第34話最終決戦における傾向と対策
壊れた天井材。
壊れた自転車みたいなもの。
それらの上に、女が立っていた。
背は高く、踊り子のような衣装を着ている。
髪も長め。両輪の形に結い上げてられている。
「誰だ。お前は?」
若いのに杖をついた天主教の青年は尋ねた。
「宴の主賓に決まっておろう」
女は答えた。
「羅刹王母様。お待ちしておりました」
鄭国はうやうやしく頭を下げる。
「と、いうより、鄭国。お前合図をするまでわざわざ城の真上で無意味に空を飛んでいろと妾に命令したのはなぜだ?それなりに理由があってのことであろう?」
「もちろんございます。羅刹王母様より玉座を奪おうとする簒奪者共に法力の力を浪費して貰いたかったものでして」
それを聞いて、もちろん天主教徒のニホンジン達は不機嫌になる。
「魔術の浪費だと?」
「舐めるな!支援バフをかけると一時的に能力が上昇するんだぞ!!」
「そうですね。羅刹王母様一応ご説明しますと彼らは法術で自身の身体能力を上げているのです。
ですから、全員手強わくなっているのです」
「ふむ。なるほどな。では」
羅刹王母は両腕を折り曲げ、独特の構えを取った。そして。
「喝っーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
と一声叫ぶ。
玉座の間に備えられた銅鑼が震える程の大声だった。
ただ単に大声をあげた。それだけである。
「な、かけたバフが全部消えているぞっ!!!」
ニホンジンの天主教徒の一人が悲鳴をあげる。
「ほ、本当だ!俺のも消えているっ!!」
「ま、まさか範囲そげぷの持ち主??!!」
「そのそげぷ、というのはよくわかりませんが」
鄭国は笑いを堪えきれない様子であった。
「羅刹王母様は実に面白い特技の持ち主でしてね。具体的には貴方方の言うその、チート能力。でしたっけ?それを叫び声だけでなかった事にできるのですよ?」
「範囲無効化能力者だと・・・??!!!」
「ええ。まぁ強力な魔法とかでなければ別に無効化できるわけではありませんし。羅刹王母様自体はごく普通の人間でしててね。つい先月も餃子の早食い大会でお腹を壊して寝込んだほどでして。まぁ『チート能力』でなければ殺せるのではないかと」
「それを聞いて安心したぜ!!」
革鎧のみを身に着けた、軽装の天主教徒が前に出る。
「無効化できるのが魔法能力なら、俺の攻撃は防げないはずだな?何しろ俺はボウガンチーター、アローヘッド様なんだからな!!」
「ぼうがんちーたー?」
「ある程度能力が上がったところでスキルリセットストーンを使い、全能力をボウガンを使う事に特化するために割り振り直した!命中率、基本攻撃力、クリティカルヒット発生率。射程距離。すべてだっ!!!この世界はボウガンを魔法障壁で防げない以上、貴様らも俺の最強ボウガンを防げないはずだっ!!!」
「ふむ。ならば撃つがよい」
ボウガンチーターことアローヘッドは羅刹王母目がけてボウガンを放った。
その矢は羅刹王母の眉間に向かって一直線に飛んでいき。
羅刹王母は左手の人差指と中指の間にボウガンの矢を挟み込んで受け止めた。
「あっ」
そして投げ返す。
南無三。アローヘッドはボウガンを撃つ能力は優れていたが、ボウガンを避ける能力には優れていなかった!!
自分の撃ち出した矢を額に受け、哀れアローヘッドはその場にて絶命。
「和議をする気がないのはよくわかった。ならば宴の主賓として其方らを盛大に歓迎いたそう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます