10
「誠護君そんな危ないことに蒼空ちゃんを巻き込んだの!?」
日曜日、誠護の住むアパートに汐織と蒼空を呼んでいた。
誠護は自分の机にある椅子に座り、汐織と蒼空は部屋中央の机の前に座っている。
汐織は蒼空を抱きしめながら非難の声を上げていた。
「……ぐうの音も出ないよ。まあ、ある程度大丈夫ではあったんだけど」
でも、その反対をするなら合宿に行く前にしてください。
「ホント気をつけてよ。女の子なんだから」
誠護の心配はまったくしていない汐織だった。いいけど。
「わかってるよ。もっと注意を払います。それより汐織先輩は、そろそろ蒼空を離してあげないと、窒息するよ?」
「ん?」
汐織は抱いている蒼空に視線を向ける。
汐織の胸に頭部を押しつけられた蒼空は、鼻と口を塞がれて両手をバタバタとさせてもがいていた。
「わあっ、ごめん!」
汐織が体を離すと蒼空はどうにか酸欠という危機から脱していた。
「大丈夫か?」
「な、なんとか」
ぜぇぜぇと息を吐きながら、涙目で蒼空が頷く。
「先輩、女の子なんだから気をつけてよ」
「ぐっ……ごめんなさい」
「だ、大丈夫ですよ汐織先輩。こうして生きてますから」
それはあまりフォローになっていない。そもそもこんな部屋で窒息しそうになるのがおかしい。
鎮火されたログハウスのところに出てくると、その場の人たちは驚いて安堵していた。
一部の教団の人はなぜ生きているという視線を向けてきたが、蹴破って脱出したと答えておいた。実際は鍵が外れていたのだが、それをわざわざいう必要もない。
時間差で出て行ったのも、脱出したはいいけど二人とも気を失っていたということでごまかした。
当然、火事なんてものを起こしてしまったこともあり、そのまま合宿を続けるというわけにはいかず、日曜日の朝一番にバスが出て洋館から帰った。
入信候補者の不信感を得ないように、最低限まともな行動をしているのだ。
「そこまでされて教団から謝罪がなかったの?」
汐織が問うてきた。
「帰り際に、教祖様、カレンさんが俺たちに謝っていたよ。お詫びに来るといってたんだけど、後々面倒なことになりそうだから断った」
「カレンさんって、涼馬君の幼なじみの?」
「そうだ」
「かわいいの?」
「まあ、それなりに?」
いきなり何を聞いてくるんだと聞き返すと、汐織のじとっとした目に見返された。
「蒼空ちゃん蒼空ちゃん。絶対誠護君カレンちゃんを狙っているよ」
そして、蒼空にぼそぼそと耳打ちをする。
「え? 誠護さんって、面食いなんですか?」
「当たり前だよ。それも相当なもの。実は去年の文化祭でもナンパしてねー」
「ちょっと、何嘘を教えようとしているの? 去年の文化祭ってあれでしょ。盗難騒ぎに紛争して文化祭どころじゃなかったじゃん」
「あれ、そうだっけ」
汐織は口笛を吹いてすっとぼけている。
この人は……。
頭を抱えながらため息を吐く。気を取り直して誠護はいった。
「とりあえず、どこかで行動は起こすよ。気になることがあるんだ」
「カレンさんのこと?」
しつこいですね。
「……そうだよ」
当たりですけど。
茶々を入れられる前に、誠護は机に開いていたノートパソコンの角度を変えて汐織と蒼空に向ける。
「これ、蒼空が気づかれない程度に撮ってくれていた写真なんだけど、これを見てくれる?」
操作して一枚の写真を選択すると、画面が真っ暗になった。
「何も写ってないんじゃない?」
汐織が難しそうに顔をしかめている。
「そう、何も写っていないんだ」
「なにそれ。からかってるの?」
汐織が口を尖らせながらそういうが、蒼空が首を振って否定した。
「違います。これはさっき話した、私たちが星空を見たときの写真なんです。ここ見えますか? 一応、小さく星が映ってるんですけど」
蒼空が腕を伸ばして指さす先には、確かにぽつんと白い光が映っている。
