実験室編45

俺たちは自分の意識の中へと入っていった

しかしなかなかバ-バラのいうある物が見つからない

そして限界を感じそっと目を開ける

周りを見てみるともう暗かった

俺たちはなんの成果も得られず少し落ち込んだ

するとバ-バラは言った

「な-にしょげてんだい」

「ここまでこれただけでも十分だよ」

「あたしはここまでくるだけでも1週間くらいかかると思ってたんだからね」

「まぁあたしは1日もかからなかったけどね…ふふふ」

誉めてるのかけなされてるのかよく分からなかったが

とりあえず誉めてると脳内変換することにする

そして言った

「今日はそろそろ終わりだよ」

「寝ようかい」

そうバ-バラは言うと俺たちは疲れはて

寝床へいきぐっすりと休んだ


翌日…

バーバラに叩き起こされる

「いつまで寝てんだい!」

俺たちの修業は朝から始まる

朝食の準備やら洗濯やら筋トレやらで大忙しだ

そしてそれが終わると昨日の続きが待っていた

俺たちは心を落ち着かせ己の中へと入る

そしてまた周りが暗くなり始めた頃…ツバサは何かを見つけたようだった

ツバサの身体から一気に気が増大するのを感じる!

バーバラは言う

「ほう…見つけたかい」

「はい!」

俺は目を開けツバサを見る

すると何かを悟ったような表情をしていた

俺は言った

「ツバサ…見つけたんだな」

「うん」

「何か闇の中を探してると風のようなものを感じたんだ」

「そして突然荒れ狂う突風の中にいて

それでいて自分がそれに包まれてる気分…」

「それなのに僕の身も心も全て吹き飛ばすような…」

「そんな不思議な感覚だった…」

バーバラは聞いた

「それでどうしたんだい?」

ツバサは答える

「友達になろうって言ったんだ…」

「友達?」

「うん」

「その荒れ狂うようなそれでいて優しく包みこむような風は

何かを強く怒り求めてる…」

「そして何か寂しそうな…そんな気がしたんだ」

「だから友達になろうって言った」

「するとその風は自分の心の中にスっと入ってきた」

そうツバサは言った

「友達か…くくくはっはっはっ」

「はははははは」

バーバラは笑う

「そんなこと言ってるやつ初めて聞いたよ」

そして優しい目をする

「まぁツバサらしいといえばツバサらしいね」

それからツバサは満面の笑みでうん!と答えた


そして残りは俺一人となった

再び集中し己の中へと入る

2時間後…

今日もダメだったか…そう諦めようとしていたとき…!

何か下に当たるものを感じた

そして息を飲んだ

なぜならその当たるものは動いていたからだ

心の中で思う

おいおい…ツバサ…

これは風なんてそんなものじゃないぞ…

相変わらずその動くものは動いていた

ワタルはその動くものに気づかれないよう刺激しないよう細心の注意を払う

それはある直感がワタルを襲っていたからだった

ワタルは思う

これは…まさ…に…

龍じゃないか!!

そうワタルは龍の背中に乗っていたのだ


何か声が聞こえたような気がした

「……ろ…」

その声はより鮮明に聞こえる

「お…り…ろ…」

ワタルはハっとする!

この龍は気づいていたのだ

そしてはっきりとその声が聞こえた…

この龍は降りろと言っている

自分の背中から…!

身の危険を感じその龍の背中から飛び降りようとした瞬間…!

もう遅かった

その龍は首を大きく反転させワタルの目の前へとくる

そして大きな口を開けワタルを丸飲みしようとする…!

するとワタルは叫んだ

「ちょっと待ってくれ!」

一瞬ピクリとその龍の動きは止まる

ワタルの次の言葉を待っているようでもあった

「悪かった」

「勝手にお前の背中に乗ってしまって…」

「この通りだ…許してくれ…」

そうワタルは深々と頭を下げる

するとその龍は笑った

「くははははははは!」

「お前ごとき矮小な存在がこの私にそんな態度をとるとは笑わせてもらったぞ」

「この私を前にしてそんな態度を取った者はお前一人だ」

それから龍は突然ワタルに興味を失ったように前へと向いた

そして言った

「キ…エ…ロ…」

突然背中を振り払う

ワタルはその龍の背中から放り出された

そして無言のままみるみるうちにワタルから離れていく


ワタルは正直ほっとした

命が助かったと思った

でも譲れないものがあった

それはその龍はバーバラやツバサが言っていたあれなのだと確信していたからだ

もうこのチャンスを逃せばもうこの龍とは会えない…

そして会ってくれない…そう思った

だからワタルは必死に叫ぶ

「ちょっと待ってくれ!」

しかしその龍は見向きもしない

ワタルの声は届いていないのだろうか…?

「俺にはどうしてもお前の力がいるんだ」

「頼む…力を貸してくれ!」

しかしその龍は無言のままワタルの視界から消えようとしていた

「待てって言ってるだろ!!!」

あらん限りの声で叫ぶ

するとその龍はピタリと止まった


そしてくるりとこちらを見直し向かってくる

「一度ならず二度までも…」

「命はないと思え!!」

そうその龍は叫ぶと物凄い勢いでこちら側へ向かってきた

凄い威圧感がワタルは倒れそうになる

しかし倒れない

そして思いを込めて叫んだ

「これから何千何万という命がかかってる戦場へ行く」

「関係ない」

「でも俺一人の力じゃどうにもならない…」

「勝手にしろ」

「お前の力が…どうしても必要なんだ」

「知ったことか」

「頼む…俺に力を貸してくれ!」

「知らん!」

ワタルの必死の叫びもむなしく響いた

「我が胃の中で朽ち果てろ!!!」

そうその龍は叫ぶと大口をあけワタルを飲み込もうとしていた

「頼む…」

「みんなの…」

「みんなの思いを感じてくれえええええ------!!!!!」

ワタルから突然光が溢れだしその龍を包んでいく

「なに!?」

その龍は驚いていた

そして、その光はワタルの思い全てを龍に伝えていた


その龍はワタルに問いかける

「私を前にして怖くはないのか?」

ワタルは答える

「ああ怖いさ」

「それならば…なぜ?」

「足が震えてもう動けない」

ワタルの足はガクガクと震えていた

「でもな…」

「みんなの命がかかってる」

「ここで一歩も引くわけにはいかないんだ!!」

ワタルの鋭い眼光にその龍はピリピリと押されるのを感じた

そしてその龍は再び笑った

「くくく…」

「はっはっはっはっ………!!」

「面白いなお前は…」

「そして確かにお前の思い…私には届いたぞ」

「少しくらいなら力を貸してやらんでもない」

「それじゃあ…!?」

ワタルは喜びの声をあげる

「しかし…!」

その龍は念を押すように言った

「お前の力はまだまだ私の力を扱うには程遠い」

「成長してみよ…」

「私の力を扱うにふさわしい者へ…」

「それまでは見守ってやろう」

そう言い残すと龍は消えていった

ワタルの意識も消えようとしていた

その時何か声が聞こえたような気がした

「強くなれ…我が主よ!」


ワタルの中に何か熱いものが込み上げてきているのを感じる

これからその龍と共に長く険しい道を歩んでいく…そんな気がした

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