第12話乙女のカン
俺が起きると隣にはあの女は居なかった、まだ朝日も見えない時間帯だ。俺はベットから飛び降りると、あたりを見回し部屋から出るとなんだかいい匂いが漂ってくる。俺はその匂いをたどって厨房らしき部屋に入ったら、昨日俺の事を洗ってくれた女の人がいた。俺が挨拶代わりに一声鳴くと
「あら、おはよう。ちょっと待っててね」
そう言ってお皿にミルクを入れて出してくれた。
「ほら、ご飯」
俺は顔を突っ込んで舐めた。一応宿屋をやっているからだろう、それなりにおいしいミルクだった。
そこに顔が似た少し吊り目の十代の女の子が入ってきた。
「お姉ちゃん、その猫は?」
「昨日、拾ったの」
そう言ってにこにこと笑う。
「もう、お姉ちゃんまた余計なことを」
妹はそう言って呆れた顔をする。何度か同じことがあるようだ。
「もう、そんな顔をしないでリサ」
そう言ってリサの頭を撫でる。妹の名はリサだそうだ。
「お姉ちゃんそう言ったて最近変な奴らが妨害してきて赤字続きで、このままじゃ奴隷に落とされるかもしれないよ」
そう言ってリサは悲しい顔をする。妨害ってことは昨日のやからか。そんなことを喋っていると新たに人が現れた。
「おはよう!!」
そう言って入ってきたのは茶色い髪でリサと同い年位の女の子だ。
「おはよう、ミル」
そう言ってリサは挨拶を返した。どうやらこの子はミルと言うらしい。ミルは俺に気づいて
「この猫どうしたんですか。サラさん?」
どうやらリサの姉はサラと言うらしい。
「ちょっとね、私たちに対する妨害のせいで泥を被ったから洗ってあげたの」
そう言ってサラはにこにこ笑って言う。
「それはわかりましたけど。なんで猫を宿に連れ込んで居るんですか?別に洗ったら外に出せばいいと思うんですけど」
ミルはそう言って顔を困惑させた。
「そうね、あえて言うなら乙女のカンかしら、ウフフフ」
サラの言葉に二人は諦めたような顔をして
「「それでは仕方ないですね」」
そう言って仕事に戻っていった。
それで納得できるの?!何乙女のカンって。そんな簡単に納得できるものなの?!
俺がそんな風に考えているとまた一人誰か女の人が入ってきた。
「おはようございます。サラ様」
そう言って入ってきたのは青髪の三十代位の女性だった。サラはその挨拶を聞いて少し顔をしかめて
「もう、ソフィアは奴隷では無いのだから様はつけなくてもいいのに」
ソフィアはその言葉に。
「サラ様のお父様には大変な御恩あります。奴隷の私を地獄から救ってくれてそして奴隷から解放してくれました。その恩を報いるためにも私は旦那様の娘であるサラ様、リサ様に旦那様の受けた恩を返したくて仕えていますので」
と答えて笑った。
ここの主人は随分な人格者だったのだろう。奴隷に恨まれることがあっても感謝されることは少ない。
この世界については少しジャックに教わったのだ。
奴隷にはいくつかの種類と経歴がある。
まず、戦闘奴隷だ。これは名前の通り戦闘に使われる奴隷。性奴隷 まあ、名前の通りだ。生活奴隷 家政婦だな。そして計算奴隷だ。これは経理などを管理させる奴隷だ。これは奴隷だと主人のお金をちょろまかすことが、無いのでそれなりに人気だが、それだけの教養が無いと出来ないので希少性が高く、顔が普通な性奴隷と値段は同じくらいだ。
経歴だが犯罪奴隷、借金奴隷、身売り奴隷などがある。まあ、大体こんな感じだが最後は違法奴隷だ。これは人さらいなどから買い取って売りさばくのだ。
まあ、奴隷に関してはこんな感じかな。たぶんこの子たちが言ってるのは借金奴隷だろう。
「それでどうしたんですか?」
ソフィアが聞く。
「また、お姉ちゃんの乙女のカンが働いたのよ」
その言葉にソフィアが笑う。
「そうですか、幸運をまた持ってくると良いですね」
そう言ってソフィアは俺の頭を撫でる。
話が見えなかったが俺はその宿の窓から外に出て、町を見に行った。
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