「あの短い間にしっかり撮ってるんだから驚いたよ。暗いところで写真撮るのって結構難しいんでしょ?」
「たまたまです。何か見せられる可能性が高いと思っていましたら」
あくまで冷静な蒼空に誠護は舌を巻いたものだ。
誠護も何かを見せられるとは思っていたが、それを誰にも気づかれずに写真を撮るとは驚くしかない。
「蒼空のいう通り、この写真を写したときは俺たちは上空に広がる輝く星空を見ていた。皆で見ていたからそれは間違いない。でも、蒼空が写した写真にはそれは写っていない。これはもう明らかにあいつらが普通じゃないことをしたという証明になる」
汐織がすっと目を鋭くし、膝を抱えて唸った。
「ん-、それで、誠護君が気にしていることっていうのは?」
「このカレンさんが、今のところ俺たちにあの光景を見せた人物の最有力候補だ。でも、なんか違和感があるんだ」
違和感の正体ははっきりしない。あのカレンという人物の雰囲気が、何かおかしい。
「あの、一つ聞いていいですか?」
蒼空がおずおずと手を上げる。
「なんだ?」
蒼空は少し聞くのをためらうように視線を泳がせると、再び口を開いた。
「えっと、私たちが見せられたあの光景がなんなのか。先輩たちは知っているんですか?」
誠護と汐織は顔を見合わせた。
「いや、むしろ誠護さん絶対わかってましたよね? あの力がなんなのか。私たちは幻覚のようなものを見せられたにも関わらず、誠護さんは動揺すらしていなかった。それどころか、笑ってましたよね」
「……そうだったっけかな」
誠護は苦笑しながら誤魔化す。
汐織がじろりとした目を向けてきて、小声でバカと呟いた。
だってそんなところまで見られていると思わなかったんだもん。
そしてそんなところに気づいている蒼空も十分冷静だ。あんなものに目を向けず、あの中で誠護の顔色を窺う様子があったということだ。
重ねるように蒼空はいう。
「最初から誠護さんは、いや汐織先輩も城戸先輩の依頼にあの超能力みたいものが関係していると知っていた。だとするなら、図書部の依頼ってものそのものにも疑問がわきます。実は、この図書部の相談事ってことがそもそも、あの超能力に関係したことなんじゃないかって思えてきます」
その考えに、誠護は内心舌を巻いた。
「へぇ……今回たまたまあんな超能力に関わったんじゃなくて、最初っからあの超能力が関わっていたから図書部が絡んでいたと?」
「はい。そう考えると色々辻褄が合います。最初私を参加させたくなかったのも、あの超能力が関わっていると知っていたからじゃないですか?」
「といっても、全部私の想像ですが……」
先輩相手に強く言いすぎていると感じたのか、ぼそぼそと言葉を濁した。
その様子に、汐織は長々とため息を吐いて脱力した。
「はあぁぁぁぁ……まあ、そこまで見せちゃったら仕方ないよね。まったく、誠護君のバカ」
誠護もげんなりとして肩を落とし、椅子に背中を投げ出す。
「それについては返す言葉もないけど、だって相手の力が不特定多数の人間に一度に見せられる能力だなんて思わなかったんですもん。そうとわかっていれば絶対に連れていきはしなかった。実際、相当珍しい能力でしたよ」
隠す気もなく誠護は言葉を口にする。髪をくしゃくしゃと掻き、蒼空に視線を向ける。
「蒼空のいう通りだよ。俺は、俺たちはあの超能力、【幻視】のことを知っていた。そして、この図書部の活動とは、幻視能力に対する相談事を扱うこと」
「幻視……ですか?」
聞き慣れない単語に首を傾げる蒼空に、汐織が頷きながらいう。
「この世には普通の目では見ることができない世界が存在する。不可視領域。私たちは幻視によって見える能力をそう呼んでいるの」
「実際には見えてはいないけど、そこにある景色、ってことですか?」
