実験室編44

俺たちの修業は始まった

そして魔法の世界への第一歩を踏むこととなる


バ-バラは言った

「よし…それではまず魔法の基礎を教えようかね」

「まず魔法は魔力からきてるのは分かってるね」

「魔力がないと当然魔法は使えない」

「お前たちにはミネア、マ-ニャほどではないにしろ魔力が眠ってる」

俺たちはゴクリと息を飲む

フロ-ラル様が嘘をつくわけがないと分かってはいたが

やはり自分の目で見てみないと信じられないというのもあった

今まで自分たち二人は剣技のみを磨いてきた

まさか魔法を使えるなどとは夢にも思わなかったからだ

バ-バラは話を続ける

「そして大まかに分けると魔法には

内なる出す魔法…

外なる魔法…」

「この2種類がある」

「まずは内なる魔法…

これはお前たちが想像する通りの魔法さ」

「さんざん見てきただろう…特に説明する必要はないね」

「次に外なる魔法…それは自然界の力を借りること」

「自然界には膨大な力が溢れてる」

「それをちょこっと拝借しちまうのさ」

「ワタル…あんたの大地の力はこれに似てると思うよ」

「それに難易度は非常に高くなるが組み合わせることも可能なんだ」

「もしワタル…あんたが自分の剣技と内なる魔法」

「それに自然の力…これが組合わさったとき…」

バーバラはごくりと息を飲む

「どんなことになるのか想像さえつかない」

「見てみたいねえ…」


「さて…と」

「まぁ簡単な説明はこれで終わりだい」

「次は実践いくよ」

「言葉でうじゃうじゃ説明するより実際にやってみた方が全然いいからね」

それから少し歩き始める

ある場所で止まった

周りを見渡すとそこは少しの広場になっていた

森の木も少ない

そしてバーバラは指をさす

その先には一本の巨木が立っていた

「ちょうど良い木があったねえ」

そう言うとどこからズド-ン!という巨大な衝撃音が聞こえてくる

「あっちも始まったようだね」

ふふっとバ-バラは笑う

バージェットが修業を受けているのだろう

俺たちは否応なしに気持ちが高ぶる

しかしそんな俺たちを見てバーバラは言った

「気持ちは分からないではないがまずは落ち着きな」

「気持ちを落ち着かせること重要だよ」

「そして…そうだね」

「あの巨木をしっかりと目に焼き付けておきな」

そう言われるとその意図がよく分からなかったが俺たちはあの巨木を目に焼き付けることに専念する

そして言った

「目を閉じて」

俺たちは目を閉じる

それから何が見える…?

そう問いかけられる

「ぼんやりと巨木の残像が…」

「よし第一段階は終了だね」

「目を開けていいよ」

そしてバーバラは次のことが重要だと言った

まずは心を落ち着かせること

そして巨木を目に焼き付ける…

ここまではさっきと同じだったがここからが重要だと強調する

その巨木を目に焼き付け目を閉じる…

そしてその巨木を強くイメージするのだと言った

それを何十回と繰り返していく

バーバラに言われた通りに何十回と繰り返していくとある変化を感じとれた

ツバサも感じとったようだった

俺は目を閉じなから言った

「バーバラ」

「頭の中の巨木がまるで実体のように…」

「僕も見えるよ!」

するとバーバラは関心したように言う

「ほう…もう実体として捉えれるようになったかい」

「もう少し時間がかかると思っていたが…」

「それじゃあ次のステップだね」

次にバーバラが言ったことはこうだった

まずは心を落ち着かせること…

そして目を閉じる

これは変わらない

そして己を見つめるのだと言った

己の心の中のある部分を見つけることが重要なのだと

それは魔力にどうやら関係しているらしい

バーバラもそれは上手く言葉で説明することはできない

それは人によって感じかたが違うからだと言った

でも感じることができれば私の言っている事が分かるはずさ…

そうバーバラは言う

俺たちは目を閉じようとする

するとバーバラは思い出したように言った

「あっそれと…言い忘れていたけど注意することだね」

「注意?」

「ああ…そのある部分を見つけたときに逆にその部分に食われちまうことがあるのさ」

俺たちはギョっとする

「く、食われるとは…」

バーバラは言った

「堕天するってことさ」

「堕天すると大切な心の部分をなくしちまう…」

「だから注意するんだよ」

「辺りを食い荒らし血肉を喰らう化け物へなりたくなかったらね…」

「まぁ…あんたたちなら大丈夫さ

そうバ-バラは冗談ぽく言った

おいおい冗談は辞めてくれよ…

「冗談はよし子さん」

「………」

「………」

「………」

「………」

「ワタル…何か言った?」

「いや別に」

ツバサから目は笑っていたが殺気のようなものが出ていた

殺されてしまうかもしれない

(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル


よし話を元に戻そう

「冗談はよし子さ…」

二人はギラっとワタルを睨む

「じゃないや…冗談はよしてくれ」

バーバラは答える

「冗談でこんな事言うかい」

そしてニコやかに答えた

「それに大丈夫さ」

「食われちまうのは欲望を知り自己が形成されちまった大人」

「ワタルやツバサの年齢なら問題ない…」

「それに…」

再びあの言葉を言った

「お前たちなら大丈夫」

さっきとは違いそう信じた瞳で俺たちを見た

「バーバラ…」

一瞬の間がおきる

「まあ…あんた達が化け物になっても私がきっちりと引導を渡してあげるから安心しな」

「ははははは」

そうバーバラはさっきの発言を

誤魔化すかのように冗談ぽく笑った


俺たちにとっては冗談では済まされないのだが。。

そして怯えてなかなか目をつぶろうとしたない俺たちを見て

バーバラに何をやってんだい!と渇をいれられしぶしぶ目を閉じる

しかしその時改めて思った

バーバラは口ではああは言っても俺たちの事を信じてくれてる…

それに実はバーバラが上級魔族との戦いで

病で倒れ死の淵までいったと聞いたときは心底驚いた

今までそのことはひたすら隠し通して…

実はまだ完全には治っていないらしい

本当は横になって寝ていたいだろうにこうして何も言わず

普段と変わらないように俺たちの修業に付き合ってくれている

感謝以外のなにものでもなかった

そして普段と同じようにしてはいるが本当は苦しいのかもしれない

それは本人以外には分からない

でももしバーバラに恩返しできるとすれば

それは一刻も早く一人前になり

バーバラを安心させること…そう俺はそう思った

ツバサも同じことを考えているだろう


目を閉じながら言った

「ツバサ…頑張るぞ」

「うん!」

意識は自分の中へと入っていった

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