【ふー2】 溢れ出しそうな想像上のヒレで泳いでみる
女子会郷 午の中刻
十二時。もう十二時。お昼からケーキを頬張るっていうのは幸せね。フルーツケーキ
「でさぁ、この間のは神回だったわけ。わかる? ちょー泣いたんだよ、もう」
「そうだね、久々に面白いドラマだったね」
「でしょ? やっぱそうでしょ? 早く来週来ないかなぁ。待ち遠しい」
夏休みになっても飽きないで私たちはいつものメンバーで集まっていた。通称・
「舞も見たっしょ?」
「うん。あれ原作の小説が面白いんだよね。ドラマだと途中までしかやらないから続編あるとうれしいよね。確か、主人公が——」
「待った、そこまで。はい、ストップ。ネタバレ禁止。―終わったら本貸して?」
はいはい。忘れないように覚えとかないと。小説ね。
二つ目のフルーツタルトにフォークを入れて口に運ぶ。札幌では有名な人気店みたいだけど、どうにもこう言うことには疎いから友達の紹介で知ることが多かったりする。
私は実際ケーキなんてどれでもどこでもよかった。人気だろうがマイナーだろうが美味でも不美味でも。このメンバーがいればあたしは幸せなのだ。
「このメンバーって、だれかのアイドルファンだっ! って人、いないよね。ジャニーズにすら興味持たないじゃん?」
「やっぱ、色内かな」
「だね」
「そうね」
「そう……です」
想いの丈も質も異なるのに共有感ったらはんぱない。やっぱ
私はしんみり空気を大切にしながら思いっきり舵を切った。
「それにしても最近色内来ないね。やっぱり、彼とデートかな?」
私の心配は色内のことなのか色内の周りのことなのか微妙だけど、それにしても夏休みに入ってから音信不通なのはちょっと心配だ。恒くんは大丈夫だって言ってたけど、心配なのは心配。意味深メールを出したのはあたしの名を使ているわけだし。悪い方向にとって誤解されないといいけど、さすがに無理かな。
「こ、恒さんはやっぱり、お、お付き合いされているんでしょうか」
「そうなんじゃない? 振られたとか言ってたけど、やっぱまだ脈あるよね、あの二人。色内助けたの結局は彼じゃん?」
「咲来はかわいいんだから大丈夫だよ。恒は確かにかっこ付けだけど、背が低いじゃん。ちびじゃん。特別にイケメンってわけでもないしぃ? ねぇ?」
「そこが可愛いんじゃない」
「はぁ。舞は相変わらずだね。あのさ、恋バナも良いんだけどそろそろ本題に入らない?」
▶八月二日に皆さんはパフェを作ってください。パフェは三角錐の容器に入れます。下から六割はイチゴのムース。一十二は抹茶。残りを再びイチゴにします。皆で集まってください。▶
「とりあえず書いてみない?」
幌加が三角を書いて六割とその他に線を一本引いて切り分けた。
「一足す二は三?」
六:三:残り
三角のパフェはこのように分けられた。
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「うーん、さっぱりだね」
「なんだこれ、恒のやつはなんか言ってなかったの?」
「う、うん」
ヒントはもらってない……はず。皆で集まってとは言っていたけど、それが重要なヒントだったりするんだろうか。さ、さすがにキスしてたとかは口が裂けても言えない。
「一たす二、なのかな。
「え?」
咲来に言われてみんなで一斉にのぞき込む。言われてみればそう見えなくもないけど。
「あと、これテレビ塔っぽい」
え? え、どうして?
「ほら、逆から見たら」
「あぁ」
「ほんとだ」
まぁ、見えなくもないけど。あれ? もしかしたら。
「ちょっと貸して」
元の逆三角形に戻して、一、十、二と書いて再び逆に回転させる。
みんなが納得して微笑む。お互いに顔を見合わせて笑顔をこぼす。
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このメンバーが完全に再結集するのはいつになるか果てしないけど。
ふふ。
どうやら、お姉さんたちの出番みたいだね。
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二 十 一
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