「その通り。不可視領域には無数の世界で広がっている。本来人が見ることができない数多のヴィジョン。それを見る目を持つのが――」
汐織は片目を閉じてウインクしながら、指先で瞼をなぞった。
「私たち、幻視能力者なの」
蒼空は目をこれ以上ないほど見開くと、汐織を見て、誠護を見た。
「お二人も、あの幻覚を見せる能力を持っているっていうんですか?」
誠護は苦笑しながら首を振った。
「いや、そういうわけじゃないよ。幻視の能力は、さっきもいったけど不可視領域を見ることができる能力だ。だけど、見ることができる世界は一人に一つのみ。同系統や似た幻視は確かに存在するけど、俺や汐織先輩の幻視はまったく別物だ」
そうですかと納得しながら、蒼空は考え込むように黙り込んだ。
そして、ハッとしたように顔を上げる。
「もしかして、今回の件に幻視能力者が関わっているってわかったのも、お二人の幻視で最初からわかっていたことだったんですか?」
おおっと汐織が手を叩いて驚いた。
「蒼空ちゃんやっぱり鋭いね! 素直にビックリだよ!」
「え、ええっと、別にそんな大したことでは……。ただ、そうでもないとたまたま来た相談事が幻視に関係しているって、とんでもない確率になると思って……」
「うん、実際そうだよ。別に図書部にくる相談事が全て幻視に関わっているわけじゃない。俺が一年やってきた図書部の活動でも、幻視が関わっていたのは半数もないよ。でも多いのは事実。それが汐織先輩の幻視だから」
蒼空の視線が汐織に行き、汐織は少し照れたように頭を掻いた。
「別に大したものじゃないんだよ? 私の幻視は、幻視のトラブルを抱えている人間を見分けること、なんだ。今回の涼馬君の相談事も、涼馬君から相談を持ちかけられたんじゃなくて、こっちから持ちかけたの。何かおかしな力のことで困ってるよねって」
汐織のこの幻視はかなり浅い情報からトラブルを抱えている人間を察知できるが、幻視であるため、その見極めは確実だ。だがどこで関わっているかということはわからない。
今回の場合だと涼馬の幼なじみが幻視能力者であるわけだが、探し出した本人が幻視能力者であるということもあれば、兄の恋人の妹がということもある。幻視が絡んでいることまでは確実にわかるが、誰かまでは識別することができない。
「大抵幻視能力者の問題っていうのはどうしようもない問題を抱えていることが多いから、こっちから声を掛ければ結構相談しに来てくれるんだよ。かなりうさんくさいことではあるけど」
「なにおう! 私のトークに問題があるってこと!?」
「……ノーコメントで」
「むきー!」
汐織が両手を振り上げながら憤慨している。
とはいえ、汐織のやり方はどこまでもストレート。
いきなり話しかけた相手に、本当に何か不思議な力で困ってることない? っと質問するのだ。
手口は違えど一歩間違えれば今回の宗教団体とやっていることは変わらないレベルだ。そこは顔がよくて雰囲気で相手を絡め取る汐織ならではだ。これが暗い陰険そうな人間であれば話すら聞いてもらえないだろう。
「……誠護さんの幻視というのはどういうものなんですか?」
聞きづらそうに蒼空が尋ねてきた。聞いていいのかどうかを決めかねている様子だった。
そんな蒼空に誠護は笑いながら目を向ける。
「ははっ、実は大体予想ができているんじゃないか?」
聞き返された蒼空はちょっと言葉を詰まらせる。
「……バカなことっていわれるかもしれないんですけど」
「そんなこといわないよ。こと幻視において、普通の物理知識は役に立たない。むしろバカなことを考えられる方がいいくらいだ。だから、いってみて」
通常見えない不可視領域は見えないのが当たり前だ。幽霊や宇宙人を信じてもらえないのと同じ。共通して認識できないものは、見えている側が異常。それを他人に理解してもらおうということがそもそも無理な話なのだ。
