第4話 決戦! 市民大会!

ラウンド27

 市民eスポーツ大会当日。会場には、既に多くの人々が集まっていた。学生から社会人、老人会等年齢層は幅広い。

 ゆみたち、明陽高校e格闘技部のメンバーも既に会場に集合していた。

「よし、全員揃っているな?」

 華澄はゆみ、遥之が居ることを確認する。皆、良い表情をしていた。

「いよいよか~。あたし、緊張してきちゃった」

「大丈夫だよ、遥之ちゃん。手に人って書いて飲み込むと、落ち着くらしいよ」

「ぷふっ! ゆみ、未だにそんなおばあちゃんの知恵袋的なこと信じてるんだ。可愛いヤツめ!」

 遥之は、愛でるようにゆみの頭を撫でた。

「からかわないでよ、遥之ちゃん!」

 ゆみは、恥ずかしそうに遥之の手をどけようとしていた。その様子が姉妹のようで、微笑ましい。

「その様子だと大丈夫そうだな、髙野」

 華澄は、ゆみの明るい笑顔を見て安心した。

「はい。nao/さんに技術的なこと、メンタルのことをアドバイスして頂いたおかげで、だいぶ気持ちが楽になりました」

「初めて出会った頃に比べて、だいぶ明るくなったな。その調子で内山アンジェリーヌを倒してしまおう!」

「はい!」

 市民eスポーツ大会までの間、ゆみは前向きに格闘ゲームと向き合えるようになっていた。ゆみ本人はあまり実感がないようだが、側で見ていた遥之と華澄には心の変化がはっきりと解る。 ゆみの変化を、遥之と華澄は喜んでいた。

「おはようさーん! よしよし、みんな揃ってるね。そろそろ受付行くよーん」

 朝からハイテンションな愛衣が、笑顔で手を振りながらゆみたちのもとへやってきた。

「お、やっと来たか愛衣ちゃんよ」

「やっとじゃないってば! みんなより前に来てました! 学校の先生には、色々やることがあるのよ!」

「そういうものか」

「そういうもの! さ、早く受付に行くよ!」

 愛衣はゆみたちの手を引っ張り、早足で受付場へと向かう。ゆみたちは、愛衣に引っ張られるがままに受付場へと歩んでいく。

 そんな中、ゆみは自分にしか聞こえないくらい小さな声で、呟いた。

「大丈夫。何も心配いらない」

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