ラウンド7
「ゆみ、ごめんね。華澄のせいで嫌な気分にさせちゃって……。あいつ、昔からああいう感じでさ」
「ううん、私こそごめん。遥之ちゃんに迷惑かけちゃって。南城さんにも、失礼な態度とっちゃったし……」
帰りのバスで、ゆみと遥之は先程起こったことについて話していた。
バス停に着くまで、ゆみは一言も喋らなかった。
重い空気が、二人の間に流れていく。
遥之は、バスに乗るまでどう話しかけたらいいか考えていた。考えに考えた末、バスに乗車したと同時に華澄のことについて謝ろうと決心し、今に至る。
「華澄のことは気にしなくていいよ。もっと、きつく言ってもいいくらいだし。……あのさ、華澄の言ってたことって……」
「うん、全部本当。私、小さい頃からずーっと格闘ゲーム――格ゲーやってたの」
「そうなんだ……」
「私、格ゲーから逃げてきたの」
ゆみは、どこか寂しげな表情で窓の外を眺めた。その姿はとても儚げで、悲しく、ゆみの顔を見た遥之は再び心配な気持ちになった。
そんな二人のことなど関係なしに、バスはゆっくりと進んでいった。
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