙目になっている間に、美波は視線を雲行きが怪しくなってきた空を見上げた。

「こりゃあ今日は一雨来るわね」

 美波の言葉に肯定するように、ぽつりと蒼空のカメラのモニターに一滴が落ちた。

 ぽつぽつと雨が振り初め、徐々に強くなっていく。

「傘持ってきてる?」

「ないよー、雨降るなんて思わなかったもん」

 元々この地域一帯は雨が少ないのだ。雨の予報でも平気で外れる。

「本降りになる前に私は帰るわ。蒼空はどうするの?」

 美波が手で頭を庇いながら尋ねると、あっと蒼空が声を上げた。

「私は、ちょっと寄りたいところが」

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