実験室編49

俺は修業の期間をあと残り14ヶ月のところをあと6ヶ月にすることにする

それはその空いた期間にムズガルド帝国に行くためであった


そして再び半年が過ぎ…

俺たちを前にしてバーバラは言った

「お前たち…よくこの1年頑張ったね゛」

バーバラは目頭に薄く涙をためていた

今までの1年を走馬灯のように振り返っているのだろう

思わず俺も目頭が熱くなる

そして言った

「お前たちの頑張りは誰よりも私が分かってる」

「だから自信を持ちな」

そして俺たちは顔を見合せバーバラの前へと並ぶ

「な、何だい?」

バーバラは不思議そうにいる

そして俺たちは言った

「この1年間…」

「ありがとうございました」

そう深々と二人はバーバラに頭を下げた

その瞬間バーバラの顔が歪む

そして後ろを振り向きながら言った

「がっ柄にもないことするんじゃないよ…!」

バーバラは少し泣いているようだった

そして後ろをポツリと言った

「馬鹿息子たち…」

俺たちは頭を下げながらその言葉を聞いた瞬間…!

感謝しても感謝しきれない思いでいっぱいになる

そして俺たちを本当の息子のように思ってくれている…

涙が止まらなかった


そして俺たちは入り口へと向かうことにる

みんな無言だった

別れが寂しいのだろう

しかし心の中で再び思う

ここまで俺たちが強くなれたのはバーバラのお陰だ…ありがとう


ところでバーバラについて不思議に思っている人が大勢いるのではないだろうか

あれほどの病だったのに本当に治ったのかと…?

バーバラは仮面の下に再び痛みを隠しているのではないかと…?

実はこれには続きがある

バーバラに直接聞いてみた話だが、

あるとき夢を見ていたそうなんだ

不思議な夢だったそう

辺りは光に包まれて、

そして、そっ…と目の前に女が立ってたそうなんだ

それはシェリル様だったらしい

だけどこちらがいくら質問しても何も答えず指をさしたそうなんだ

その指をさした方向を見てみるといつのまにか景色は変わり

その場所を見て驚愕した

何とその場所はバーバラが黒魔女総動員でシェリル様を殺してしまった場所らしいんだ

そしてシェリル様を見るとシェリル様は微笑み

それからバーバラは夢から覚めた…そう聞いてる

そして何かシェリル様が自分に伝えようとしてる気がして

その旨を伝えフロ-ラル様と共にその場所へ行ったそうだ

するとそこにはある花が生えていた

それを見て驚いたそうだ

その花は魔界全土でもめったに咲かないとされる幻の花だった

図鑑でしか見たことはないとバーバラは言っていた

しかも

それは万病に効くとされる花らしい

バーバラはそれをシェリル様が教えてくれたと思った

だけどもバーバラはその花を見ても何もせずそのまま帰ろうとしたそうなんだ

バーバラは言った

私は数々の罪を犯してきた…だからこの痛みは当然の報いなんだ

死んで当然なんだと…

しかしフロ-ラル様は必死に説得したそうだ

この場所に花が咲いたのはバーバラのため…

お母様はもう苦しまなくていいって言ってるんだと…!

そしてその苦しみを終わらるためにこの花が咲いたんだ…

お母様はもういい!って言ってる…

だからお願い生きて…!

そう涙ながらにフロ-ラル様はバーバラに訴えたそうなんだ

そしてバーバラはフロ-ラル様の情熱に負けあの花を煎じて飲んだ

するとくすぶっていた痛みがみるみるうちになくなって言ったそうだ

しかし完全には治っていないらしい

ときおり痛むらしい

だけどもこの痛みはほんのささいなもので何の支障もないと言っていた

そしてこうも言っていた

「この痛みはね…」

「ふふふ…わざとシェリルが残した気がするんだよ」

「私がこのまま完治するとまた何か抱え込むと思ったんだろうね」

「でもありがたいね」

「私はこの痛みと共に生きてくよ…」

「死ぬまでずっとね…」

そうバーバラは目を細めて言った

俺はこの話が本当だと思う

でも痛みのことについては分からない

本当はもっと痛いのかもしれない苦しいのかもしれない

それを贖罪として受け止めているのかもしれない

でもバーバラの瞳を見ると治ったのは本当だ…そう思った


入り口へ近づくとフロ-ラル様たちが待っていた

バージェット、ミネア、マ-ニャもいた

半年前に会ったときよりも更に自信に道溢れている

そして俺は言った

「みんな…久しぶり」

「久しぶりだね!」

3人は答える

「おう久しぶりだな!」

「久しぶり」

「お久しぶりです!」

バージェットの身体を見ると半年前にあったときよりもさらに傷だらけだった

いかに激しい修業をしていたのかが良くわかる

無論俺たちの修業の内容も負けてないと自負しているが


そしてある気になっていたことを聞いてみる

「バージェット…一体どんな修業したんだ?」

そう魔法が使えないバージェットは一体どんな修業をしていたのか気になっていたのだ

その時…ここにきてバージェットたちと別れたとき

バージェットを見送っていた横でバーバラが言っていたことを思い出す

「ワタル…何でバージェットがフロ-ラルのところへいったのか…そしてグル-プ分けの理由が気になるかい?」

「ええ…まぁ」

するとバーバラは答えた

「お前さんたちからすれば武においてはフロ-ラルより私のほうが強いと考えてるかもしれないが…」

「実はそんなことはない」

「フロ-ラルは武においては私より数段上さ」

「だからフロ-ラルはバージェットを選んだ」

「そしてワタルとツバサ」

「ミネアとマ-ニャは仲がいい…」

「だからフロ-ラルはバージェットとミネアとマ-ニャを選んだのさ」

俺はバーバラの声を聞きグル-プ分けの意味を理解した

そして付け加えるようにバーバラは言った

「まぁ、ああ見えて怒らせると怖いのはフロ-ラルだからね(笑)」

「ああそれ分かる(笑)」

そのとき…!

何か見えなくなったはずのフロ-ラル様から殺気のようなものを感じた気がした

そして俺たちはやっぱり怖いね…と言い残し固まった


そしてバージェットは言った

「まぁそれは秘密ってやつだ(笑)」

「お前はどうなんだ…ワタル?」

そうバージェットは興味深そうに聞いてきた

ミネアやマ-ニャも興味深そうにしている

やはりみんな修業の内容が気になるのだ

するとツバサはバージェットの言葉を聞いて自信あり気に笑った

「ふふふ」

バージェットは言った

「おっツバサなんだその自信あり気な笑いわ!」

ツバサは俺の修業の内容を知っている

もちろん俺もツバサの修業の内容を知っている

そして言った

「お前が秘密なら俺も秘密だ」

そして確かに…!とみんな笑いあった


そしてフロ-ラル様は言った

「名残惜しいですがこれでワタルたちの修業は終了です」

「ああ終了だ」

バーバラも答える

「それでは行きましょうか…」

「ワタルたちが早く修業が終わることは向こうのみんなにも伝えてあります」

「今か今かと待ちわびてるはず…」

そう言うとフロ-ラル様やバーバラは俺たちに背を向け入り口に向かって歩き出す

そして俺たちも歩き出した



みんな…待っててくれ

俺たちは格段に強くなってる

だから絶対負けない…

そう思い…先を見据えた

そして俺は振り返る

神の場所…

今までありがとう!!

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