蒼空は、少し考えるように黙り込むと自分の考えを述べた。
「これから起こることを視ること……未来視、ですか?」
おおっと再び汐織が唸き、誠護は笑いながら頷いた。
「正解といえば正解だけど、それじゃあ二十点ってところだな。未来視の幻視も確かにあるよ。数秒先の未来程度のものだけど、確認されていることは確認されている。でも、俺の幻視は視るものが違うんだ」
誠護は視線を逸らして目を閉じた。
「俺の幻視は、危険を視ることができる力なんだ」
「危険、ですか?」
「そう、危険。漠然としてるだろ? でも実際は蒼空の考えている十倍は漠然としているよ。自身に降り注ぐ危険、周囲にこれから起きる危険、危険の様子を持つもの。そういったものを、俺は危険なことと認識して視認することができる」
その危険は淡い光となって誠護の瞳に映る。視える範囲のありとあらゆる危険を視認することができる力。
それが誠護の幻視だ。
「これから起きる未来の危険を視認することができる幻視。だから蒼空がいった通り、未来視といっても間違いではないけど、本当の未来視はこれから起きることを正確に視ることができる。でも俺の幻視は、危険だけに限定されたもの。俺は、危険未来視って呼んでいる」
「……その力で、初めて会ったとき私を助けてくれたんですか?」
突然蒼空がいったことに、汐織はきょとんとして首を傾げた。
誠護は苦笑しながら頬を掻く。
「まあね。というか、やっぱり俺だって気づいてたんだ」
蒼空はどこかむすっとしたように口を膨らませる。
「当たり前じゃないですか。むしろこれまで知らない振りしていたんですよね? ちょっとひどいです」
「悪い悪い。そう怒らないでくれよ」
ぷんすか状態の蒼空に誠護は両手を合わせて謝罪した。
「え? なんなの? 何があったの?」
話がわからず首を傾げ、疑問符を浮かべ続ける汐織に、蒼空がむすっとしたままあの日あったことことを話した。
蒼空が図書部にやってきた日のことだ。野球ボールが蒼空に当たりそうになっており、誠護がそれを助けたあの出来事。
「実際あの日寝ぼけてたからよく覚えてなかったんだ。後々思い返したら、もしかしたらあのときの子かなって。でも、幻視のこといわないで説明できないから、とりあえずはそっとしておこうと思ってね」
「野球ボールが飛んでくるのを見たわけじゃなくて、野球ボールが飛んでくる危険を視たってことなんですか?」
「そうだよ。ああ野球ボールが飛んでくるなーとか思って通り過ぎてたら、丁度ボールの軌道が蒼空の頭にあってさ。さすがに見てられなかったから、危険なところから外させてもらったの」
「……私、あのままあそこに立ってたらどうなってましたか?」
「下手をすれば、死んでたかもね」
蒼空の顔がみるみるうちに青くなっていった。
硬式野球の事故というのは珍しくない。プロ野球の試合ではファウルボールが目に当たって失明する人はいるし、世界的に見れば死亡している人も中に入る。
誠護の目から見た危険度は相当なものだったので、蒼空が自力で躱すことができずにその身に受けていればどうなっていたかはわからない。
どれくらい危険か。それを視認できるのも誠護の危険未来視の一端だ。
「ごめんなさい」
突然、蒼空が謝ってきた。
「何を謝ってるんだ?」
「だって、誠護さんは私を助けてくれたのに、なんか嫌な態度とって……。ごめんなさい」
今度はしゅんとしながら沈み込む蒼空。相変わらず浮き沈みの激しい子である。
誠護は小さく笑うと、窓の外に視線を逃がした。
「蒼空が気にすることは何もない。怒られ憎まれ当然のことだ」
俯いていた蒼空が顔を上げ、誠護の顔を見やり首を傾げる。
「どうしてですか? 私に飛んできた野球ボールはただの事故で、誠護さんは関係ありませんよ?」
