第25話
放課後、わたくし達はみんなでむいの家にお邪魔することになりました。
れいらさんも含めて四人でMROについて話したかったのに、なんだかんだであまり時間が取れませんでしたの。
むいは授業中寝ていましたし、みやかなんて久しぶりに登校したからか先生に長時間捕まっていましたし……。
わたくしもいつもの方々達に質問攻めをくらって大変でしたのよ。なんか、れいらさんがわたくしと一緒にいたのが不思議だったみたいですわ。
クラスの方たちともあまり喋らないようですので特に驚かれましたわ。
顔に感情が表れにくいためでしょうか、雰囲気的に近寄りがたい気がするのはなんとなく分かりますけど。
でも、少し喋った感じですととても可愛らしい方ですのよ。
変な噂のせいか、わたくしに遠慮しちゃってるみたいですが……。
「さぁさぁ、むいのお部屋に到着ー! ちょっち散らかってるけど入って入って!」
「これがちょっちぃ? 凄い散らかってるじゃん。むいらしいって言うかなんて言うか」
「ひーん! そりゃみやかちゃんのお部屋に比べたらさぁ~。むいの家狭いし……」
「もう、すねないのっ。あたしは女の子らしくてとっても可愛らしい部屋だと思うわよ。それに良い香りだし」
「は、恥ずかしいから深呼吸禁止っ!!」
お
小学生のときもちょくちょく遊びに来たのですが、いつも不在でしたわ。きっと大変お忙しいのでしょう。
「お邪魔しますわっ。あら、ぬいぐるみさんでいっぱいですわね~。また増えましたの」
ベッドの脇に座る一際大きい白いウサギのぬいぐるみ。
んん? なんだか見たことあるような……でも昔からありましたっけ、これ。
「……にはは。それね、大切なお友達からもらったやつなんだよー。とっても嬉しくて、ずっと大事にしてるの。あ、れらちゃんも座って座って! すぐにジュースとお菓子持ってくるね~っ」
「そーよ、れら。遠慮しないで座りなさいよ」
みやかってば、ベッドに寝そべりながら漫画を読んで早速くつろいでいますの。
まったく。それはむいのセリフですのよ……。
「肯定……第2位様」
ちょこんと座布団に女の子座りするれいらさん。雪のように白くてとても可愛らしい足ですわね。
あらっ。あと少しでスカートの中が見えそうですの……。ぶ、無用心ですわね。
れいらさんのお隣にちゃっかりと座りつつ、心の中でヨダレを垂らしまくっていたのですが――はて? ふとおかしなことに気付きましたわ。
「……今、みやかのことを第2位って言いましたの? もしかしてお二人はすでにお知りあいさんだったり?」
「なんかねー、みやかちゃんの『シーフ』姿に憧れてBEO2を始めたみたいなんだって。ほら、ランキング外でも招待状を貰った人を『三人』知ってるってみやかちゃんが言ってたの覚えてる?」
「ええ。確かそれはむいとわたくし……あ、もしかして!」
テーブルにピーチサイダーとお饅頭を置きながら言うむいは、わたくし達の対面に座って、
「そう、三人目はれらちゃんだったんだよ。今日一緒に学校へ行くときに教えてもらったんだ」
「あたしと
「むいはね、にこちゃん繋がりで仲良しさんになったの! 最近は特に楽しくいっぱいモフモフさせてもらってるんだよーっ! れらちゃん今日もモフモフしよっ!」
目をキラキラ輝かせながらガタッ! と立ち上がるむい。
その瞬間、凄まじいスピードでわたくしの後ろへと隠れるれいらさん。
あ、あらまぁ……これはこれは。
「空宮さん……それ、やめて欲しいかも」
「またまたー。れらちゃんってば嬉しいくせにー」
「……嬉しくないかも」
「からのぉ~?」
「……嫌いかも、です」
「もう、素直じゃないんだからぁ」
お饅頭を頂きながら、ご愁傷様ですわ……と心の中でむいに同情しましたの。
あの性格だから気付いていないみたいですが、本当に避けられているみたいですわね。
というか、モフるっていったい何をしてるんでしょうねぇ……。
あっ――いけません! むい×れいらさんで変な妄想をしちゃいそうになりましたわ。
あ、あぶねぇところでした……これではお姉ちゃんみたいな変態さんになってしまいますの!
「ったくあんた達は……。すぐに話が逸れるんだからさぁ。それよりも、ななよの頭の上に乗っかってるその
「わたくしの頭の上……?」
そ、そう言えば。
しばらく大人しくしてますわねぇと思いましたら、わたくしの頭の上で寝ていたんですのね。
こんなに騒がしいのに、うつ伏せですやすやと気持ち良さそうに眠るシャノンを少しだけ羨ましく思いましたの。
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