ラウンド8

 サンティエモン女学院は、名門の有名お嬢さま学校である。

 全国でも、五本の指に入るほどの難関進学校だ。

 優雅で可憐な生徒たちに、エレガントな雰囲気。

 あこがれを抱く少女は、少なくない。

 そんなサンティエモン女学院だが、もう一つ有名なことがある。

 それは、eスポーツ部の活躍である。

 FPS、RTSを始め、多くのゲームで全国大会出場、優勝をしている。特に、格闘ゲームは多くのプロを輩出するほど歴史と強さがあり、県内では無敵と言っていいほどの強さだ。

 全国屈指の強豪校は、入学式の日も部活がある。今はちょうど休憩時間で、部員たちは各々リラックスしたり、笑顔で談笑している。

 星のように煌びやかな金色の髪をツインテールで結んでいるこの少女も、他の部員同様休憩中だ。

 手には、オリオン座の夜空をイメージしたカバーを付けた、スマートフォン。画面には、人気SNS『とらったー』が映っている。

「アンジェ、もうすぐ休憩終わりだ。準備しとけ」

 一人の少女が、金色の髪の少女に呼びかけた。

「はいはーい。今行くー♪」

「なんだ、随分ごきげんだな」

「べっつに~? 何でもないけど?」

 アンジェと呼ばれた少女は、不敵な笑みを浮かべながら自分の鞄にスマートフォンを投げ入れた。

 スマートフォンの画面には、次のような文字が映っていた。

『あの髙野ゆみが、東京から引っ越してきて明陽高校に入学したんだって!』

『サンティエモン女学院高等部じゃなくて、なんで明陽高校なん?』

『盛り上がってきましたなwwww』

 アンジェは嬉しそうに唇を舐めると、自分にしか聞こえないくらいの音量で、呟いた。

「今度は退屈させないでよ、寄生虫さん♪」

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