蒼空の言葉に誠護はなんともいない微笑を称えるばかりで、何もいわなかった。
それを静かに見ていた汐織は、話を打ち切るように手をぱんぱんと叩いた。
「まあ、そんな感じでこの図書部は、普通の相談事を受けながらも幻視絡みの相談を扱ってるってわけだよ」
汐織はまとめるようにそういうと、蒼空に目を向けた。
「ごめん、蒼空ちゃん。さっきもいったけど、今回の相談事に幻視が関わっていたことを最初から知っていたんだ。巻き込んで、ごめんね」
頭を下げる汐織に、蒼空は慌てたように手を振った。
「い、いえいえ、私が無理いって着いていったんです。先輩たちが謝ることは、何もありません。こっちこそすいません」
そういって逆に申し訳なさそうに頭を下げる蒼空。
「というより、今回のカレンさんの能力がどういうものか、お二人はわかっているんですか?」
誠護は嫌な話を思い出しながらげんなりと肩を落とした。
「ある程度は推測しているよ。珍しい能力ではあるんだけどね。あれは不可視領域に干渉できるタイプの幻視能力。かなり面倒なタイプだよ」
「不可視領域に干渉……ですか?」
「そ、幻視能力はあくまで不可視領域を視認する力だ。だが稀に、その不可視領域に干渉できるタイプの幻視能力者がいる。今回もそのタイプ」
「不可視領域に干渉して、私たちに幻覚のようなものを見せたってことですか?」
「その通り。おそらくだけど、あれは他人の目に自分が視ている不可視領域を見せるような能力なんだと思う。その不可視領域が何なのかまでは正直わからない。ただ似たような幻視が確認されていることは知っているから、たぶん間違いないと思う」
代表的な不可視領域に干渉する幻視には、テレキネシス、念動力がある。
念動力は本来人が視認することができない力場を視認できる能力で、さらにその力場に干渉することによってものを動かしたり浮かせたりすることができる。
「なんにしても厄介な能力だよ。条件があるのは間違いないだろうけど」
いって、誠護は蒼空に視線を向けた。
「蒼空、悪いことはいわないから、図書部に入ること、いや関わることは止めた方がいいよ。今回の幻視絡みの相談事は、汐織先輩の幻視があるから珍しいことじゃないんだ。どんなことがあるかもわからない。だから、止めた方がいい」
ここまで関わらせておいて、ずいぶん身勝手な言葉だと思う。でも、やっぱりダメだったんだ。
蒼空は考えるように俯き、項垂れた。
汐織も口を閉ざしたまま、蒼空の様子を見守っていた。
「あっ……」
突然、蒼空は思い出したように立ち上がった。
「すいません。今日は早く帰れとお母さんにいわれていたんです。合宿を途中で帰ってきたきた理由を教えろとかなんとか。さすがに途中で合宿放棄したような形になってるので、どういうことか説明しろといわれているんですよね」
やれやれといわんばかりに荷物を背負って立ち上がる。
「すいません。お話の途中で申し訳ないんですが、今日は失礼します」
しかし、扉に手を掛けたところで足を止め、こちらを振り返った。
「でも、今日は、です。前にもいいましたが、やっぱり今回の相談事が終わるまでは、ご一緒させていただきます。なので、またよろしくお願いします」
幻視なんて超常的な力の話を聞かされたばかりにも関わらず、実に晴れ晴れとした表情でそういった。
一瞬、誠護と汐織は言葉を失ってしまった。
汐織は頭に手をやりながら、たはーと笑う。
「しょうがないね。そこまでいうなら最後まで手伝ってもらおうかな。ね? 誠護君」
「……まあ約束は約束だからね。了解、今回の一件が終わるまでは、図書部仮入部員として、活動してもらおう」
誠護たちがそういうと、蒼空は満足げに笑って出て行った。
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